その間に、日本の尖閣国有化があり、習近平氏の雲隠れもありましたが、突如、政治局常務委員の椅子取り争いが、江沢民・上海派+習近平・太子党の逆転勝利の報が流されました。
薄煕来氏が人気を集めた「紅歌キャンペーン」支持者の象徴の毛沢東の写真が登場した反日デモは、誰が仕掛けたのか不明ですが、反日デモが政府筋からのメール一発で収まったこと、薄煕来氏の処分が夫人の処分を経て決まったとから、椅子取り争いでの胡錦濤・共青団の盛り返しがあったのか注目していましたが、椅子取り争いでは胡錦濤・共青団の敗北は確定的な様子です。
高まる中国反日デモ。政治局常任委員の椅子は上海派+太子党が逆転か - 遊爺雑記帳
【北京=加藤隆則】中国共産党の胡錦濤総書記は、薄煕来前重慶市党委書記を支持する左派(保守派)勢力の反発を抑え込み、薄氏を刑事処分に持ち込んだ。だが、党内の対立は、習近平次期総書記率いる指導部に引き継がれた形だ。
薄氏は2007年12月、貿易担当の商務相から重慶市党委書記に就任後、毛沢東時代を回顧する「紅歌(革命歌)」キャンペーンなどを行い、強権的な計画経済を目指す左派勢力のリーダー的存在だった。
胡氏が総書記を務めたこの10年で、中国は世界第2位の経済大国となった。しかし、貧富の格差が著しく拡大、貧しくとも平等だった毛時代を美化する左派勢力は、胡氏に対する大きな批判勢力となった。
そのため、胡政権は薄氏処分が左派の反発を招くことを警戒し、薄氏の市党委書記解任後、「党の団結」をアピールする宣伝工作を強化。英国人実業家殺人事件を「孤立した刑事事件」と強調する一方、左派系の代表的サイト「烏有之郷」を閉鎖するなど言論統制し、左派からの反撃を抑えた。
だが、左派側はなお、薄氏の政治手法を「唯一の正しい道」と称賛し、薄氏の事件を「改革開放以来、最大の政治的冤罪」と主張。薄氏が属する党高級幹部子女グループ「太子党」内の左派には、人民解放軍幹部などの有力者も多く、薄氏と対立する温家宝首相をターゲットに「親族の経済問題を追及する資料を集めている」(太子党関係者)との情報も流された。党大会を前に党内が分裂する危機さえ、ささやかれた。
1989年の天安門事件には、政治路線を巡る左右の対立があった。以来、イデオロギー論争は封印され、経済発展を最優先する政策がとられてきた。事件は「パンドラの箱を開ける危険」(全国紙幹部)をもたらした。
こうした中、胡氏は薄氏の刑事処分を急ぎながら、薄氏に近いとされる左派の重鎮、江沢民前総書記に対し、次期政治局常務委人事などで一定の配慮を示し、これ以上の影響の拡大を抑えざるを得なくなったという。薄氏の妻に、猶予付きの死刑判決を下すなど罪を軽減したのもこうした背景とみられる。
これらの工作を支えたのが、習近平国家副主席だった。習氏は元副首相を父に持つ太子党で、党の長老への影響力も持ち、左派の反撃を抑える貴重な存在となったという。
習氏にとっては、権力基盤を固める好機ともなったが、胡氏と江氏の争いは、習体制にも持ち越されることになった。
常務委7人陣容固まる
【北京=加藤隆則】中国共産党第18回大会で選任される最高指導部の党政治局常務委を現行の9人から7人に減員する案が28日までに固まった。複数の党関係者が明らかにした。常務委入りするメンバーを含め、大会までに最終調整が図られる。
現時点で有力視されている次期常務委の7人は、習近平氏(59)のほか、温家宝首相の後任に内定している李克強筆頭副首相(57)、王岐山副首相(64)、劉雲山党中央宣伝部長(65)、李源潮党中央組織部長(61)、張高麗天津市党委書記(65)、張徳江副首相(65)。
党関係者によると、当初、7人案に含まれていた江沢民前総書記系の兪正声上海市党委書記(67)は8月、河北省北戴河で開かれた幹部会議で、指導部から過半数の支持を得られず、代わりに江系の張高麗氏が浮上した。胡錦濤氏は自分の権力基盤である共産主義青年団(共青団)出身から李克強、李源潮両氏のほか、汪洋広東省党委書記(57)を推したが断念し、複数の共青団系を次期リーダーの予備軍として政治局(現行25人)入りさせることで妥協した模様だという。
読売の報道では、逆転の主役は江沢民・上海派の左派が、胡錦濤・共青団の改革開放経済路線を批判し、習近平氏が仲裁する形で主導権を回復したとされています。
逆転の為に、温家宝氏の身辺調査をしているという新情報は、やはりそうだったのかと納得できます。日本への発言が、尖閣問題に関し、半歩たりとも譲らないと温家宝氏にしては強硬な発言が出始めた時、派閥に属さない温家宝氏が標的にされ強硬発言をせざるを得ない事態が発生していると推察できましたね。
