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東大に名探偵はいない 市川憂人他

著者全員が東大出身、かつ東大を舞台にしたミステリー6編が収められたアンソロジー短編集。作家名を見ると、6人中3人が書評誌でミステリー新時代到来の旗手として取り上げられている注目若手作家という豪華な顔ぶれ。多分編集者が最近の注目作家に東大卒が多いことに気付いて企画したような感じだと思う。自分としてはその3人とも去年あたりから読み始めてすごいなぁと思った作家だし、他にも大好きな科学ミステリー作家の伊与原新の未読作品を読めて楽しい一冊だった。アンソロジーのテーマの関係でミステリーの舞台・登場人物は皆大学・大学生だ。学生の思考や学生生活の雰囲気は自分が学生だった40年前とさほど変わっていないなと思う部分も多い一方、昔と違って一番驚いたのは本人が入試の点数を開示請求できてそれを郵便で送ってもらえる制度があるという話。東大のHPを見ると確かにそのような制度があるらしい。試験は水ものだから努力の結果が点数に完全に反映されないこともあるだろうし、今の若者は色々と大変だなぁと思った。(「東大に名探偵はいない」 市川憂人他、角川書店)
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