ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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さよなら、オギー

2008-11-09 17:35:38 | 宝塚コラム

 荻田先生への手紙 

 

前略

初めてお手紙を書きます。

昨日、雪組観劇はMY楽でした

昼の部と夜の部、久しぶりに両方見て、宝塚の世界にどっぷりと浸って

帰って来ました。

1度目の観劇の時に「ソロモンの指環」については、まるで色の洪水のような

ショーだと思いました。

まるで毒が入っているのがわかっていながら飲みほしてしまうワインのような

ドキドキ感がそこにあって、30分間「ソロモンの指環」の世界に

引き込まれていきました。

昨日、初観劇だった友人は「一度見ただけじゃ意味がわからないショー」

だと言いました 私もそう思います。

でも、2度3度見ていくうちに、「もしかしてこのショーは荻田先生が自分への

オマージュとして作ったのではないか」と思うようになりました

 

あなたの心の中にはまだ1作目の「パッサージュ」の

「硝子の空の記憶」が鮮明に残っているんでしょうね。海のシーンは

それを思い出させましたし、ある時は「バビロン」ある時は「タランテラ」を

思い出したような気がします

私は宝塚のショーが大好きです。出来ればショー作家になりたいくらい。

(どうやって脚本を書くんでしょうね)

藤井大介先生のショーはいつも私を明るく幸せにしてくれます

草野旦先生のショーは宝塚が持つ群舞の素晴らしさを教えてくれます

でも、オギー、あなたのショーはいつも私を苦しくさせたものでした。

最初の「パッサージュ」から

手の届かない「あこがれ」そして私の胸をえぐり出すような歌詞の数々。

あなたのショーを見るたびにどこかで涙を流し、心が猛烈に乾いて

水を欲しがるのです その渇きを癒す為にまたショーを見る・・・そんな

思いでした。

 

多分、宝塚の歴史の中であなたが作るショーは異質で媚薬のような

香りを持つものとして残って行くでしょう。

本当にあなたはショー作家としては不滅であると信じます。

それだけに、この先あなたがどのようにして作家活動を続けていくのかと

心配でなりません。

あなたが書いた芝居・・「夜明けの天使たち」「凍てついた明日」

「アレックス」「マラケシュ・紅の墓標」どれをとっても脚本が素晴らしかった

のはいうまでもありません

見ている観客の心にぐさりと響く杭のようなセリフの数々。

ヅカファンには難しすぎ、抽象的すぎと言われていましたけど、私はそうは

思いません。

あなたの書く芝居はやっぱり「宝塚」だからこそ成立しえたものだと

思います。

だって、あなたが書く登場人物はどれも完璧な容姿と歌唱力とダンス力が

がなければ少しも主役たりえないではありませんか?

外部にそんな役者がいると本気で思っていますか?

あなたの脚本を忠実に再現して見せるだけの役者が?

 

外の世界で「夜明けの天使たち」が容認されるでしょうか?

今回、あなたの一連の作品を見て感じた事は、とても人のえり好みが

激しいということ。自分の歌詞を誰が歌うか、誰が言うのか・・そういう事に

非常にこだわりをもっている人だと感じました。

その職人魂が今の演劇界・舞台芸術の分野で果たして通用するかどうか。

今の演劇界は宝塚以上にある意味、腐敗しているのですよ

もはやどこにも「本当の意味で芸術を愛する」人などいないように。

理想が通用しない生活にあなたは耐えられるのでしょうか?

それともそれは杞憂ですか?あなたはこの世の波を上手に渡って

いくのでしょうか?

願わくば、あなたの比類なき才能を発揮できる場所が、一日も早く出来ます

ように。

そして出来るなら・・・もう一度、ショーを作って欲しいのです。

あなたのいない宝塚のショーはきっと致命的なものを抱えるでしょうね。

それをわかっているのかいないのか

それでも心のどこかで「宝塚」を信じたいと思う自分もいたりします。

揺れ動く私の目を外に向けさせて下さい。

 

荻田先生。これからのあなたのご活躍を祈って。

 

コメント
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