太平洋・島サミットが開催され、中国の攻勢もありフィジーが欠席しましたが、米国の参加があり、安全保障についても議題に上ったことは諸兄がご承知の通りです。
島嶼国が、中国と日米を天秤にかけ、自国の国益を追求するのは当然のことでもあります。
日本は、中国の札束外交にはかないませんが、日本流の差別化した取り組みを見せ、信頼関係をより強固にしていけばいい...と言ってましたが、具体的な動きは未だないと思っていました。
ところが、政府間サミットが行われる前日(5/24)に、初の経済サミット(太平洋島嶼国首脳・経済人会議)が開催されて、島嶼国の首脳と日本の企業経営者が交流したのだそうですね。
この花の名前は、耽羅玄海躑躅(たんなげんかいつつじ) 撮影場所;六甲高山植物園
↓よろしかったら、お願いします。
島嶼国が、中国と日米を天秤にかけ、自国の国益を追求するのは当然のことでもあります。
日本は、中国の札束外交にはかないませんが、日本流の差別化した取り組みを見せ、信頼関係をより強固にしていけばいい...と言ってましたが、具体的な動きは未だないと思っていました。
ところが、政府間サミットが行われる前日(5/24)に、初の経済サミット(太平洋島嶼国首脳・経済人会議)が開催されて、島嶼国の首脳と日本の企業経営者が交流したのだそうですね。
論点 民間主導の島サミット 共存共栄へ企業の出番 (6/28 読売朝刊)
ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアからなる太平洋の13の島嶼国・地域とわが国の首脳による政府間サミットが5月25日に日本で開かれた。前日24日には島嶼国の首脳と日本の企業経営者が交流する初の経済サミットが、国連経済社会理事会の特別協議資格をもつアライアンス・フォーラム財団主導で開催された。 政府間サミットは1997年から日本政府主導で続いてきたが、太平洋進出を図る中国も2006年に首脳会議を開催。韓国やロシアも閣僚級会議を始め、日本独占の時代は終わった。
しかし、私が議長を務めた今回の経済サミット(正式名称は太平洋島嶼国首脳・経済人会議)は、民間企業層が日本ほど育っていない中国やロシア、韓国には簡単にまねができない。
サモア首相筋によると、6月に開催されたサモア独立記念式典に集まった島嶼国の各国首脳の間でも、共通の課題を解決する技術を持つ日本企業の話題でもちきりだったという。
共通の課題とは①海水の淡水化技術②次世代の太陽光発電技術③プラスチックゴミの処理技術④遠隔教育・医療を可能にする遠隔コミュニケーション技術だ。
淡水化には東レの最先端の膜技術がすぐにでも実用可能だ。三菱化学が持つ次世代の有機薄膜太陽電池は中国製の重くて硬い太陽電池と違って薄く曲げることもでき首脳を驚かせた。廃棄処理が難しいプラスチックのゴミはロート製薬の技術で燃料油に変わる。3万を超える島に教師、医師を配するのは無理だが、アフリカ、アジアで実績のあるコクヨの遠隔コミュニケーションシステムを使えばたやすく問題は解決する。
ほかにも三井不動産、日本航空、オリックス、北野建設、田辺三菱製薬、日清食品などインフラ、住宅、オフィス機器、サービスなどを網羅する計18社の会長、社長が出席した。
島嶼国は中国大陸の2倍以上の広さの排他的経済水域に莫大な海底資源や漁業資源を有する。その割には国土が小さく、民間主導の投資で大きな効果があげられる。日本の政府開発援助(ODA)予算は減り続ける一方、中国は予算を急速に増やしている。今後は官民連携と民間主導の持続司能な発展が必要になる。
最終的にめざすのは商業ベースの協力。援助でなく、買ってもらうのだ。「ただでもらうよりは、お金を出して買った方がものを大切にするでしょう」と筋を説き、新しいファイナンスの仕組みを説明すると首脳たちも納得する。各国とも淡水化、エネルギー、ごみ処理などの技術の導入で不必要な出費がなくなり歳出も減る。企業も長期に安定した収益が上げられ、共存共栄の関係が築けるのだ。
太平洋は米国の世界戦略でも最重要地域になりつつある。日本企業がこの地域で存在感を高めることは、経済を通じて親日国を増やすことになって太平洋の安全保障にも寄与するので対米発言力も増す。安全保障外交でも民間が大きな役割を担う時代が来たのだ。
次のステップは現地に行くことだ。行動する企業人からの連絡を請う。
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原 丈人 (はら じょうじ) 氏
欧米で活動する事業家。デフタ・パートナーズ会長。財務省参与や飢餓対策に取り組む国連政府間機関の大使を歴任。59歳。
