トランプ大統領が就任して、10日以上が経過しました。中東・アフリカ7カ国からの入国一時禁止を実行したことで、米国内でも、世界各国でも大きな波紋を生じています。
また、ジャパンバッシングでは、自動車の貿易不均衡の誤認を含む貿易赤字に加え、今度は為替操作国として中国と並んでのバッシング発言が飛び出してきました。
千々に揺れるトランプ大統領の政策発言。その基は、「米国第一」には二種類の「米国第一」が存在し、「製造業=労働者階級にとっての米国第一」と、「金融業=富裕層にとっての米国第一」があり、選挙戦で掲げて集票したのは前者だが、トランプ氏は両方の間を揺れ動いている。両者の分裂が米国の現状だと指摘されているのは、「月刊Hanada 3月号」での、中野剛志氏。
納得しましたが、トランプ大統領のジャパンバッシングは、打ち寄せる波の様に、寄せてきますが、引くことはどうなのでしょう。
【トランプ大統領始動】トランプ氏「円安誘導」発言 日本も「為替操作国」になれば高関税の制裁も - 産経ニュース
官房長官、為替操作批判「全く当たらない」 :日本経済新聞
中国に対抗して「再び米国を偉大にする」ことをスローガンとして掲げているトランプの米国は、同盟国、特に民間の技術力と資金力に優れる日本に期待し、厳しい要求をつきつけてくると説くのは、 矢野義昭氏。
ふたつの「米国第一」を内包する「米国第一」を目指しながら、中国の覇権拡大への抑止力増強も目指すトランプ大統領。
政府スタッフが固まりきれていない今、揺れる発言が反響を産んでいます。それは、米国がいま抱えている、ふたつの「米国第一」の亀裂を修復する時期にさしかかっていることの顕れなのでしょうか。
日本へもその余波が、大きく押し寄せてくるのですね。かつて、余力があり、世界の警察を自負した米国の時代は、その傘の下でおんぶにだっこで良かった日本。米国が世界の警察を放棄し内向きになった今、日本は自立した普通の国に生まれ変わる時を迎る機会に遭遇したのですね。
その時に、世界でも最も安定した安倍政権で臨めているのは、幸運だといえますね。トランプ氏やプーチン氏、また、ドテルテ氏などとの接し方も、安倍首相以上の人材が日本にいるとは思えません。三流外交の外務省をかかえて、ご苦労が多いのですが、日本がアジアの平和と発展に主導権を発揮する役割を果たす機会でもあります。
前回、四面楚歌と書きましたが、安倍首相に乗り越えていただくことを、期待します。
# 冒頭の画像は、トランプの為替操作発言に抗議する菅官房長官
この花の名前は、キンケイギク
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
また、ジャパンバッシングでは、自動車の貿易不均衡の誤認を含む貿易赤字に加え、今度は為替操作国として中国と並んでのバッシング発言が飛び出してきました。
千々に揺れるトランプ大統領の政策発言。その基は、「米国第一」には二種類の「米国第一」が存在し、「製造業=労働者階級にとっての米国第一」と、「金融業=富裕層にとっての米国第一」があり、選挙戦で掲げて集票したのは前者だが、トランプ氏は両方の間を揺れ動いている。両者の分裂が米国の現状だと指摘されているのは、「月刊Hanada 3月号」での、中野剛志氏。
納得しましたが、トランプ大統領のジャパンバッシングは、打ち寄せる波の様に、寄せてきますが、引くことはどうなのでしょう。
【トランプ大統領始動】トランプ氏「円安誘導」発言 日本も「為替操作国」になれば高関税の制裁も - 産経ニュース
官房長官、為替操作批判「全く当たらない」 :日本経済新聞
中国に対抗して「再び米国を偉大にする」ことをスローガンとして掲げているトランプの米国は、同盟国、特に民間の技術力と資金力に優れる日本に期待し、厳しい要求をつきつけてくると説くのは、 矢野義昭氏。
トランプ政権誕生でキャスティングボード握る日本 中露協調を促したバランス・オブ・パワーの変化 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2017.2.1(水) 矢野 義昭
<前略>
■まとめ: 厳しい要求にさらされる日本
米軍はいま「第3のオフセット(相殺)戦略」と称する戦略を将来方向として追求しようとしている。
中露は、衛星、空母、指揮統制中枢、ロジスティクスのセンターなど米軍の世界的な軍事インフラの脆弱な結節点を、大量のミサイル、サイバー攻撃、特殊作戦などを集中して破壊し、米軍戦力の発揮を妨げようとする態勢を固めつつある。
