夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

遠田潤子著「紅蓮の雪」〈集英社文庫〉

2024-03-20 15:35:52 | 本と雑誌

 

両親から愛されず育った男女の双子

結婚が決まっていた姉の朱里は・・・婚約破棄し 二十歳の誕生日に死んだ

弟の伊吹に「ごめん」とだけ書き残して

姉の遺品を整理していて伊吹は 旅芝居の一座の半券があることに気づく

姉からこうしたものが好きだ 趣味だとは聞いたことがなかった

姉の突然の自殺の真相があるのかと この一座の舞台を観劇に出向く

そこで目を奪われたのは一人の女形 鉢木慈丹

伊吹より僅かに年上に思うが 彼には妻も舞台で子役として出る娘もいた

何故か幼少より母から剣道と日舞を習いにいかされていた伊吹

観客として来ていた伊吹に慈丹は 一座に加わらないかと熱心に誘ってきた

姉と一座との接点は見つからないまま 伊吹は一座に入る

 

父親からは冷たい心が凍り付くような言葉しかかけられなかった伊吹

自分は汚いのだ そう思い 人から触れられることも耐えられず

姉の朱里と二人寄り添い守りあってきた

しかし 姉はもう居ない

馴れぬ舞台に立つうちに・・・一座の人々とも打ち解けることが少しずつできてくる

 

かつて一方的に伊吹にしつこいほどの思いを寄せ 叶わぬとなると 逆恨みもした幼馴染の娘の和香が 自分をこんなにしたのは伊吹だと刃物持ち傷つけようとし 慈丹の顔が傷つけられる

いくら告白しようが 拒否され続けているのだから 自分には脈がないーと素直に諦める賢さもなかった娘

また娘の母親も逆恨み体質で・・・まず自分の娘が悪いのだと反省とかそういうこともできない人間

娘がこうなったのは相手のせいだと 他人が悪いと文句を言いにいく

恥をかくのは自分だと思うのだが

まずそういう娘に育てたのは自分なのだと そこが反省できない

まず他人を傷つけたなら まして刃物まで振り回しているのだから 謝罪あってしかるべきだが

というかね この物語の母子は人柄 性格的にもそっくりで

まさしくこの母にしてこの子あり

でも現実にもこういう親子は多い

なるほど この親なら ああいう子も育つよねーと

 

自分の出生の秘密を知り 両親と一座の深い関わりも知って・・・・・一座を抜け出し 母親と向き合う伊吹

父親も苦しんでいた そして 首を吊って死んだのだ

 

朱里もどうして自分たちが生まれたのか どうして両親から愛されないのか知ってしまった

この秘密から伊吹を護ろうとして 独りで死んだ

秘密を知った朱里が向き合った母親は・・・・・朱里を救う言葉などかける女ではなかった

同じ地獄へと・・・・・・

どこか狂いながら生きてきた人間なのかもしれない

 

伊吹は慈丹によって死の淵から引き戻された

これからは両親の子供としてではなく 慈丹の従弟として 舞台に立ち続けるのだろう

 

 

解説は書評家の三宅香帆さん

 

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中山七里著「テロリストの家」〈双葉文庫〉

2024-03-19 19:59:44 | 本と雑誌

 

真面目に真剣につとめてきた公安での仕事

ある日 取り組んでいた仕事から外され 怪訝に思ううち 就職活動中であった長男の秀樹が テロに関わる容疑で公安にひっぱられる

警察官ではあるが公安に所属することは家族にも言ってなかった幣原

取り調べの公安のやりかたは勿論熟知している

 

何故息子がそういう思想に染まってしまったのか

テロリストの家族ということで世間から攻撃を受け 家族からも責められ 職場では疑われる幣原

 

マスコミの取材攻勢 自分たちが正義 鉄槌を下すという上から目線の言葉たち

娘は妻の母親が騒ぎが落ち着くまで預かってくれることになる

幣原という珍しい姓から 連行された秀樹の身内と知られ 娘の可奈絵は学校ではいじめにあっていた

ところが公安が泳がすために自宅へ返した秀樹は 幣原の目を盗み 自室のベランダから脱出

死体となって見つかる

誰が秀樹を殺したのか

 