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ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアからなる太平洋の13の島嶼国・地域とわが国の首脳による政府間サミットが5月25日に日本で開かれた。前日24日には島嶼国の首脳と日本の企業経営者が交流する初の経済サミットが、国連経済社会理事会の特別協議資格をもつアライアンス・フォーラム財団主導で開催された。 政府間サミットは1997年から日本政府主導で続いてきたが、太平洋進出を図る中国も2006年に首脳会議を開催。韓国やロシアも閣僚級会議を始め、日本独占の時代は終わった。
しかし、私が議長を務めた今回の経済サミット(正式名称は太平洋島嶼国首脳・経済人会議)は、民間企業層が日本ほど育っていない中国やロシア、韓国には簡単にまねができない。
サモア首相筋によると、6月に開催されたサモア独立記念式典に集まった島嶼国の各国首脳の間でも、共通の課題を解決する技術を持つ日本企業の話題でもちきりだったという。
共通の課題とは①海水の淡水化技術②次世代の太陽光発電技術③プラスチックゴミの処理技術④遠隔教育・医療を可能にする遠隔コミュニケーション技術だ。
淡水化には東レの最先端の膜技術がすぐにでも実用可能だ。三菱化学が持つ次世代の有機薄膜太陽電池は中国製の重くて硬い太陽電池と違って薄く曲げることもでき首脳を驚かせた。廃棄処理が難しいプラスチックのゴミはロート製薬の技術で燃料油に変わる。3万を超える島に教師、医師を配するのは無理だが、アフリカ、アジアで実績のあるコクヨの遠隔コミュニケーションシステムを使えばたやすく問題は解決する。
ほかにも三井不動産、日本航空、オリックス、北野建設、田辺三菱製薬、日清食品などインフラ、住宅、オフィス機器、サービスなどを網羅する計18社の会長、社長が出席した。
島嶼国は中国大陸の2倍以上の広さの排他的経済水域に莫大な海底資源や漁業資源を有する。その割には国土が小さく、民間主導の投資で大きな効果があげられる。日本の政府開発援助(ODA)予算は減り続ける一方、中国は予算を急速に増やしている。今後は官民連携と民間主導の持続司能な発展が必要になる。
最終的にめざすのは商業ベースの協力。援助でなく、買ってもらうのだ。「ただでもらうよりは、お金を出して買った方がものを大切にするでしょう」と筋を説き、新しいファイナンスの仕組みを説明すると首脳たちも納得する。各国とも淡水化、エネルギー、ごみ処理などの技術の導入で不必要な出費がなくなり歳出も減る。企業も長期に安定した収益が上げられ、共存共栄の関係が築けるのだ。
太平洋は米国の世界戦略でも最重要地域になりつつある。日本企業がこの地域で存在感を高めることは、経済を通じて親日国を増やすことになって太平洋の安全保障にも寄与するので対米発言力も増す。安全保障外交でも民間が大きな役割を担う時代が来たのだ。
次のステップは現地に行くことだ。行動する企業人からの連絡を請う。
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原 丈人 (はら じょうじ) 氏
欧米で活動する事業家。デフタ・パートナーズ会長。財務省参与や飢餓対策に取り組む国連政府間機関の大使を歴任。59歳。
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中国が札束外交を展開する中、記事に書かれている通り、資金力が低下する日本の独壇場ではなくなり、フィジーの様に中国に義理立てして欠席をする国も出てきました。参加した国々も、中国と両天秤の発言がみられました。
アフリカ諸国やミヤンマーで観られる、骨までしゃぶり被援助国の利益や発展の視点がない中国の支援への見直しの機運が世界のあちこちで巻き起こっていますが、島嶼国への中国の浸透はかなり拡大してきています。
中国の援助に飽いた国々で、地域の利益と発展を考慮する日本流が注目されていると聞きますが、島嶼国との交流でも元祖の日本が日本流で貢献できるようと言葉では期待していましたが、既に実行が着手されていたとは嬉しい話です。
政治が三流の国でも、今日迄の日本の地位を築いてきたのは民間の力でした。
日本の技術が現地のニーズに応え、中国他の国々と差別化した交流が深まる希望の灯りが見えた気がします。
日本のEEZ内で初のレアアースの大鉱床が発見されたそうですね。
南鳥島周辺でレアアースの泥 EEZ内で初 - MSN産経ニュース
メタンハイドレートなどと共に海底資源の発掘技術を早期に実用化し、広大なEEZを持つ島嶼国の資源開発にも貢献できれば、島サミットの国々で一大資源保有国の連携が可能になります。
久々に聞く明るい話です。政府が本腰を入れ、日本の技術の総力を結集して早期に実用化の技術が確立されることを願います。
【続】第6回太平洋・島サミット 海洋の安全保障を初討議 - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、第6回太平洋・島サミットの政府首脳会議
この花の名前は、耽羅玄海躑躅(たんなげんかいつつじ) 撮影場所;六甲高山植物園
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