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渡り鳥たちが語る科学夜話 全卓樹

著者による科学夜話シリーズ第2巻。第1巻がとても面白かったので早速続巻を買って読んでみたが、こちらも期待通りの面白さだった。このシリーズを読んで感じるのは2つの面白さだ。まず一つは、あまり知られていないような科学史のエピソードに出会えること。本書でも、後にデーモンコアと呼ばれるようになった東京に投下される予定だった原子爆弾が戦後にもたらした大きな悲劇、放射性元素の分析から明らかになった太古の昔に天然の原子炉が存在していたという話など、こんなすごい話なのに今まで全然知らなかったのは何故だろうと思うような科学史の逸話がいくつも出てくる。もう一つの魅力は、人文科学と理科系の科学の接点のようなものを感じさせること。本書では、シミュレーション仮説や無限連鎖世界に関する考察とか、インターネット世論の社会物理学の話などがそれに当たる。こういう面白い話がまだまだ世の中にたくさんあるのかどうか、とにかく自分が無知であることに気付かされ刺激されるシリーズだ。(「渡り鳥たちが語る科学夜話」 全卓樹、朝日出版社)
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