第3場 バラの枯れた王国
王子; ♪ お母様はどこへ バラの花はどこへ
春のバラは枯れ果て 秋に咲くツボミも見えない
柔らかな茂みは あとかたもなく お母様はどこへ
バラの花はどこへ バラの花咲くふるさとはどこへ・・・・! ♪
王子、追い下がる。不気味な音楽が続く。
国民達; ♪ 王様と妹君にも 男の子が生まれました
王様の血をつぐ この子もまた王子なのでした ♪
家臣S; ほどなく王様は お亡くなりになりました。
妹君、赤ん坊を抱いて出る。陰鬱な声で
妹君; ♪ この子は王になるため生まれた ♪
国民達; ♪ 私達は心から望みました 先に生まれた王子こそ
あらたな王にふさわしい
お金や快楽ばかり尊ばれる世の中より バラを育てる暮らしのほうが
ずっとずっと幸せです ♪
妹君; (高笑い)私の産んだ息子こそ、王にふさわしい・・・
国民達; ♪ いいえ 先に生まれた王子こそ・・・
風音
妹君; 王にふさわしい。こんな姿でもか!
家臣Aグループ; ♪ そう叫ぶと ♪
家臣Bグループ; ♪ 妹君は ♪
家臣Aグループ; ♪ 先に生まれた ♪
家臣Bグループ; ♪ 清き仙女の息子を ♪
国民達; ♪ 私達の王子を ♪
雷、咆哮、野獣に変えられた王子の姿。
国民達; ♪ 野獣に変えてしまいました ♪
妹君; 野獣の家来は鳥や獣がふさわしい。
国民達; ♪ 私達もまた鳥や獣の姿に変えられてしまいました その時です ♪
高みにかつての妃、清き仙女が現れる。
清き仙女; 私の息子は呪いにより、野獣にされてしまいました。
国民達; ♪ 清き仙女よ ♪
清き仙女; しかし王子が、外見に惑わされず、真実を見抜く女性と出会うとき、
呪いは解けて二度と効き目はなくなります。
♪ よき日が巡り来るまで ともに耐え忍びましょう ♪
カーテンを閉じる。
↓
第3場 バラの枯れた王国
下手より王子がバラの鉢植えを持って登場。
王 子; お母様。お母様はどこ?
女官S、王子の方を向いて首を振る。
王 子; ♪ お母様はどこへ 僕をおいてどこへ
突然消えた 幸せな日々が ♪
女官S; ♪ 可哀相な私達の王子様 ♪
王子; ♪ 僕は一人ぼっち この世界に残されて
ただ寂しさにうちひしがれるだけ ♪
バラが・・枯れてしまった。
王子、追い下がる。不気味な音楽が続く。
国民達; ♪ 王様と悪しき精霊との間に王子が生まれました ♪
家臣S; 兄と弟は触れ合う事もなく、ほどなく王様は お亡くなりになりました。
悪しき精霊、赤ん坊を抱いて出る。陰鬱な声で
妹君; ♪ この子を王にするのだ ♪
国民達; ♪ 兄王子こそ 新たな王になるべきでしょう
優しい清き精霊のお子である 私達の王子こそ♪
妹君; (高笑い)馬鹿な事を。
国民達; ♪ どうか清き精霊のお子を王に ♪
風音
妹 君; 王になるべきだと?こんな姿でもか!
雷と家臣達の叫び声。王子が野獣に姿を変えて登場。
妹 君; 醜い野獣の家来は鳥や獣こそがふさわしい。
雷と家臣たちの叫び声。家臣達が姿を変えて倒れこむ。
妹君; この後、この国にバラの花が咲く事はないだろう。
清き精霊の声; ♪ みな嘆いてはいけません ♪
高みにかつての妃、清き精霊が現れる。
清き仙女; 王子は呪いをかけられました。けれど、いつの日か彼が心から
愛する女性とであった時、その呪いは解けるでしょう。
♪ その日まで 希望を持って待つのです ♪
カーテンを閉じる。