夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

知念実希人著「火焔の凶器」 〈実業之日本社文庫〉

2024-04-18 21:15:00 | 本と雑誌

 

 

陰陽師の呪いで人が死ぬ

平安時代中期に活躍した蘆屋炎蔵・・・その墓を暴いたものには祟りがあるのだと

炎によりて人を呪殺 これが得意な術者であったと

既に焼け死んだ人間もいる

ゆえに呪いに怯え体調崩し それらすべてが呪いゆえと信じ自分の部屋から出てこなくなった者もいる

 

謎解きが好きな天久鷹央〈職業・医師 性別・女性〉が取り組み 否応なく小鳥遊も巻き込まれ

果ては警察からは放火殺人犯ではと疑われるはめにもおちいる

そして愛車は燃やされる

 

天久鷹央の推理カルテ・シリーズ

7か月連続16冊刊行中

 

 

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知念実希人著「羅針盤の殺意」 〈実業之日本社文庫〉

2024-04-18 14:35:04 | 本と雑誌

 

 

小鳥遊優〈たかなし ゆう〉統括診断部を率いる天久鷹央副院長のもとで研鑽積む とても真面目な医師・・・

人柄の良さから後輩からもいじられる始末だが

鷹央のお守りを一手に押し付けられている犠牲者ともいえる

奇病難病謎事件 とにかく興味をひかれた対象であれば一直線の鷹央

小柄だが頭脳明晰 人間性にはおおいに難ありー

心の奥底はとってもあったかくて優しく繊細だけれど その言動からは伺えない

鷹央のウイークポイントは姉

さしもの鷹央もお姉ちゃんには逆らえないのだ

今回 鷹央はとても大切な人の死に遭遇

師から挑まれた謎も解く

 

塗料を塗られる猫たちの謎

病死と思える死を迎えた人間がいる

これは もしや殺人なのか

 

それとも

 

鷹央の理解者ともなりつつある小鳥遊

しかしいつか二人にも離れる時も訪れるのだろうか

 

 

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知念実希人著「神秘のセラピスト」 〈実業之日本社文庫〉

2024-04-17 13:27:45 | 本と雑誌

 

 

人混みの中にいると体が腐り始める

寄せられた相談に往診に出かける鷹央と小鳥遊

ちゃんと理由があっての病気だった

 

治療で若返る・・・なんてことがあるのか?!

「気」で?!

不自然なことには理由がある

 

 

かかっているのは女の子の命

手術をしなければ助からないのに

 

女の子の母親はエセ聖人の言葉を信じ込み 手術を拒否

鷹央のとった手段はー

 

 

小鳥遊は いたって真面目な青年なのに・・・・・

周囲の人間にめぐまれない

いいオモチャ

 

けれど それは見方を変えれば 小鳥遊の人徳かもしれない?!

まだまだ彼の女難は続きそうです

 

 

 

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知念実希人著「密室のパラノイア」 〈実業之日本社文庫〉

2024-04-16 21:19:40 | 本と雑誌

 

 

男を振った女が観たら呪われるーなんて呪いの動画があるという

双子の姉の真夏に誘われて観た真冬は 自分でも気づかぬうちに線路の上に落ちていて

危なく轢かれるところだった

断じて自殺をはかったのではない

 

不可解なこと 不思議なことにはのめりこむ謎解き得意の天久鷹央は早速首をつっこむ

再び動画を見た真夏も階段から落ちて・・・・・

呪いの動画そのものは稚拙なものだが 何故これが姉妹に影響を与えたのか

例によって周囲には多少の迷惑かけながら 鷹央の導きだした解は

 

鷹央が下僕のようにも扱う小鳥遊

ところが彼がいなくなるということは

 

小鳥遊の異動を阻止すべく鷹央の取り組んだ謎は

 

密室で溺死した男

誰かが殺したのか

ならば犯人は

それとも

 

このシリーズでは様々な病名と出会うことができます

ちゃんと診断できるものでもあったりするのです

 

 

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火坂雅志著「黒衣の宰相」上・下巻 〈朝日文庫〉

2024-04-13 14:41:58 | 本と雑誌

 

 

 

徳川家康の懐刀・金地院崇伝ーとある

一体 何者か?

