11月29日に死去した脚本家の山田太一さん。享年89歳。
心より追悼申し上げます。
私は小さい時からドラマを見るのが好きで、特にNHKの大河ドラマと銀河テレビ小説とか土曜ドラマとか、そういうものはなぜかいつも見てて、感想を日記に書ていました。
つまり今と同じような事をやってたわけですね。
その中で、山田太一脚本に出会った事は、私にとって大きな影響だったと思います。
なぜなら、彼の脚本は本当に素晴らしくて、独特な語り口が面白くて、後の見るドラマ選びにものすごく役に立ったなと思うからです。
彼の名前を意識したのは、NHKの「男たちの旅路」の車椅子が出て来る作品で、あまりにもすごかったので、脚本を買いました。
また、「あめりか物語」もものすごく面白かったので脚本を買いました。
高校生の時だったと思うんですけど、小説ではなく脚本を買うという経験が面白かったかなと思います。
当時はなかなか再放送もないですし、ケーブルテレビが我が家に入ってから、色々な再放送で見る機会があるのですけど、なぜか「岸辺のアルバム」と「ふぞろいのリンゴたち」は見た事がなく、後々「岸辺」だけ見ました。
「ふぞろい」に関してはヒットしたけど、個人的には面白いという印象がなくて。
その代わり、彼の傑作だなと思ったのが
「おやじ太鼓」
「男たちの旅路」シリーズ
「獅子の時代」
「高原へいらっしゃい」
「日本の面影」
「それからの日々」
ですかね。よく笑えたのは「おやじ太鼓」と「高原へいらっしゃい」で、「高原」の方は断然最初の、田宮二郎主演のものが面白かったです。
セリフが独特といいますが、特に「男たちの旅路」などでは鶴田浩二が熱弁を振るう、それが古臭くて若者にはなかなか理解されない・・というのが、子供の時には若者の気持ちで、今は昭和の人の気持ちで聞くと全然違うなとおもったり。
非常に主張がはっきりしつつ、悲哀も描いていました。
「それからの日々」などは会社を早期退職して、やる事がなくなった男性が、妻にぬれ落ち葉扱いされてとまどう話で。ちょっとコメディっぽいけど、昭和の男性の融通のきかさなをよくあらわしていたと思っています。
「日本の面影」は教科書で見る小泉八雲がそのまま画面に出て来て。しかも、その人はジョージ・チャキリスだったから一層、興味が湧きました。
「獅子の時代」は菅原文太演じる会津武士のプライドが東北人の心に突き刺さるというかね。加藤剛の薩摩と感情がすれ違っているようで実は繋がっているような・・あの戊辰戦争から明治の動乱を海外ロケまで交えて大掛かりに描きましたよね。
山田太一は日本人にとって大切な脚本家だったと思っています。
彼の作品を知る事は、そこに出演していた偉大な俳優達を知る事で、それを知ったら今の令和の俳優たちをもよく知る事が出来るというわけです。
本当に、心からご冥福をお祈りします。