平日にも関わらず、日比谷シャンテは結構人がいました。
神田グリルでお昼を食べたのですが、満員御礼でシェフの威勢のいい声が昔に戻ったようで。
まだコロナ禍なんですけど、社会は確実に進んでいるなと。
1回公演の時のキャトルレーヴは整理券なしで入れるし、早く劇場内の売店が開くといいなと思いました。
柳生忍法帖
1回目は寝なくて済んだのですが、2回目は・・・真ん中がだれるなと思ってちょっと目をつぶっている時間がありました。
楽も近くなると、悪役はより悪役らしくぶっとんでくるし、娘役方の黄色い声もより高く感じてしまうなと思いました。
柳生十兵衛は何度も殺されかけるんですけど、その度に誰か助けてくれるんですね。
その最たる人がゆら姫で、結構唐突に心を奪われたんですね~~と。
私、思うに十兵衛さんはゆらさんに冷たくて、もうちょっと惹かれていくような感じでもよかったんじゃないか?と思いました。
七本槍に関しては個性を出すのが大変だったろうなと思います。
それは堀一族の娘役達もそうで、自分なりに必死に頑張っている姿に感動しました。
天海僧正と芦名銅伯の二役はかなり無理がある設定。
だったら天海僧正をもっと早くどこかで出さないと、天海の存在感の重要さが見えてこないです。沢庵和尚が一人で騒いでいるようにも見えるというか。
ラストの銅伯の死に方ももう少しためて、死なせてあげたかったなと。
時代劇を書く作家みんなに言えることですが、死んでいく姿とか、今時と思われなくてもここは一つの見せ場であるので、ためにためて拍手が来るくらいの死に方でないと。
ラスト、十兵衛が銀橋を渡って去っていくところでも、下手の花道で一度止まって空を見上げ、眩しそうに笑って去っていく・・・くらいのためは欲しかったと思います。
そうでないとゆら姫が浮かばれませんって。ねえ。
モア・ダンディズム
ショーは、はっきり言って星組に似合っているとは思えませんでした。
というかトップコンビに似合っているとは思えませんでした。
愛月ひかるの銀橋の歌は宙組への思慕を思わせるものですが、衣装をもっと考えて欲しかったです。また、白軍服のシーンは、ストーリー仕立てにすべきだったと思います。
定番の3角関係とか、戦場でのシーンとか。ただ軍服着せて綺麗に歌って踊るだけでは少しも愛月のさよならにふさわしい場とは思えないのです。
プロローグの華やかな色使いと人の多さは、宝塚ならではのもので、古代色のような衣装が日本人にはほっとくるんですね。
「ラ・パッション」は相変わらず背景にちょっと笑いが・・・
当時の花組を知らない人もいると思うので。
私も現役で見たのは真矢みきの「失われた楽園」が最初で、それまではビデオでした。
真矢みきがトップになった時、大浦みずき率いる「ダンスの花組」を引きずっていました。
二代目の安寿ミラが退団し、真矢みきがトップになったけれど彼女は踊れなかったから。
その代わり、下級生たちが今思えば豪華すぎるメンバーでダンスの猛者ばかり。
歌にしてもダンスにしても「私の方が真矢さんより愛華さんより歌えるし踊れる」という下級生だらけ。
そんな中で真矢みきは誰にも頼らず一人で組を引っ張っていた感じです。
自分野存在感だけで全て欠点を覆い隠していたんです。
「ダンディズム」は孤独でコンプレックスにさいなまれながらも、自分の存在感を頂点まで高めるどりょくをしている真矢みきの作品なのです。
出演者について
礼真琴・・・線の細い礼が骨太な役でよく頑張りましたという感じですが、優等生で真面目なところが多々出てしまうので、遊び心に少々足りないなあと思います。
ショーに関しては、歌もダンスも全てが優等生なのだけど、「ダンディズム」というのはそれだけでは無理な作品なんだなと思います。
いい意味での礼真琴らしさがあまり出ていなかったな。それは礼真琴にはもっと難易度の高い曲や、激しい曲の方が似合うんですね。
それに相手役と今一つ息が合ってないというのも、不幸だなと思います。もう5作くらい舞空瞳とやっているのに、今一つ笑顔が出てこないのが心配です。
愛月ひかる・・・まさか、自分が星組に組替えになるとは思ってなかったと思います。それでもよく馴染んで下級生を優しく抱擁してくれたなという印象です。トップが自分の事で精一杯の中、下級生を引っ張ってくれた大いなる存在だと感じます。
芦名銅伯の役はぴったりで、威厳あり恐ろしさあり、悪役にピッタリでした。
ショーにおいての存在感も高く、ひときわ背の高さが目立ちます。それだけにもっと個性的な役をさせて上げたかったし、ショーでももっと大きな役をやらせてあげたかったな。