豊臣秀吉の死後 淀君と秀頼を死に導くいちゃもんづけをした坊主 僧侶と書けばいいだろうか

 

あの鐘に刻まれた碑文「国家安康」の言葉が 家康の名を切り離して呪いをかけている・・・などと

 

これはその崇伝が没するまでを まるでそこにその人が生きているように書き上げられた物語

 

戦いの中で家を身分をうしない 幼児の頃に禅寺で育った青年には野望があった

己の学識で世に出るのだと

世界を知ろうと海を渡ろうとして果たせず

 

やがては己が敢えて憎まれ役 悪役を引き受け

戦いのない世の中をこそ目指した

数奇な人生と言えるだろう

 

ひとりの人間として息づかせた作者の力量 すごしーと思う

数々の資料も読み解いて

 

作者のあとがき

文芸評論家にして国文学者の島内景二氏と文芸評論家・末国善巳氏の解説があります

 

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アンソニー・ホロヴィッツ著「モリアーティ」〈角川文庫〉

2024-04-11 19:53:25 | 本と雑誌

 

 

 

 

「絹の家」に続く アンソニー・ホロヴィッツによるシャーロック・ホームズ関連小説

シャーロック・ホームズはコナン・ドイルの小説の登場人物にして有名な探偵

後世の他の作家たちも好んでホームズ物のパロデイを書く

 

いまだ愛され続けている名探偵

モリアーティというのは そのホームズも恐れた犯罪王

けれどホームズと格闘し 滝に落ちて死んだ

ーことになっていた

そこを逆手にとったのが本作品

 

ホームズが生きていたのなら 同様にモリアーティが生きていても不思議はあるまい

何の不都合ありしやと

ほぼ情け容赦なく他人の生命を奪う

友人と呼びつつ 不都合となれば 簡単に消せる

 

読みながら 読者が煙に巻かれませんように

 

訳者は駒月雅子さん

 

解説は・・・作家の有栖川有栖さん

 

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愛川晶〈あいかわ あきら〉著 「化身」 〈創元推理文庫〉

2024-04-10 17:51:46 | 本と雑誌

 

両親とも鬼籍の人となり 天涯孤独で親戚も居ない身の上の女子大生の操

届いた封筒の中には 覚えないはずなのに気にかかる写真が入っていた

写真に写されたものから 大学の先輩の坂崎が調べて その場所を突き止める

その保育園では過去に預けられた子供が誘拐される事件が起きていた

しだいに自分の過去が信じられなくなる操

両親は誘拐犯人で 自分は誘拐された子供だったのか?!

坂崎の助言で自分の戸籍を調べてみると・・・・・

 

操を護るために両親のはらった犠牲

その尊い愛

 

その行動につけこむ犯人の狡い行動

彼らはついに殺人も犯した

 

混乱のただ中にある操を救う坂崎の登場

 

やがて迎える結末は かつての2時間ドラマにも似た

 ほっとさせる終わり方

 

解説は大矢博子さんです

 

 

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柴田よしき著「ねこまち日々便り」上・下巻 〈祥伝社文庫〉

2024-04-06 07:52:40 | 本と雑誌

 

 

 

 

 

廃線近いと噂される柴山電鉄根古万知〈ねこまんち〉線

終着駅の根古万知駅

ここの駅長が不在になるという

駅前商店街も開いている店は数えるほど

ほぼシャッターが下りている

寂しい限りだ

それでも この町で育った想い出を胸に戻って来る人もいる

かつては賑やかな時代もあった町なのだ

炭鉱で暮らす人々もいた

時代によって栄える場所も移り変わるものだけれど

諦めたように生きている住人も多い

 

