思わぬ処で足止めをされる。「無条件降伏」「ポツダム宣言」が1941年8月15日の正午の玉音放送の日にかかれた庶民の日記に当然のように書かれるのであろうか?
其処に違和感が残った。
理由はひどく個人的なコトなのだが、戦後生まれは、高校の日本史で大正ロマン以降の昭和から歴史が空白なのである。
年表上「ポツダム宣言受諾」の項目は一応暗記にしているが、中身は何も知らないのが戦後生まれの特徴でもある。
暗黙の了解として、大学受験のテストにもその範囲は出ないのである。
恥ずかしながら、「ポツダム宣言」が実は「降伏通告」であり、それを受諾したことによって国際法上の条約の法的拘束力をもつことを知ったのは十年前位なのである。
従って宣言の中の12条にある「基本的人権の尊重」という言葉を見て、当時兵士であった丸山真男は心の中でほそ笑んだ訳である。
当時の日本政府は「降伏通告」という言葉を避けるために「ポツダム宣言」という言葉を1943年11月に出された「カイロ宣言」に引っ掛けて、「ポツダム宣言」と略称化したのであろう。
8月15日の正午のよく聞こえないラジオからの「玉音放送」には一切勝敗は触れず、その後の解説中に出てくる「無条件降伏」「ポツダム宣言」という二つの言葉がその日の日本全国の個人の日記に出てくる不思議さ、違和感に些か疲れました。
結論から言うと、「無条件降伏」は恥ずかしい負け方をしないために、「カイロ宣言」以来、民衆への締め付けの言葉として流布していたかもしれませんが、確証はありません。
しかし、降伏通告を恥として、敢えて略語にした「ポツダム宣言」が玉音放送当日の日記に書かれたとは思えません。
私の目はかなり衰えていますが、この本の200頁には、当時34歳の憲兵大尉武井さんは「…ポツダム宣言を認めこゝに無条件降伏となり、…」と日記に書かれていたと。しかし、201頁の実際の日記の写真には「ポツダム」と云うカタカナはない。また、該当の文節もない。
この本はNHKのドキュメンタリー(実録)で、「敗戦の日の偽らない真実」と帯にある。100人近い日記が集まったとか、どこが真実なのか?NHKの役割というのは何なのだ?
近頃、前川さんをNHK会長にという市民運動があったのに、全く無視して日銀の銀行員が就任するという。
この国の自民党と云う政党の役割は何なのだろうか?