この脅威に対抗して、第3のオフセット戦略では、攻撃目標となる結節点を形成することなく、離散した自律的な小型の知能型ロボットを大量に展開し、それをネットワークで連接して一体的に運用する「群集戦法」をとれる態勢づくりを目指している。
群集戦法により敵戦力を圧倒できる態勢をつくり、中露の脅威を通常戦力により抑止するのが、第3のオフセット戦略の狙いである。
その際のキーとなる先進技術は、人工知能、ビッグデータ、ロボット、無人機、小型化技術、3Dプリンターなどである。
米国防総省は、これらの技術を駆使して、世界的な情報警戒監視偵察網を展開して脅威を早期に探知し、世界中から集まる情報を瞬時に処理して指揮官の意思決定を補佐し、最も効果的な作戦行動を実行し、それらを常に迅速効率的に支援できるロジスティック態勢を維持して、人間と機械がチームとなった、巨大な革新的兵力体系を構築することを目指している。
このような方針は、民主党の前アシュトン・カーター国防長官時代から打ち出されているが、米国防総省の基本戦略として固められてきたものであり、トランプ政権の下でも継承されるとみられる。
問題は、「第3のオフセット戦略」を構築するためには、多額の資金と高度の技術の結集が欠かせないことにある。
米国の累積連邦財政赤字は、トランプ氏も選挙期間中から指摘していたように約20兆ドルに達している。その中で、例え国防費の削減を中止したとしても、米国独力で必要な資金と技術を確保することは困難であろう。
そのために期待されているのが、民間と同盟国の技術力と資金力の活用である。上記先進技術は大半が軍民両用技術であり、民間の方がむしろ先行している分野が多い。また技術革新の進度も極めて速く、これまでの軍の装備品の研究開発配備速度では対応できなくなっている。
それを補完するためには、全省庁一体となった協力、米国内の軍需産業、関連民間企業、研究機関、大学などの支援確保が必要である。
中国も軍民融合を強調しており、ロシアも東部ウクライナを含めた軍需産業の立て直しを図っている。米国もまた同様の態勢を構築しようとしている。このような米中露間の国家総力を挙げた軍拡競争の様相は、今後さらに強まるであろう。
それに伴い、今後米国から同盟国の防衛努力と対米協力への期待度は高まるとみられる。米国は、世界最大規模の財政赤字の中でも対GDP比率で3.6%以上の国防費を支出している。
半面、防衛費の対GDP比率が目標の2%に満たないNATO諸国や、片務的な安保条約の下1%の比率に甘んじている日本に対する不満が米国内で高まっている。
トランプ大統領の、「日本、韓国、サウジアラビアのような豊かな同盟国は、米軍に守って欲しければ、駐留米軍の経費を全額負担すべきだ。負担しないなら米軍を撤退させる」との強硬発言も、このような不満を反映している。
しかしこのような発言を、単なる同盟国の防衛努力不足に対する不満表明ととらえるべきではない。その背景には、上に述べた、同盟国の技術力と資金力を最大限に活用したいとの、米側の第3のオフセット戦略に基づく同盟国への期待と国益上の思惑がある。
同盟国の中でも期待されているのは、日本の特に民間の技術力と資金力である。例えば、人工知能、無人機、ロボット、小型化などの先進技術面での日本の民間力に対する米側の評価は、極めて高い。これらの両用技術の供与、共用化、共同研究開発などが米側から日本側に持ち出されるであろう。
また日本の民間の豊富な資金力に対する期待も高い。この面では、金融戦略が重要になる。例えば、ロナルド・レーガン政権時代にみられたような、日本の資金による米国債の大量購入、日本の貸出金利の据え置きなどの要求が、突きつけられるかもしれない。
かつて、レーガン政権時代、日本は米国の国債を買い支え、レーガン軍拡を資金面から支えた。その結果、ソ連は競争戦略に敗れて自壊したが、日本もバブル崩壊に見舞われ、その後の長期の経済低迷を招いた。
トランプ政権の第3のオフセット戦略も、レーガン政権と類似した戦略を追求する可能性がある。日米安全保障協力の強化が必要なことは、中国の脅威に直面している日本としては当然のことである。
ただし、具体的な対米協力の在り方について、日本の国益に基づく一貫した総合戦略の下、防衛、外交、技術、経済・金融各方面の個別戦略を立てて対応しなければ、米国ペースの戦略への追随を余儀なくされるおそれがある。
さらに、尖閣諸島などを巡る中国との軍事衝突が生ずるおそれもなしとしない。その際に、日本が直接矢面に立ち、米国は情報、装備の提供、外交的支援など、間接的な支援を行うような事態が生ずる可能性もある。
