遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米イージス艦 中国人口島12カイリ内航行への近隣諸国の反応

2015-10-28 23:16:53 | EEZ 全般
 米国海軍第7艦隊水上戦部隊所属の、イージス駆逐艦「ラッセン」が、中国による滑走路の建設が進むスービ礁の人口島の12カイリ内を航行し、「航行の自由」作戦を敢行しました。
 欧州の国々の反応報道は未だ見聞していませんが(遠い極東のことで関心が薄い?)、近隣諸国の反応を読売が速報していました。
 豪州が、対中貿易重視の政権に代わったとはいえ、強く支持を表明したのは納得ですね。しかし、ASEAN諸国は、フィリピン以外は総じて中立の立場を表明し、戸惑いが観られます。南シナ海の行動規範制定が進んでいないことから、想定されることではありましたが、恐るべし中国の札束外交の威力。
 高速鉄道の導入で、中国へ逆転発注したインドネシアが、訪米中のせいなのかTPP参加表明したり、李国共の訪問を控えた韓国がとまどったり、それぞれ米中の間に挟まれて、したたかなのか振り回されているのか、忙しい外交展開を強いられています。
 

ASEAN 割れる対応 米艦 人工島12カイリ内航行 フィリピン「力の均衡歓迎」 (10/28 読売朝刊)

 【台北=向井ゆう子、バンコク=児玉浩太郎】米軍のイージス駆逐艦が南シナ海で中国が造成した人工島の12カイリ内で巡視活動を行ったことに対し、中国と領有権を巡って対立するフィリピンのアキノ大統領は27日の記者会見で「どんな国による航行にも問題はないはず」と述べて支持
した。だが、東南アジア諸国連合(ASEAN)の多くは米中衝突への警戒から戸惑いを隠さず、温度差が浮き彫りになった。

多くは距離置く姿勢
 フィリピンは、中国から補給路を妨害され、航行の自由を侵害されたと主張してきた。2013年には、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判で中国を提訴しており、
フィリピンには「米国はもっと早く行動するべきだった」(外交筋)との声も強い

 アキノ氏は「世界中のどこであっても、誰もが『力の均衡』を歓迎するだろう」と強調し、米国の南シナ海問題への更なる関与に期待感を示した。
 
ベトナムも中国と南シナ海で領有権を争うが、グエン・タン・ズン首相は27日、外務省が開いた会合での演説で、「南シナ海の領有権問題はより複雑化して緊迫しており、非常に予測不能だ」と述べるにとどまった

 地元紙によると、今月23日には、パラセル(西沙)諸島海域で故障した漁船の救助に向かった船に対し、中国海警局の公船が航路を阻む事案が発生しているが、政府は27日、イージス駆逐艦の航行について
公式見解を出さず、沈黙を保った。米中の緊張が高まる可能性もある中、中越関係の悪化を回避する思惑
が働いているものとみられる。

 中国と領有権問題を抱えていない、ほかのASEAN諸国の立場も分かれている。
 
インドネシアのジョコ大統領は26日、オバマ米大統領と会談し、共同声明で南シナ海の中国の人工島造成を念頭に「共通の懸念」を表明。航行の自由の重要性を確認したが、海軍の副参謀長は本紙の取材に「我々は中立の立場。海軍は我が国の海域を守ることに集中する」と述べた

 
タイのプラユット暫定首相は27日、「タイは紛争当事者ではなく、この紛争に巻き込まれないために、正しく役割を果たさなければならない」と述べ、この問題に距離を置く姿勢を示した。シンガポール「米中のどちらかにつきたい国はない」(リー・シェンロン首相)
として、米中双方に緊張緩和を求める立場を示してきた。

豪国防相「強く支持」
 【ジャカルタ=池田慶太】オーストラリアのペイン国防相は27日、米海軍のイージス駆逐艦が南シナ海で中国が造成した人工島の12カイリ以内に入ったことについて、「国際法の下、全ての国が南シナ海を含む海域において航行の自由、上空飛行の自由の権利がある。豪州はこれらの権利を強く支持する」との声明を発表した。
 ペイン氏は豪州の輸出の6割が南シナ海を経由しており、「南シナ海の平和と安定維持は豪州にとって利益だ」と指摘。
「豪州は米国や地域のパートナー国と海洋安全保障で緊密な協力を続ける」
と強調した。

韓国態度表明避ける 中国首相訪韓控え配慮
 【ソウル=豊浦潤一】
韓国外交省報道官は27日の定例記者会見で、南シナ海に中国が造った人工島の12カイリ以内の海域で米軍が駆逐艦を航行させたことについて「事実関係を把握中だ」と述べ、米軍の行動を支持するかどうかについて明言を避けた

 ソウルでは11月1日に日中韓首脳会談が予定され、中国の
李克強首相の訪韓を10月31日に控えており、韓国政府は中国を刺激しないよう配慮した
とみられる。同報道官は、「南シナ海は主要海上交通として韓国の利害関係に大きな(影響がある)地域」としながら、「航行と上空飛行の自由を保障することが、この地域の平和と安定にとって重要」だとする原則論に終始した。
 韓国は米国の同盟国でありながら、最大の貿易相手国である中国との良好な関係を重視し、南シナ海問題で中国に対する直接的な非難を避けてきた。これに対し、
オバマ米大統領は16日の朴槿恵韓国大統領との首脳会談後の共同記者会見で「中国が国際的な規則を順守しないところでは韓国も声を上げてほしい」と発言し、共同歩調を取るよう求めていた。
 韓国政府高官は25日、南シナ海問題について「大きな変化がある時、一歩間違えば逆風に見舞われる。知恵と洞察が求められる」と慎重に対処する方針を報道陣に語っており、今後も曖昧戦術で乗り切る構えだ。韓国の保守系夕刊紙・文化日報は27日、米中間の対立が激化した場合、「(韓国が)米中間で選択を迫られる最悪のシナリオ」に陥りかねないと報じた。

 南シナ海での中国の覇権拡大に対し、先頭に立って、時には武力衝突も辞さず戦っているベトナムが、今月23日に「海警」とトラブルを生じた関係か、沈黙を保っているというkのは不思議です。ベトナムの中国との距離感は独特のものがあり、一筋縄では理解ができません。
 タイのプラユット暫定首相は親中(記事では中立に分類されていますが)なので完全に逃げていますね。
 具体的なアクシデントが迫ると、各国の正体が垣間見られます。
 余談になりますが、人口 2億5000万のインドネシアが、TPP加入を表明しています。やや親中に傾く組閣がなされたとの報道がありましたが、本気だとすれば、日本の倍でしかも若い人口の国が加わることになり、成長するアジア市場の連携を謳うTPPの市場規模が謳い文句に近づきます。

 ASEAN諸国の、米中の間でのしたたかな外交は、一翼を担う日本もASEAN諸国との相互利益を得る用、頑張っていただきたいものです。



 # 冒頭の画像は、イージス駆逐艦「ラッセン」




  この花の名前は、ユキワリイチゲ


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続 中国の海洋戦略
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