![]() | 辛夷の花 (徳間時代小説文庫) |
葉室 麟 | |
徳間書店 |
嫁して三年 子無きは去るー
嫁いで三年しても赤子ができぬ石女は去れとばかりに 離縁され実家に戻った志桜里(しおり)
空き家となっていた隣家に入った男が声をかけてきた
亡き母の戒めで刀は抜かぬとしている「抜かずの半五郎」
殿の覚えがめでたいそうだがー
志桜里は ついつんけんした物言いをしてしまった
藩では三家が傍若無人の振舞をしており ただそうとする殿は志桜里の父の澤井庄兵衛を重んじたがー
実は三家の中の一つから娘を嫁にやってもと持ち掛けられた志桜里の夫は それで彼女を離縁すべしーとしたが
したがそちらの縁談が思うようにならず 志桜里に復縁してもーなどと勝手な事を言ってくる
殊更辛く当たって来る姑の本心を知り 思い迷う志桜里
何かと隣家の半五郎に相談するようになるが
半五郎も過去の出来事で幸せあってはならぬーと思い込んでいるところあり
殿さえも押し込めようとする三家の増長
三家は志桜里の父を始めに屋敷の全員を皆殺しにせんと襲い掛かる
志桜里一家を守ろうと獅子奮迅の働きをする半五郎だが 深傷を負う
志桜里の妹達に弟
志桜里の妹の縁談相手
颯爽と清々しい人々に
己らの我欲に拘る人間共の卑劣さ醜さとの対照
大矢博子さんの解説も作家と作品への好意に満ちています