事件を捜査する刑事たちからは容疑者扱いされ 公安の仲間からは監視される幣原

息子を喪って混乱し悲しみのなか 精神崩壊すら心配される幣原の妻は ある行動に出る

家族を護り 息子を殺した犯人を見つけようと動く幣原

そして幣原は ある人物の言葉から「犯人」を見つけた

 

騒動もおさまりはじめ 娘の可奈絵が帰ってくる

けれど 幣原は娘のことを案じてかけてきてくれた娘の友人からの電話で気づいてしまった

誰がテロリスト志願であったのか

 

妹を庇いまもろうとして身代わりとなった兄

気づいてやれなかった幣原

 

 

どんでん返しを仕掛けるのが得意な作家さん

素直には終わってくれませぬ

 

解説は書評家の細谷正充さん

 

 

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日明恩〈たちもり めぐみ〉著「濁り水」 〈双葉文庫〉

2024-03-17 09:34:55 | 本と雑誌

 

 

 

 

 

 

 

 

成りたくてなったわけではない

続けたくて続けているわけでもないーそんなふうにぼやきながら やるべきことは必要以上にしている大山雄大

職業は消防士

彼を主人公とするシリーズ

今回は 母親が車の下に・・・・・そして水がたまっている

早く助けてくれー

駆け付けた消防士が奮戦するも 車の下から出された母親は既に死んでおり・・・・・

それでも必死に救助にあたった隊員に遺族から投げつけられた言葉は・・・

「どうして もっと早く来てくれなかったの」

 

間に合わなければ・・・それが不可抗力のことであっても 助けようとしている人間だって傷つく

消防隊員だって 救急車の乗員だって「おたすけまん」でも「便利屋」でもないのだ

出来ることとできないことがある

 

まして この場合は・・・・・

 

大山は 台風の時に守った老人とこの死んだ母親の葬儀の日の家の前で再会

するとこの老人は謎の言葉を呟く「助けようはなかったよ」

この言葉の意味を探るべく老人を捜す大山

 

災害にあって 家の安全性を心配する人々をカモろうとリフォーム詐欺をする人間もいる

この住居改悪により火事が起きる危険性もおおいにある

大山はある事に気づき 頼れる友人や守さんの力もおおいに借りて 解決すべくのぞむのだ

 

泥棒して生きてきた老人の決意

それは 孤独な人生のなかで 「ある優しさ」に打たれ その人物の為に力になろうとすること

いいことをしておきたいーそんな気持ちもあったのかもしれない

「いいんだ これでいいんだ」

 

性格の違いから親を恨み憎み殺す娘もいる

人は相手次第で鬼にも菩薩にもなれる生き物

自分の苦しみばかりに目がいき 周囲が見えなくなることもあるだろう

不満ばかりで「感謝する」ことを忘れてはいないだろうか

誰かに「有難う」といえただろうか

心の中でもいいから

 

同じ著者の作品で「それでも警官は微笑う」「そして、警官は奔る」「やがて、警官は微睡る」「ゆえに警官は、見護る」ー武本と潮崎シリーズも

 

 

 

 

 

 

 

 

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あさのあつこ著「渦の中へ」 〈PHP〉

2024-03-16 18:35:31 | 本と雑誌

 

 

医師の藍野松庵の娘として育てられたおいち

彼女は女ながら医師を志すようになる

そして腕のいい飾り職人の新吉と所帯を持つこととなった

 

裕福な商家の妻である母の姉おうたも何かにつけておいちを気にかけてくれている

このおうたと松庵の歯にきぬきせぬやりとりも面白いシリーズ 第6作目になります

 

婚礼の席から治療に出向いたおいちに おうたは婚礼のやり直しをするよーと言ってくる

おいちは同じ長屋から出ていった男のことが案じられて

女性ながら医師を志す娘たちも増える

江戸時代

女ができない なれないと思われた道は多くて・・・・・

女房に死なれて 新しい女性と知り合い家族になろうと 再び生き直そうとしていた男

その気の良さを利用された男

これが偽の犯人と仕立てられ そのお仕置きも迫る中

彼を救おうと 岡っ引きの仙五郎とその配下 それぞれが動くと・・・・・

己の悪事が発覚しないようにと店の主人殺しを企んだ男

彼は罠にかかり正体を現す

 