老人が若い頃に命を救われた猫だと連れ帰った猫

しかし 老人の妻は猫アレルギー とても飼えない

老人は猫を追い出すくらいなら お前が実家に帰れ

なんてね夫婦喧嘩

見かねた孫娘は猫の貰い手を捜す

離婚して実家に戻り 商店街の中の喫茶店で働く女性・・・愛美が引き受けることに

 

駅で働く愛猫家の恵子も 愛美が働いている間は その猫を駅に置いておくといいと言ってくれる

誰に触られても嫌がらず車も平気な猫

人をひきつける不思議な猫

 

招き猫のように 駅にいる猫は人を集める

もっと人が居続ける場所にしたい

何かできないだろうか 愛美をはじめとし幾人かがその「何か」を考えるようになる

人が来たい できれば住み続けたいと思えるような そういう場所にできないだろうか

生まれ育った町を かつてのように人が行きかう場所へと

こうして・・・挑戦が始まる

できることを 今できることは何なのか

商店街再生 町再生に向けて 事は動き出した

人々は思い出す

商売とは儲けるものなのだと

日々生きられればいいと過ごしてきたけれど

かつては夢があったのだ

客を呼ぶための工夫

そうした努力をいつしか捨ててしまっていたかもしれない

 

夢を見て それを実現するための努力

「何かすること」

何かやってみなければ始まらない

もしも失敗しても 誰かがその夢を引き継いで いつかは成功してくれるかもしれない

とにかく動きださなければ

 

・・・・・なんてね 思わせてくれる あったかい物語です

失敗しても 生きている限り 人はやりなおせる 生きなおせるものだから

 

 

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堂場瞬一著「ラットトラップ」〈講談社文庫〉

2024-04-05 08:37:06 | 本と雑誌

 

 

 

本作「ラットトラップ」の10年前の前日譚が「ピットフォール」になります

この「ピットフォール」は 「ラットトラップ」文庫本の帯による紹介文には

ー10年前の前日譚

 

1959年、NY〈ニューヨーク〉。

華やかな成功の陰で、暗い落とし穴〈ピットフォール〉が口を開ける街。

元刑事の探偵のジョーは、役者志望の女性の行方を捜してほしいと依頼を受ける。

だがその矢先、黒人の探偵仲間ウィリーが殺されたとの報せが。

残忍な手口は、女性ばかりを狙う連続殺人事件と同じで・・・・・。-

 

それから10年ぶん 年を重ねたジョー・スナイダー

探偵志願で自分の家のことは話したがらない・・・若いリズ・ギブソンが仕事を手伝っている

そのリズの近所に住む娘メアリが 姉を捜してほしいと相談にやってくる

若者たちが集まる音楽の祭典に出かけた姉が行方不明

姉のジェーンは家出した可能性も否めない

雲をつかむような話

それでも手がかりを求めて 探し始めたジョーだが

 

ジェーンは殺されて見つかった

おかしな男

中年女

バイク強盗

別の行方不明の娘

一つのロープを作るように ばらばらの要素が一本にまとまっていく

野球が好き

音楽が好き

これまでの人脈を武器として 体当たりも辞さず

 

カルト宗教詐欺のような男がいる

それに仕えているのか もしや操っているのか そんな女も

食い物にされるのは純粋な心持つ若者たち

 

事件解決後 意外なリズの素性も

リズはジョーがよく知る人物につながる娘だった

 

 

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五十嵐貴久著「リベンジ」〈幻冬舎文庫〉

2024-04-04 11:01:22 | 本と雑誌

 

「リカ」シリーズ第八弾

 

 