舞空瞳・・・芝居でも独りぼっち、ショーでも独りぼっち。扱いが可哀想だなと思います。ファンの中では「ことなこ」と呼ばれてベストコンビになっているようですが、私にはそうは思えません。
ダンスの相手としては最高のコンビだと思っていますが、振付がすれ違うものばかりで、今の関係を物語っているような気がします。
まだ下級生でアイドル系の美貌を持っていて、とにかく成績が優秀であるという肩書つき。自分の弱さを見せることが出来ないのかもしれませんね。
うまく礼真琴とコミュニケーションをして、本当のコンビになってほしい。今はまだ政略結婚状態ですので。
瀬央ゆりあ・・・今回は「冷酷」な役で登場。今後は礼真琴にとってそういう敵役で出て来ることが多くなると思います。衣装も一人美しく目立つものを着ているのですが、意外と七本槍の中に埋もれてしまうのが惜しいです。
瀬央は明るい性格だし3枚目の部分もあり、非常に星組生らしい人でもあります。舞空瞳に対する視線も優しくてほっとするし、組む相手役がみな幸せそうなのがいいですね。
ただ、存在感が今一つ小さいのです。愛月並に大きくなる事はまだ可能ですから頑張ってほしいです。礼真琴とは非常にうまくいってて、頼られているのがわかります。
天寿光希・・・沢庵和尚。今回は喋り方といいふりといい英真なおきそっくりで驚きました。まあ、天寿光希は英真なおきや一樹千尋の背中を見て育ったようなものですから、しょうがないと思いますが。
元々天寿ははきはき喋るのが特徴。それがああいうとぼけたような、一方で策士、一方で保護者と色々な顔を持つ役はちょっと重荷だったのかもしれませんね。
ショーでは久しぶりに水色の軍服を着て若々しい彼女に会いました。
輝咲玲央・・・加藤明也。こんなひどい役をここまでやっちゃう人ってすごい。かえって好感度を上げました。特に柳生のぞうりを拾う所など、名演技です。素晴らしい。
朝水りょう・・・私の中ではすでに「パパ」です。こんなに青天が似合うジェンヌはいないんじゃないでしょうか?柳生十兵衛のパパをかっこよくしっかりと演じてくれました。下級生の頃からかっこいい男役だと思っていましたが、ここに来て花が開いた感じ。ショーでも目立つし、キザり方が目をひきます。
白妙なつ・・・千姫。威厳あり、大楊さも兼ね備えたよい千姫でした。いつも存在感が大きい、綺麗な娘役という感じで、星組の大黒柱だと思います。
音波みのり・・・とにかく今もって美しくダンスも上手でトップ娘役よりもより、礼真琴と息がある娘役です。今回のおけいという役は十兵衛と仮の結婚相手となるシーンがあります。その時のかわいらしさとか、十兵衛をかっこよく見せる様というのが非常に素晴らしい。
ショーにおいては有沙瞳と共に、娘役達の真ん中にたって遜色なし。
もっと重要な役で使って欲しいです。
有沙瞳・・・芝居では夢妃杏瑠と共に尼寺のリーダーとしてしっかりやっていました。ショーいおいては美しさが際立ち、キャリオカでのドレスさばきの美しさにはほっこりしました。
小桜ほのか・・・堀一族の娘の中でも中心的存在を演じた小桜。学年が上がるに従ってただ可愛い娘役から。可愛いけどしっかり者でもある娘役に成長。今回は娘役達が大活躍する作品で、ひときわランクが上がったような気がします。
ショーでも有沙瞳と共に、中心的な立場でも遜色なく男役とのコンビも抜群です。
天華えま・・・・七本槍の一人で芝居が始まって早々に死んでしまう役。
でもショーではけだるい中に甘さを秘めた色気のあるダンスで魅了。
天華の歌声は人を癒す力を持っています。
極美慎・・・七本槍の中では新人の役で、歴史をよく知らないから一々驚いたり自分勝手な行動をしたり。いつも微笑んでいるけど、その微笑みが残酷という設定。
衣装を見ると「another world」の桃太郎みたいだし、化粧は狐の精のようで、全然嫌悪感を抱かず。ショーでは常にかっこいい・・というか天華えまと一緒に並ぶとこの上なくゴージャスに見えるからすごい。
天飛華音・・・今回は沢庵和尚にくっついている坊主の役で、とてもコミカルに演じて、演技力のある子だと思いました。背が低いのが可哀想だけど今後、重要な立ち位置につくでしょう。
今の星組の課題はトップコンビがいかに仲良しになるかということで。
男役同士でくっつく・・というのは花組の専売特許で星組では通用しないと思っていたんですけど、礼真琴に関しては瀬央たちと組んで踊っている方が楽しそうで、そればかりという印象です。もう少し舞空瞳に微笑みかけたり出来ないものか。
星組は大人の恋も演じられる組の筈なので頑張ってほしいです。