おいちには 生きていない人を視〈み〉ることがあります

現〈うつつ〉でも夢の中でも 何かをおいちに訴えたいなどと思うモノが姿を見せることも

ゆえに「おいち不思議がたり」

 

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高田郁〈たかだ かおる〉著「幾世の鈴」 〈ハルキ文庫〉

2024-03-15 19:21:59 | 本と雑誌

 

 

BSNHKでドラマ化もされた小説です

 

あきない世傳シリーズ 特別巻の下

学者だった父 そして兄の死後 大坂の商家「五鈴屋」で働くこととなった少女・幸〈さち〉が その聡明さを見込まれ

五鈴屋の三兄弟の嫁に次から次へとなることになった

相思相愛でもあった三人目の夫の死後 大坂では女は店主にはなれないことから

江戸へ出ることを決意

艱難辛苦の末に・・・江戸店も大きくすることができて

店を支え続けてくれた賢輔〈けんすけ〉と夫婦になり 大坂へ戻ることとなった

などというのが本筋

 

第一話「暖簾」

大坂で長く「五鈴屋」の為に尽くしてくれた周助

しかし彼には 最初の店の「桔梗屋」の暖簾を再びかかげたいという宿願があった

もとの桔梗屋の主人 親旦那の孫六が生きている間にぜひとも

ただ店の商いの方法は・・・己の裁量でやってみたいこともあったのだ

そしてどうカタをつけるべくか

ある難問にも頭を悩ませる

 

 

第二話「菊日和」

五鈴屋の店主の妻でいる間から幸を可愛がってくれていた菊栄

五鈴屋の店主と離縁しても 幸のことは何かと心にかけていてくれた

菊栄自身もなみなみならぬ商才があり 常に新しい商品を心がけている

本両替商の主人となった かつての五鈴屋三兄弟の次男だった男は 五鈴屋につながる者をそれとなく気にかけている

 

第三話「行合〈ゆきあい〉の空」

その犯した罪ゆえに夫と共に江戸を追われた結〈ゆい〉

姉の幸と自分を比べ 妬み羨み どういう手段を使っても姉に勝とう

陥れようとした結果・・・・・

どうにか夫と旅籠を切り盛りし 二人の娘を育て

なのに姉の幸を思わせる姉娘の言動が・・・気に障る

夫への不満 かつての栄耀栄華が忘れられず

二人の娘が病気で死にかけて初めて 自分がしようとしていたこと

そのあさましさ みにくさに気づく

母や姉が自分へむけてくれた真心・愛にも・・・ようやくようやく遅ればせながら

それなのにただ迷惑ばかりかけてきた自分

それでも気づかないよりはまし なのかもしれない

 

 

第四話「幾世の鈴」

江戸から大坂へ戻ってからの幸と夫の暮しが描かれる

五鈴屋に幸の人生に関わってきた人々 彼らの様子も

 

次の百年に向けて 五鈴屋が続いていくようにと

書かれ始めるものがある

それこそが「あきない世傳」

 

 

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あさのあつこ著「野火、奔る〈のび、はしる〉」 〈光文社〉

2024-03-14 09:50:00 | 本と雑誌

 

 

「弥勒」シリーズ12作目

本の帯には

ーあさのあつこが とまらない

読めば読むほどスリリングー

ーひりつく男と男

ニヒルな同心木暮信次郎X元刺客の商人遠野屋清之介

尋常ならざる者たちの本性に迫る

「遠野屋」を次々と襲う不穏な動き、

血の匂い、底なしの闇。

炙り出される真実とは?ー

 

今は遠野屋で住み込みで働くおちやだが 八代屋へ引き取られ娘として育てられた

そして遠野屋との縁談を持ち込まれたのだが

おちやを引き取り育ててくれた先代は横死を遂げ 様々なことのあと

おちやは遠野屋で働くことを選んだのだ

そのおちやに八代屋の手代の井平が町なか近づき 強引に連れ帰ろうとする

居合わせたおくみと逃げ帰るおちやだが

 