日米安保条約第5条は日本の施政下にある領域に対し発動されるのであり、日本自らが尖閣諸島を実力で実効支配していることを示さなければ、米国は日本を防衛する義務はない。
日本の自力防衛の態勢があって初めて、日米共同防衛態勢が機能するものであることを再度認識する必要がある。
日本を取り巻くバランス・オブ・パワーは冷戦崩壊以降大きく変化している。中国の台頭により米国のパワーの圧倒的優位は揺らいでおり、逆転の兆候すらみえている。
トランプ政権はこれに対し明確に、中国に対抗して「再び米国を偉大にする」ことをスローガンとして掲げており、アジア・太平洋では、今後米中間の鍔迫り合い、軍拡競争の様相が強まる可能性が高い。
しかし、核大国同士の米中が直接対決に至る可能性は低く、米中の狭間に立つ日本が、総合安全保障面でのさまざまの危機に襲われる可能性が高まっている。
そのことは半面、日本が米中露鼎立時代の覇権の行方を左右するキャスティングボードを握っていることを意味している。価値観や体制が異なり、領土問題を抱えている中露両国と日本が同盟関係になることは、考えられない。しかし米国の自国中心の国益追求に追随していては、日本の国益が損なわれる。
日本は自らの持てる力の意義と役割について再認識し、それをどう培養し行使することが、自国の国益となり、世界の安定と繁栄に寄与できるか、かつ米国の要求にも対応できるかを常に考えながら、慎重に安全保障政策を展開しなければならない立場にある。
<前略>
■まとめ: 厳しい要求にさらされる日本
米軍はいま「第3のオフセット(相殺)戦略」と称する戦略を将来方向として追求しようとしている。
中露は、衛星、空母、指揮統制中枢、ロジスティクスのセンターなど米軍の世界的な軍事インフラの脆弱な結節点を、大量のミサイル、サイバー攻撃、特殊作戦などを集中して破壊し、米軍戦力の発揮を妨げようとする態勢を固めつつある。
この脅威に対抗して、第3のオフセット戦略では、攻撃目標となる結節点を形成することなく、離散した自律的な小型の知能型ロボットを大量に展開し、それをネットワークで連接して一体的に運用する「群集戦法」をとれる態勢づくりを目指している。
群集戦法により敵戦力を圧倒できる態勢をつくり、中露の脅威を通常戦力により抑止するのが、第3のオフセット戦略の狙いである。
その際のキーとなる先進技術は、人工知能、ビッグデータ、ロボット、無人機、小型化技術、3Dプリンターなどである。
米国防総省は、これらの技術を駆使して、世界的な情報警戒監視偵察網を展開して脅威を早期に探知し、世界中から集まる情報を瞬時に処理して指揮官の意思決定を補佐し、最も効果的な作戦行動を実行し、それらを常に迅速効率的に支援できるロジスティック態勢を維持して、人間と機械がチームとなった、巨大な革新的兵力体系を構築することを目指している。
このような方針は、民主党の前アシュトン・カーター国防長官時代から打ち出されているが、米国防総省の基本戦略として固められてきたものであり、トランプ政権の下でも継承されるとみられる。
問題は、「第3のオフセット戦略」を構築するためには、多額の資金と高度の技術の結集が欠かせないことにある。
米国の累積連邦財政赤字は、トランプ氏も選挙期間中から指摘していたように約20兆ドルに達している。その中で、例え国防費の削減を中止したとしても、米国独力で必要な資金と技術を確保することは困難であろう。
そのために期待されているのが、民間と同盟国の技術力と資金力の活用である。上記先進技術は大半が軍民両用技術であり、民間の方がむしろ先行している分野が多い。また技術革新の進度も極めて速く、これまでの軍の装備品の研究開発配備速度では対応できなくなっている。
それを補完するためには、全省庁一体となった協力、米国内の軍需産業、関連民間企業、研究機関、大学などの支援確保が必要である。
中国も軍民融合を強調しており、ロシアも東部ウクライナを含めた軍需産業の立て直しを図っている。米国もまた同様の態勢を構築しようとしている。このような米中露間の国家総力を挙げた軍拡競争の様相は、今後さらに強まるであろう。
それに伴い、今後米国から同盟国の防衛努力と対米協力への期待度は高まるとみられる。米国は、世界最大規模の財政赤字の中でも対GDP比率で3.6%以上の国防費を支出している。
半面、防衛費の対GDP比率が目標の2%に満たないNATO諸国や、片務的な安保条約の下1%の比率に甘んじている日本に対する不満が米国内で高まっている。
トランプ大統領の、「日本、韓国、サウジアラビアのような豊かな同盟国は、米軍に守って欲しければ、駐留米軍の経費を全額負担すべきだ。負担しないなら米軍を撤退させる」との強硬発言も、このような不満を反映している。
