遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

災害直後の救援部隊 海上輸送力に課題

2011-04-28 00:21:48 | 日本を護ろう
 災害発生直後には、陸路も空路も被災しているため、救援部隊や物資の大量輸送は海路に依存することとなります。阪神大震災の時もそうでしたが、今回のように広域な沿岸部での大規模被災ではより一層その重要性が痛感されました。
 ところが、海上自衛隊の輸送艦だけでは限りがあり、民間のフェリーをチャーターし輸送するのだそうですが、高速道路無料化のあおりで、フェリー業界は経営が苦しくなり、海外への売却などで船の数は減っているのだそうです。
 これが、南西諸島の有事となれぱ、防衛に致命傷となると、大きな教訓を残しました。
 今回の東日本大震災では、米軍の「トモダチ作戦」で、この弱点が補完されたことは、ただただ感謝ですね。
 
陸自機動力フェリーが支え 教訓残した部隊の海上輸送 (4/27 読売朝刊)

 東日本大震災では、自衛隊が海上輸送で部隊を集中させる「戦略機動」の危うさが浮き彫りとなった。沖縄・南西諸島など離島の防衛警備にとって致命傷
にもなりかねない事態だ。
 3月11日。震災後直ちに陸上幕僚監部輸送室は、東北地方に増援部隊を投入する作業に取りかかった。関東の部隊は陸路で被災地を目指したが、高速道や幹線道は寸断されており、まもなく北海道の部隊を総動員することが決まった。
 「第1陣として隊員1万1000人、車4000両を運搬せよ」━━。だが、青函トンネルを貫くJR津軽海峡線は不通で、空港はどこも使えない。「残ったのは船だけ。完全な離島作戦となった」と、源弘紀・輸送室長は話す。
 ところが、「おおすみ」など3隻ある海上自衛隊の大型輸送艦(基準排水量約8900トン)のうち、1隻は修理中で、1隻は災害訓練に参加するためインドネシア沖を航行中だった。そして最後の1隻は、広島・呉基地で今回の震災に向かう準備の最中だった。
 「海自艦は使えない。
民間のフェリーで移動するしかなかった」と、輸送室では11日夜、北海道と本州を結ぶ長距離フェリー5社に対し、船舶の借り上げ(チャーター)を頼み込んだ。だが、各社とも航路の廃止と縮小で余裕の船はなく、即座に自衛隊に提供できるフェリーはない
。「運が良かったのは、津波警報が発令されていたために定期便が運航を取りやめ、各社のフェリーが旅客と車を載せたまま、北海道の沖合に避難していたことだ」と、源室長は明かす。
 防衛省の強い要請で、各社は12日以降、順次、フェリーを苫小牧などに入港させ、客や貨物を降ろし、代わりに自衛官が車両と共に次々と乗り込んだ。それでも、部隊を乗せた第1便が被災地に向けて出港したのは、震災から30時間が経過した後だった。以後、陸自は2週間を費やし、チャーターと定期便延べ40隻以上で増援部隊を送り続けた。
 「
海自の輸送力には限りがあり、緊急時は民間が頼り。だが、フェリー各社の経営は厳しく運航はぎりぎりの状況。震災は戦力集中に深刻な教訓を残した

 防衛省幹部は今回の部隊投入をそう振り返る。しかも、この事態がより深刻なのは、
防衛警備上最も緊要な南西諸島など離島への対処でも同じ
だからだ。
 昨年12月に策定した「新防衛計画の大綱」は、離島への備えとして「機動力、輸送能力を整備する」必要性を求めている。だが、具体的な体制は示されておらず、大綱に基づく向こう5年間の「中期防衛力整備計画」でも、海上輸送力の強化は明確ではない。
 その上、日本長距離フェリー協会によると、無料化実験を含めた高速道路の大幅割引の影響などで、2010年度の輸送実績は04年度の7割以下にまで落ち込んでいる。特に関西と九州を結ぶ航路では、この2年闇だけで大型フェリー4隻が海外に売却されており、緊急時の"頼みの綱"はやせ細るばかりだ。
 「今後、中期防を見直すことになるのでは……」
 同省幹部はそう話す。海自の輸送力を高めることも必要だが、フェリーは高速で多目的性に優れ、緊急時に自衛隊を運ぶだけでなく、離島での災害では住民の避難船としても活用できる。何より海自艦に比べて安価だ。今後もフェリーが輸送の主力である以上、
陸自の"足"を確保するにはどうすればいいか。今、その知恵が求められている

 3月27日の時点で、陸海空3自衛隊の総定員の半分近い約106,900人、航空機539機、艦船53隻を投入。「TOMODACHI(トモダチ)作戦」での米軍の態勢は陸、海、空、海兵隊の4軍で約16,000人、航空機113機、原子力空母「ロナルド・レーガン」を含む艦船12隻が投入されました。
 「トモダチ作戦」米軍総力、1万6000人態勢 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 米軍の艦船には、海上基地となった空母「ロナルド・レーガン」はもとより、駆逐艦のヘリが捜索や孤立した避難者への物資にあたりましたが、揚陸指揮艦「LCC-19 ブルー・リッジ」は地震発生後、寄港先のシンガポールにて急遽予定を変更、救援物資を積載して日本へ向けて出航。揚陸艦「LSD-46 トーテュガ」は北海道から陸上自衛隊の車両90台、人員500名を乗せて本州へ向けて輸送しています。
 揚陸艦「LHD-2 エセックス」と「LSD-42 ジャーマンタウン」は第31海兵隊遠征隊を乗艦させて被災地沖に向かい、孤立している離島の大島に救援物資、工事用車両、電気工事作業員をエセックスの揚陸艇で揚陸した話は、諸兄がご承知の通りです。

 つまり、専守防衛の金縛りが、自衛隊には揚陸艦艇を持たせないのです。離島の防衛には、揚陸艦と揚陸艇が必要なのですが、それは攻撃用だとして制約を受けているのです。
 現在は輸送艦の名前で、おおすみ型輸送艦が、「おおすみ」「しもきた」「くにさき」の3隻配備されていますが、エセックスなど本格的揚陸艦とは比べ物になりませんね。

 「中期防衛力整備計画」では、北海道の陸自兵員や戦車の削減と、機動力を駆使しフレキシブルな配員を謳っていました(かっこいい抽象論先行で具体策は考えていないという、民主党らしいもの)が、揚陸艦が必須となってくるのですけどねぇ。

# 冒頭の写真は、おおすみ型輸送艦とエア・クッション型揚陸艇です。





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写真素材 PIXTA


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続 中国の海洋戦略
中国人民解放軍の正体―平和ボケ日本人への警告!!




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