いっぽう遠野屋の大切な荷を積んだ船が行方しれずになる

誰かが動いているのか 思案に沈む遠野屋の主人清之介

 

匕首で殺された男がいる

死体の検分をする木暮が気づいた妙なこと

再びおちやがかどわかしにあい 一緒にいたおくみも酷い傷を受ける

 

八代屋の主人の長太郎はさらってきたおちやが言うことをきかぬことに逆上し 襲いかかる

商売の才も無く 望む縁談も破談になりそうで そのことごとくに遠野屋と比べられてのことと・・・・・

自尊心ばかり高い男の僻み心

それを利用し遠野屋を潰しておきたかった人間

彼らの仕組んだこと

その将来〈さき〉までも見抜いていた木暮

 

事は一旦解決したが 物語の終わりはまだまだ不穏なものを見せている

底に隠れているモノは ひどく恐ろしく残酷であるかもしれない

はたして みんな幸せ 大団円ーなんて終わり方をこのシリーズは迎えることができるのだろうか

それとも誰かが欠けるのか・・・・・

ゆえにこわいものみたさで 読み続けてしまうのかもしれない

 

 

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柴田よしき著「別れの季節〈とき〉」 〈ハルキ文庫〉

2024-03-14 09:35:08 | 本と雑誌

 

「お勝手のあん」シリーズ第9作目

父親に売られた小さなやせっぽちの女の子やす

手違いから旅籠の下働きにと

そこで品川で旅籠をする紅屋の大旦那様の目にとまり 紅屋の下働き

お勝手女中として住み込みで働けることに

紅屋ではおなかいっぱいご飯を食べることができた

それまでの暮しは ろくに金をいれない父親のため 母親違いの弟と何か食べるものを拾って工夫して・・・どうにか弟に食べさせる

 

紅屋の料理人の政一は やすの料理人としての才を大切にし導いてくれる

努力と精進を惜しまなかったやすは 料理人としての職

認められてこれまでは住み込みであったけれど 通いの人間になる

いっぽうやすの大切な友 お小夜は産んだ子供のことで悩んでいた

お小夜の夫は子供の為に大きな決断をする

その大店を親戚に譲り 人目も多い江戸から長崎へ移り住むということ

一緒に長崎へ行かないかーと お小夜はやすを誘う

迷ったけれど やすは自分がどう生きたいかどうなりたいのか考えての決断

お小夜も受け入れてくれた

 

幕末近く 時代も進んでいきます

市井の人々も感じずにはいられない世の変化

これから更に激動の時代を迎えることになるのですが

 

 

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小路幸也著「花咲小路二丁目の寫眞館」〈ポプラ文庫〉

2024-03-12 16:48:05 | 本と雑誌

 

 

 

寫眞館の就職で当日採用

スタジオの二階に住み込みOKという願ったりかなったりの職場を得た桂樹里〈かつら じゅり〉

何故か写真館の主は撮影しない・・・・・

それは彼が人物を撮影すると不思議なモノが写るからーーーーー

確かめようとした写真館の主・・・久坂重〈くさか じゅう〉と樹里は 過去へとタイムスリップ

 

そこで樹里の母と久坂寫眞館に関わりあったことが判明

トラブル解決の為に久坂はある人物を頼った

 

再び現代に戻った久坂と樹里

今度は過去にトラブル解決に動いてくれた人間ともども 三人でまた違う過去へタイムスリップしてしまう

 

アーケードが燃えた商店街の火事の真相

犯人は誰であったのか

 

花咲小路シリーズ

ちょっと不思議で実在してほしいような街の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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別冊 暮しの手帖  台所と暮らし  〈暮しの手帖社〉

2024-03-08 16:03:44 | 本と雑誌

 

 