「リバース」

「リセット」

「リフレイン」

「リハーサル」

「リカ」

「リターン」

「リベンジ」

「リメンバー」

「リカ」シリーズはクロニクル形式になっているので・・・この順番で読んでいただけたらーと著者からのお言葉があります

どの本から読んでも独立した物語としても楽しめますが

クロニクル形式とは 年代記を意味するので 時系列に沿って読むもよし と

 

ところで この「リベンジ」を著者が書くまでに 少し嫌なことも起きたようです

大きな事件があれば 似た作品を捜し この作品の影響があるのではーなんて

こじつけた偏見で 煽るようなコトを書かれたりします

映画 漫画 小説 そういう被害にあってしまった作品もかなりあります

記者さんはネタを見つけるのがお仕事

無ければ作ってでも 自分の書いたものがカネになれば良いお仕事ですから

人の言葉もゆがめて書いたり・・・ね

 

一つの物語を書き上げること

世に出た時点で それは著者の手を離れます

その物語を読む人が どう解釈するか それは読む人それぞれ

感想は一人ひとり異なるでしょう

そこまで著者に責任を求めるのは間違っている どうかしていると思います

感想に正しい答えーなんてありません

 

さて物語は 

リカという女がいます

身長170センチほど ひどく痩せている

肌の色も美しくない 泥のような・・・

感情が激するとその体から凄まじい悪臭を放つ

自身の夢〈妄想〉の生活にそぐわないものは排除する

自分の人生からデリートするためには 放火 刺殺 

殺人は正当な行為なのです

これまでもかなりな人間が惨殺されてきました

リカを撃ち 「射殺した」と思われている女性刑事の青木孝子は懲戒免職

現在は主に不倫調査の仕事が多い興信所で調査員として働いています

けれど青木は安心していませんでした

リカが生きていて自分の命を狙っている

その不安から逃れられないのです

リカの死体は見つかっていません

運ばれた場所から消えたのです

また 落ち目の男は報道に戻るために リカが関わった事件に目をつけます

これまでも色々と「やらかしている」男・佐藤は その肉体を手に入れたいと思う女性を連れて リカの行方を追って大阪へと乗り込む

青木は別の伝手で京都へリカを捜しに

 

ところがリカは東京に現れます

佐藤は これまでやらかしたことの「報い」を受けることに

青木と警察

それでも死なないリカ

プチ・リカも登場

血もざくざく流れるので 気の弱い方にはおすすめできません

 

 

「リカ」との最初の出会いは 2003年のドラマでした

リカに出逢う本間を阿部寛さんが演じています

リカ役は浅野ゆう子さんでした

 

高岡早紀さんがリカを演じたドラマや映画もありましたね

 

 

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知念実希人著「白銀の逃亡者」〈光文社文庫〉

2024-03-31 19:23:44 | 本と雑誌

 

 

連続して夜勤を希望する医師の岬純也

彼には秘密があった

ある病気の後遺症の副作用でドラキュラもどきに 昼間は怠く動きづらい

外見の特徴は・・・瞳が・・・白銀色に輝く

だから彼は黒のコンタクトレンズを使用して ごく普通の人間のふりをして生きてきた

病気の後遺症で ドラキュラもどきの怪力を得た人間たちは・・・ヴァリアントと呼ばれ恐れられ 忌み嫌われている

ヴァリアントの青年の行為により 感染した娘が病死したから

この青年は捕らえられている

ヴァリアントとなった人々の隔離場所から ある目的をもって脱走した少女は 純也に同族の匂いをかぎつけ 囚われの身の兄を自由の身にするための協力を乞う

しかし娘を殺されている父親は彼らを追ってきて

 

ヴァリアントになりたい女性

政権を奪われた政治家たちの思惑も絡み 事は動いていく

いやいや巻き込まれたはずの純也もいつしか戦うはめに

 

 

読み始めた時に これはいやな暗い終わり方をしないかーと思いましたが

うんうん まあ いろいろ うまくいって良かったねーなどと

そんな割かし明るい終わり方をしてくれました

 

 