素人の遊爺が、報道やネット上の限られた情報で、大新聞の読売の見解に逆らうのは無謀ですし、間違っている可能性がありますが、習近平・太子党 + 江沢民・上海派の逆転劇のきっかけを造った原因は、路線対立が決め手だとは思えません。路線対立が伏線であることには違いありませんが、それは最初(胡錦濤政権が誕生した時)から争われていたことで、習近平次期政権が内定した段階では、江沢民・上海派が胡錦濤・共青団を抑えていたのでした。それを、胡錦濤・共青団が猛烈な巻き返しを図り、政治局・常務委員の椅子の数も減らす働きかけをして江沢民・上海派の勢力減少を優位に進めていました。つまり、路線争いはずっと続けられていたのですが、胡錦濤・共青団と温家宝氏の解放経済路線が優勢となり勝負はつきかけていたのです。
ところが、尖閣の都による購入活動が勃発し、更に国有化が急浮上しました。
ここで虎視眈々と逆転を狙っていた、習近平・太子党と江沢民・上海派が、千載一遇のチャンスと、胡錦濤氏の対日姿勢を弱腰と突き上げたのです。太子党のお友達の軍も巻き込みました。
たまらず、胡錦濤氏は、ウラジオストクで野田氏に強硬に国有化に抗議したのですが、無視されてその二日後に閣議決定されてしまいました。
これでは、胡錦濤氏への弱腰攻撃に、胡錦濤氏が強硬に対峙することは出来ません。かつての、胡耀邦氏失脚時の中曽根氏の役割を、野田氏が繰り返したのです。
習近平氏の逆転復活のきっかけを造ったのは、日本の尖閣国有化宣言のタイミングだと考えます。
いずれにしても、中国が尖閣を「核心的利益」と定義して侵略戦略を策定し、段階的に拡大してきている現状は、中国が自分で勝手に言い出した先送り論を、勝手に放棄しているのですから、衝突するときは来る流れにありました。
だから、都知事が防衛の為の実効支配強化を唱えて行動を起したのです。
自衛隊でもシミュレーションし、日米でも軍事訓練をしている、中国漁船団と公船による尖閣上陸が実現される前に表面化したことは、無為無策な政府の先送り姿勢にパンチを浴びせ目を覚まさせた効果。平和ボケで、先送りを撤回して侵略を始めた中国の動きを見ぬふりをして日本だけの先送りを唱えるコメンテータや外務省を含めた専門家に、中国の正体を知らしめた(まだ寝ぼけているバカコメンテータが多いのですが)ことは、不幸中の幸いと言えます。
政府も、「領土問題は存在しない」と無為無策で先送りする姿勢を転換し、日本の主張を訴えることにしたようです。
世界世論へのPR戦争の始まりです。苦手なんて言ってる場合ではありません。
政府任せにするのではなく、我々国民ひとりひとりも声を挙げないと、13億対1.2億=10倍の差で押しつぶされ、国が滅んでしまいます。
お友達の軍が頼りの習近平政権は、江沢民以上に反日を唱えることで難題山積の中国をまとめようとすると考えられます。
日本にとって、チャイナリスクは一過性のものではなく、定着拡大するものとして考えねばならない時代を迎えます。
胡錦濤・共青団の復活の芽に期待したいところです。胡錦濤・共青団の復活に日本が手助けして貸を造る方法はないものでしょうか?
【参考】
上述文中の遊爺のリンクと、読売の記事の、政治局常務委員の椅子は、同じメンバーです。党大会の日程もきまりましたので、メンバーもこれで決まりなのでしょうね。
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共産党政治局常務委員の候補者リスト(①氏名(年齢)②現職③出身)
1 ①習近平(58)②国家副主席③太子党(習仲勲元副首相の息子) →○
2 ①李克強(56)②筆頭副首相③共青団 →○
3 ①王岐山(63)②副首相③太子党(銚依林・元副首相の女婿) →○
4 ①劉雲山(64)②中央宣伝部長③党宣伝部門 →○
5 ①劉延東(66)②国務委員③共青団 →×
6 ①李源潮(61)②党中央組織部長③共青団 →○
7 ①汪洋 (57)②広東省党委書記③共青団 →×
8 ①張高麗(65)②天津市党委書記③石油業界 →○
9 ①張徳江(65)②首相兼重慶市党委書記③江沢民派 →○
10 ①兪正声(67)②上海市党委書記③太子党兪啓威・元天津市長の息子) →×
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# 冒頭の画像は、国連総会で中国・楊外相の演説に反論する児玉和夫国連次席大使
この花の名前は、レプトシフォン
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石原さんも、野田さんも中国の派閥をもっと研究するべきだった。
そして、対中戦略でなく、対江沢民の戦略を立てて、国有化を2013年の3月にするべきだった。そうすれば穏健派閥の共青団が政治の実権をにぎれたいたはずなのに。
おれも知らなかった。
このブログの方の情報に感謝します。
どうぞ、これからも日本国民の知識向上のために最大の脅威の中国の派閥内部事情とおしえてください。