表紙を開いて こんな言葉が目に入ってきます

「これは あなたの手帖です

いろいろのことが ここには書きつけてある

この中のどれか一つ二つは

すぐ今日あなたの暮らしに役立ち

せめてどれかもう一つ二つは

すぐには役に立たないように見えても

やがてこころの底ふかく沈んで

いつかあなたの暮らし方を変えてしまう

そんなふうな

これはあなたの暮しの手帖です」

「台所は暮しの工場です

台所は暮しの心臓です

そこで暮しをうごかす力が作られ

そこから家中みんなにゆきわたり

そしてまたそこへかえってゆきます

このちいさな場所に日があたり

このちいさな場所に歌がひびき

このちいさな場所に微笑があるかぎり

暮しはさわやかに回転してゆき

明るい明日が 明るい今日につづきます」

ー1993年「暮しの手帖」第1世紀69号

「ステンレスの流しの研究」よりー

 

そしてあらためて表紙を眺めれば こんな一文も

ー健康や楽しみ、会話や笑顔・・・・・・「大切なもの」は台所で作られるのですー

 

本の内容は 「暮しの手帖」に長く携わった大橋鎮子さんが暮らした家の台所

また料理などに関わる方々の台所

それぞれの方の家へ台所へ寄せる思い

少し昔の日本の家の台所

 

台所のための縫い仕事

 

台所掃除の基本

 

主に台所についての様々な記事 エッセイ

そんな特集号

 

私は専攻が家政科で 住居学なども講義を受けて

その頃の理想的なキッチン配置なんて図面も課題で描いたことを思い出しました

台所は いえ生活は便利な道具に囲まれていて ある程度の広さは必要なものです

明るさ 風通しの良さ

清潔が保てて

 

けれど そうした便利さだけでは得られないモノもあるかもしれません

台所エッセイ 岡根谷実里さん「草原の台所」

中央アジアに位置するキルギスで出会った暮しについて書かれています

夏でもダウンジャケットが必要なほど寒いそうです

遊牧。。。。ポズィという移動式住居では まず水を確保しないといけません

移動式なので水道などないからです

 

もしも興味がおありなら↓キルギスについて

キルギス - Wikipedia

 

 

スイッチを押せばなんでもできる 街の暮しとは異なり

その不便さを愉しむように暮らしている人々

 

少し前にキルギスに触れたテレビ番組を観ていましたので 読みながら TV画面で観た景色が蘇ってきました

街であっても廃墟のような場所もあり それでも国を離れず 自分の国が好きだから

頑張って逞しく生きている人々

 

人が生きていくうえで 何よりも台所は安心できる場所でありたいなどとも思います

 

日々の暮らしを大切に・・・・・なんてね

ちびっとだけ?!思ったりして

だけど人とは忘却し続けるお気楽な生きものでもあったりする・笑

 

 

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平野稜二作「鬼滅の刃 外伝」ジャンプコミックス〈集英社〉

2024-03-07 20:25:38 | 本と雑誌

 

本の内容紹介から

ー水柱・冨岡が出会ったマタギの娘・八重は父の仇を討つため山に入るが――!? そして、炎柱になる前の煉獄と鬼との戦いの行方は…。『外伝』二本、炭治郎たちの“ゆる”活劇譚4コマ『きめつのあいま!』も完全収録の公式スピンオフ!!ー

 

 

なんとなく・・・「鬼滅の刃」熱の名残りで手に取ってしまった

キャラが動いているのが楽しかったです

 

 

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野田サトル作「ゴールデンカムイ 31巻」 〈集英社〉

2024-03-07 20:10:58 | 本と雑誌

 

 

 

 

第303話 暴走列車から第314話大団円 までを収録

 

列車内で鶴見に従う兵士たち

土方ほか男たちの死闘 その死にざま

この戦いにヒグマまでもが特別出演・・・・・

闘いを更に血なまぐさいものとする

 

主役は・・・不死身だった

杉元とアシㇼパも落ち着くべきところに落ち着き

 

脱獄王白石も・・・よぉくぞ生き残った・・・

うん なかなかいい終わり方であったと思います

 

既に作者は新しい物語「ドッグスレッド」に とりかかっており

2024年1月2月と続けて1・2巻が発売されております

 

 

 

 

 

 