しかしこのような発言を、単なる同盟国の防衛努力不足に対する不満表明ととらえるべきではない。その背景には、上に述べた、同盟国の技術力と資金力を最大限に活用したいとの、米側の第3のオフセット戦略に基づく同盟国への期待と国益上の思惑がある。
同盟国の中でも期待されているのは、日本の特に民間の技術力と資金力である。例えば、人工知能、無人機、ロボット、小型化などの先進技術面での日本の民間力に対する米側の評価は、極めて高い。これらの両用技術の供与、共用化、共同研究開発などが米側から日本側に持ち出されるであろう。
また日本の民間の豊富な資金力に対する期待も高い。この面では、金融戦略が重要になる。例えば、ロナルド・レーガン政権時代にみられたような、日本の資金による米国債の大量購入、日本の貸出金利の据え置きなどの要求が、突きつけられるかもしれない。
かつて、レーガン政権時代、日本は米国の国債を買い支え、レーガン軍拡を資金面から支えた。その結果、ソ連は競争戦略に敗れて自壊したが、日本もバブル崩壊に見舞われ、その後の長期の経済低迷を招いた。
トランプ政権の第3のオフセット戦略も、レーガン政権と類似した戦略を追求する可能性がある。日米安全保障協力の強化が必要なことは、中国の脅威に直面している日本としては当然のことである。
ただし、具体的な対米協力の在り方について、日本の国益に基づく一貫した総合戦略の下、防衛、外交、技術、経済・金融各方面の個別戦略を立てて対応しなければ、米国ペースの戦略への追随を余儀なくされるおそれがある。
さらに、尖閣諸島などを巡る中国との軍事衝突が生ずるおそれもなしとしない。その際に、日本が直接矢面に立ち、米国は情報、装備の提供、外交的支援など、間接的な支援を行うような事態が生ずる可能性もある。
日米安保条約第5条は日本の施政下にある領域に対し発動されるのであり、日本自らが尖閣諸島を実力で実効支配していることを示さなければ、米国は日本を防衛する義務はない。
日本の自力防衛の態勢があって初めて、日米共同防衛態勢が機能するものであることを再度認識する必要がある。
日本を取り巻くバランス・オブ・パワーは冷戦崩壊以降大きく変化している。中国の台頭により米国のパワーの圧倒的優位は揺らいでおり、逆転の兆候すらみえている。
トランプ政権はこれに対し明確に、中国に対抗して「再び米国を偉大にする」ことをスローガンとして掲げており、アジア・太平洋では、今後米中間の鍔迫り合い、軍拡競争の様相が強まる可能性が高い。
しかし、核大国同士の米中が直接対決に至る可能性は低く、米中の狭間に立つ日本が、総合安全保障面でのさまざまの危機に襲われる可能性が高まっている。
そのことは半面、日本が米中露鼎立時代の覇権の行方を左右するキャスティングボードを握っていることを意味している。価値観や体制が異なり、領土問題を抱えている中露両国と日本が同盟関係になることは、考えられない。しかし米国の自国中心の国益追求に追随していては、日本の国益が損なわれる。
日本は自らの持てる力の意義と役割について再認識し、それをどう培養し行使することが、自国の国益となり、世界の安定と繁栄に寄与できるか、かつ米国の要求にも対応できるかを常に考えながら、慎重に安全保障政策を展開しなければならない立場にある。
ふたつの「米国第一」を内包する「米国第一」を目指しながら、中国の覇権拡大への抑止力増強も目指すトランプ大統領。
政府スタッフが固まりきれていない今、揺れる発言が反響を産んでいます。それは、米国がいま抱えている、ふたつの「米国第一」の亀裂を修復する時期にさしかかっていることの顕れなのでしょうか。
日本へもその余波が、大きく押し寄せてくるのですね。かつて、余力があり、世界の警察を自負した米国の時代は、その傘の下でおんぶにだっこで良かった日本。米国が世界の警察を放棄し内向きになった今、日本は自立した普通の国に生まれ変わる時を迎る機会に遭遇したのですね。
その時に、世界でも最も安定した安倍政権で臨めているのは、幸運だといえますね。トランプ氏やプーチン氏、また、ドテルテ氏などとの接し方も、安倍首相以上の人材が日本にいるとは思えません。三流外交の外務省をかかえて、ご苦労が多いのですが、日本がアジアの平和と発展に主導権を発揮する役割を果たす機会でもあります。
前回、四面楚歌と書きましたが、安倍首相に乗り越えていただくことを、期待します。
# 冒頭の画像は、トランプの為替操作発言に抗議する菅官房長官
この花の名前は、キンケイギク
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。