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畠中恵〈はたけなか めぐみ〉著「わが殿」上・下巻 〈文春文庫〉

2024-03-28 14:01:06 | 本と雑誌

 

 

 

幕末 小さな大野藩も借財にあえいでいた

15歳の若殿の利忠が目をつけたのは・・・まだ19歳の内山七郎右衛門

後年 利忠は七郎右衛門のことを「打出の小槌」と呼ぶことになる

あまりにも多額すぎる借財返済の為に 七郎右衛門が手をつけたのは銅山だったが

「誰かに」背中を押され負傷する

江戸から明治へ世の中は大きく変わり 最後まで利忠との約束を果たし 大野藩の為に生きた七郎右衛門

75歳で没するまでの奮闘ぶりを十章に分けて描かれている

 

 

「しゃばけ」で世に出てシリーズ化し 他にも「まんまこと」など人気シリーズを抱える著者が これは初めて書いた歴史小説

実在の人物をとても魅力的に書いておられます

 

解説は文芸評論家の細谷正充さん

 

 

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マイクル・コナリー著「正義の弧」上・下巻 〈講談社文庫〉

2024-03-23 10:22:05 | 本と雑誌

 

 

 

長年 警察官を続けてきたが 私立探偵として生きようとするハリー・ボッシュを かつて同じ事件で組んだレネイ・バラードが立ち上げた未解決事件班に参加してくれと話しをもちかける

ボッシュが現役時代に犯人を逮捕できなかった事件を捜査しなおしてくれていいからーという条件で

ボッシュが気がかりだった事件とは 一家四人が行方不明となり その死体が埋められた砂漠で発見されたというもの

 

そしてレネイが新しく未解決事件を捜査する班を立ち上げる条件は 市会議員のジェイク・バールマンの若くして殺された妹・・・・・彼女を殺した犯人を見つけてほしい・・・・・

長年警察官として生きてきたボッシュには それなりの人脈もある

何よりも刑事としての勘

殺された 被害にあった人たちへの真摯な思い

だが・・・もうボッシュの体はぼろぼろだ

若い時とは違う

それでも不屈の精神で事件に 犯人に立ち向かう

今回もボッシュは幾度も危機にあう

銃口を向けられ 負傷もする

それでも・・・怯まない

 

一つの大きな事件が解決した後 ボッシュは姿を消す

一家四人殺しの犯人の逃亡先の手がかりを得て・・・単身そこへ向かう

当初 ボッシュには別な目的もあったが・・・・・

一方 連絡がとれなくなったボッシュを案じるレネイとボッシュの娘は 二人してボッシュの家に行き・・・・・そこでなんとも心配な薬を見つけてしまった

 

人の生命は永遠ではない

死ぬが運命 此の世に生まれてきた限り

消える時は やってくる

 

そうした寂しさ 或る種の苦さも

いつかマイクル・コナリーの作品からボッシュの名が消えてしまう日も訪れるかもしれません

 

 

古沢嘉通さん「訳者あとがき」では いつもマイクル・コナリーの作品や今後の翻訳予定についても書いて下さっています

 

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染井為人著「海神〈わたつみ〉」 〈光文社文庫〉

2024-03-22 06:44:02 | 本と雑誌

 

 

著者によるあとがきのタイトルは「3.11を死なせてはならない」だ

著者は東日本震災の被害者ではないが 震災後しばらく無気力状態が続いたという

そんな著者の耳に飛び込んできたのが 歌手の泉谷しげる氏が震災後の復興支援活動をしている際に 飛び交う揶揄に対して発した造語「一日一偽善」

著者はこれをいい言葉だなと思ったとか

当時イベンターだった著者は 〈この言葉に背中を押されたのかわからないけれど〉復興支援のビジネスに能動的に関わるようになったが

あくまでビジネスとしてであり ボランティアではないので 無償で復興に貢献していた方々とは一線を画すのだと

しかも震災時の現地の混乱に乗じて 詐欺横領 窃盗 性暴力など人ならざる行為を働く者たちも少なからずいたようだ

 