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吉永南央〈よしなが なお〉著「薔薇色に染まる頃」〈文春文庫〉

2024-03-06 21:11:49 | 本と雑誌

 

珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」の店主の杉浦草〈すぎうら そう〉は若い時の離婚で別れた夫の方で育てられた男の子が・・・まだ幼い時に死んでしまった

その子の面影をずうっと追っている 心の底に置いている

人は誰しも「もしも」 そういう思いを抱いて生きるものだから

たとえ幾つになろうとも

器のことだけ商売のことだけ 考えて生きていけるわけでもない

だから人は期せずして厄介ごとにも巻き込まれる

いろんなものを背負ってしまう

 

ある品を受け取りに出かけた先で・・・気にかけていた若者ユージンが死んだと教えられる

堅気ではない父親を持ちどうにか生き抜いていたらしいユージン

草はユージンから もしも自分が死んだ時には・・・と 頼まれていた事があった

隠し場所からその品をどうにか届け新幹線で京都に向かう途中 その車内で女性から 連れの男の子を頼まれる

その女性は男たちに追われていて 駅で血を流し倒れた

草は男の子を守る逃避行を始める

幾人かの力を借りて なんとか男の子を守り抜くが・・・・・・

 

草を助けてくれる面々も心強い

酷い父親を持ってしまった子供たちの逃避行

 

そして男の子を迎えに現れたのは・・・・・

 

どうやって逃げるか・・・ってハラハラしながら読み急いでしまいます

 

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松嶋智左〈まつしま ちさ〉著 「巡査たちに敬礼を」〈新潮文庫〉

2024-03-06 11:31:18 | 本と雑誌

 

 

御津雲〈みつくも〉署を舞台に描かれる連作短編集

「障り」で少女だった淳奈が最後の「署長官舎」では交際中の男性が存在し結婚を考えるまでとなっています

 

「障り」

槙田水穂 5年目になる交通総務係の係長

御津雲署では監察が来ると大騒ぎに

監察の一人は水穂と同じ「槙田」姓の女性・結衣だった・・・・・

いまも娘の淳奈のことを考えて別れた夫の姓をそのまま名乗っているが

離婚した夫は 若い女性と結婚 それが結衣

 

やがて水穂は自分こそが調べる対象であったのだと知る

 

 

「罅」

レッカー移動取り締まり中に 警官が気づいた「ある異常」

その車を取り戻したかった「ある理由」

誰かを助けるために警官がとった行動は・・・・・

 

 

「拝命」

警察学校の生徒たちが遭遇した事件

自分たちにできることを・・・・・

生徒たちを温かく見守る指導者たち

 

「南天」

交通事故はよく起きる

その被害者たちに毎回寄り添いすぎては警察官といえど身が持たないだろう

それでも同じ人間なのだ

気遣う心が失われてはならない

 

 

「穴」

上司の不正に気づいてしまった内野実咲

慣例だからなどと見逃してよいものか もやもやしたものを抱えていたが

彼女は自分が信じる正義の為にできることをやる決意

 

「署長官舎」

署長の入れ替わりに際して 署長官舎の掃除をすることとなった総務課総務係の丸野篤史巡査長

ところがそこで人骨らしきものが見つかって

署長の五明には連絡が取れず

総務係長の見城昌夫警部補に指示されるまま 五明が現れそうな場所を探すことになる

御津雲署署長に代々伝えられてきた人骨

これを五明は明らかにして 終わらせようとしていた

 

そしてまた丸野にも知っていてほしかった

彼が見どころある警察官であるゆえに

 

交際中の女性のことで迷っていた丸野

 

そして御津雲署は四月から新しい署長を迎えることになる

 

 

 

解説は作家のあさのあつこさん

この解説は こう結ばれています

ーそう、「巡査たちに敬礼を」は、ジャンルとは無縁の人間ドラマなのだ。

人間だけが生み出せるドラマがここにある。

だからこそ、人の心に届くのではないだろうか。

いつかまた、御津雲署の新たな面々と出逢えることを、心から楽しみに待ちたいー

 

 

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葉室麟「はむろ りん〉著「不疑」〈角川文庫〉

2024-03-04 14:35:58 | 本と雑誌

 

