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牧野富太郎の植物愛 大場秀章

書店に行ったら、放映中のNHK朝のTVドラマの主人公「牧野富太郎」の関連本のコーナーがあったので、一冊試しに買って読んでみることにした。著者は富太郎の孫弟子のような立場の植物学の研究者で、内容は富太郎の生い立ちから研究者として自立するまで、その後の研究業績などの解説。面白かったのは、生物学としての植物学と本草学との違いで、様々な植物の共通点から普遍的な特徴を考察するのが植物学で、多様性を可視化して知見を得ていくのが本草学とのこと。この基準で言うと、富太郎は「本草学に情熱を燃やした植物学者」という位置付けになるらしい。また富太郎は生涯で1000種以上の新種を発見したそうだが、それよりも著者が注目するのはその画力。植物の図版には、①標準的な株を選定する ②季節毎の変化を捉える ③生きたままの状態を描写する、という3つの重要な点があり、それら点で富太郎の図版は非常に優れているという。富太郎の生涯には、大学に入った時や辞職した時などに若干の謎が残されているとのことだが、素人にはまあどっちでもいいやという感じで、スッキリ読み終えた。(「牧野富太郎の植物愛」 大場秀章、朝日新書)
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