この小説「海神」を執筆しながら それらの悪をもれなくつめこんだが 書いていて自分の心に澱みのようなものがたまり書けなくなった

それを完成させるべく再起させてくれた一冊の本

それが読売新聞社・著「記者は何を見たのか」

記者たちが心血を注いで紡ぎあげたルポルタージュ

記者たちの矜持と覚悟

自分たちが見たものを 人々に後世の人々にも伝えるのだという

 

著者は「死」は二度訪れると記します

肉体が滅びた時

人々の記憶から忘れ去られた時

 

であるならば 3.11に二度目の死を与えてはなりません

この物語が3.11の生に貢献できることを願って

 

ー書かれた物語・・・なのだそうです

 

 

さて「海神」は 震災の被災地に「何かできることはないだろうか」と身一つで駆け付けた女子大生の椎名姫乃が 天ノ島で献身的に働いている様子

その彼女が島で金儲けを企む男を知らずに騙され やがてその悪事を知り

知ってしまったことで その肉体まで汚されてしまう

 

また島を大切に思う 震災で両親を失った記者

島の助産婦を長く続け孤児たちの世話もしている女性

震災の日に生まれた少女

島の救世主と信じた男が詐欺師に過ぎず 騙されたことに責任を感じ 切腹自殺した村長

島の人々をあくどく騙し 巨額を奪った男の行状 言動

この男により ぼろぼろの人でなしの人生を歩まされた青年

この青年に「何か」を取り戻させることができたような姫乃

 

救いは震災の日に生まれた少女の無邪気な言葉と笑顔

 

 

2024年 1月1日

石川県 能登

大きな地震がありました

多くの方が亡くなられ 家は壊れ 道路も・・・・・

もうどうしよう 明日からどうすればいい

これからどこで生きていけばいいんだ

うずくまりたくなるような もう動けない・・・

そういう方々をリフォーム詐欺とか早々に食い物にしようとする輩もそうそうに出現

ビニールシートを高額で売りつける

困っている方々をさらにカモにしようとする輩たち

親切ごかしに近づいて

こういう輩たちに 相応の天罰がありますように

 

 

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染井為人〈そめい ためひと〉著「悪い夏」〈角川文庫〉

2024-03-21 14:39:16 | 本と雑誌

 

 

26歳の佐々木守は公務員だ

生活福祉課・保護担当課に籍を置いている

親切で心優しく真面目な人間・・・・・のはずだった

それなのにー

 

生活保護の受給者にも様々な人間がいる

ずうっと貰い続けて当然・・と開き直ったり

佐々木の仕事は人間の嫌な面を見なければいけない仕事ではあった

あったのだが 女性経験が無い まともな恋愛経験がない佐々木は・・・ある女に出逢ってしまった

生活保護の不正受給者を増やし そのピンハネで金を荒稼ぎ

かつてはばをきかせた街へ戻ろうとする金本

金本の情婦でレディース上がりの暴力女

生活保護受給者で金本から仕事をもらって麻薬販売にいそしむ山田

生活保護受給者なのに水商売している弱みにつけこみ その女の肉体で己の欲望処理している公務員の高野

その高野と不倫していた宮田

 

このぐずぐずの人間関係が 一番まともに見えた佐々木をも転落させる

惚れたと思っていた女に騙されヤク中にされて どんどん壊れていく

壊れた佐々木が生活保護申請に来たある母子〈この人間こそ 一番まっとうに生活保護を受けさせてあげるべきであった〉に わけわからない言葉を投げかけ

この母子は命を絶つ

刃物振り回して・・・乱闘・・・・・

それから 数年後

職も失った佐々木は・・・・・生活保護受給者になっていた

 

「悲劇と喜劇」と題して 著者のあとがきがあります

 

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