 

1951年 北九州市小倉区生まれの作家 葉室麟は2017年12月に亡くなっている

この文庫本は2024年〈令和6年〉1月に初版発行されている

亡くなってなお その高い人気を示すかのように・・・・・

質の高い作品を発表し続けてくれた作家さんでした

 

「鬼火」

幕末 天才剣士とうたわれた新選組の沖田総司は 胸の病で死んだと言われている

その人気の高さを示すかのように舞台・小説・映画・・・果てはゲームにも名前が使われている

この沖田総司と 新選組で暗殺された芹沢鴨の意外な接点・交流

好色で粗暴などと描かれることも多い芹沢

だがしかし 本当のところはどうだったのだろう

かつて芹沢が死を覚悟した時に 辞世の句として詠んだ歌が作中に出てくる

雪霜に 色よく花の さきがけて 散りても後に 匂う梅が香

 

「鬼の影」

京都 山科にあって遊興に耽っているように見せていた大石内蔵助

藩の存続 復興が叶わぬとなり 討ち入りにいたり 本懐遂げたのち切腹

短い中で 緊迫した斬りあいのヤマもある

享年45歳

辞世の句は

あら楽し 思いは晴るる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし

 

 

「ダミアン長政」

黒田官兵衛の息子の長政の関ケ原ではたした役割 その真意

また石田三成の言葉の意味を解き明かしたのだと

彼は 石田三成を「一粒の麦」にたとえてたたえた

 

「魔王の星」

天文にも興味を見せた織田信長

現れた巨大な彗星は凶星か それとも

 

 

「女人入眼」

頼朝亡きあと 鎌倉を守り抜いた北条政子

己の死後も考えて 打っていた手

近年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の場面などもつい浮かぶ

幾度も逆縁にあい母親としては辛い人生でもあっただろうに

 

 

「不疑」

中国の漢の時代にあった役職 それは知事と警察長官を兼ねたような・・・日本でいえば江戸時代の町奉行にも似たような役目であったのだと

この仕事にあった不疑という人物が 解いた事件を描いている

 

 

村木嵐〈むらき らん〉さんが「圧倒的なリアル」と題して書かれた解説も収録された作品に丁寧に触れておられて

葉室麟という作家さんにもっと寿命があったならば どのような分野の作品を書かれただろうかと

崩れない品格ある作風も惜しまれる

 

 

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堂場瞬一著「刑事の枷」〈角川文庫〉

2024-03-02 09:16:39 | 本と雑誌

 

新人刑事の村上は現場で型破りな警察官を見る

初めて見る男であったがー同じ署の先輩刑事の影山で 他の刑事たちから「影山には近づくな」と教えられる

しかし何故か影山は 単身追っている過去の迷宮入り事件の捜査を手伝うように言う

襲われて殺された女性

逮捕できなかった犯人

当時の捜査から影山は外されていた

何故そこまでこの事件に固執するのか

一方現在捜査中の殺人事件の被害者は 影山の友人に一度は話をしたいと言ってきた男だった

過去と現在と二人の被害者

この二人を結ぶ人物が浮かび上がる

村上の頭の中でつながった点と点

説明するために村上が作ったメモを読んだ影山も事件の真相に気づいて・・・・・

影山が何かしでかさないかと焦る村上

 

過去の殺人事件を迷宮入りさせた犯人は影山をも焼き殺そうとしていた

警察学校時代の村上の行動から 影山は彼を買っていた

誰に対しても何に対しても揺るがない正義

この一途さをいとおしむように村上に助力してくれる先輩刑事たち

 

取り調べで「犯人であること」をきっちりつめた村上は 入院中の影山に 希いをこめた言葉をかける

 

本作は2021年1月に単行本として刊行されています

刑事・影山の復活はあるのでしょうか

村上の姿を描かれることもあるのでしょうか

愉しみに待ちたいと思います

 

小説を読み始める前に読んで それから読了してからも読み直さずにいられないー

解説を書かれたのは ミステリー書評家の若林踏〈わかばやし ふみ〉さん

 

 

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