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先祖探偵 新川帆立

先日読んだ著者の本の略歴欄を見たら、まだ未読の本書の題名が書いてあったので、早速読んでみた。自分の来歴を知りたい、先祖がどんな人だったか知りたいという顧客の依頼を受けて、先祖探しの手助けをする女性が主人公の連作短編集。顧客の先祖探しの動機は、ただ先祖自慢をしたい老人、先祖について調べよという夏休みの宿題を手伝って欲しいという高校生など様々だが、戸籍を取り寄せたり先祖所縁の地を現地調査したりするうちに、主人公はそれぞれの顧客の抱える真の動機、戸籍制度を悪用した犯罪、更には戦争中に空襲によって戸籍そのものが消失してしまったり戦中戦後の混乱で戸籍そのものに不備が生じてしまったりして様々な苦労を強いられた人々の存在などが浮かび上がる。戸籍制度がどうあるべきか、改善の余地はないのかなど、色々考えさせられる一冊だった。(「先祖探偵」 新川帆立、角川春樹事務所)
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