遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国農村改革も...?

2008-11-08 22:15:14 | 中国 全般

 中国農村改革の第一声として、「投獄も死刑もいとわない。耕地を戸別に分けて請負制を取らなければならない」と宣言した血判書が、中国革命博物館に収められている安徽省鳳陽県小崗村が今、厳しい報道統制下にあるのだそうです。
 農村改革のモデルとなり改革の展示場となった小崗村ですが、改革の目的より展示場としての管理が優先していることと、そのことによるみせかけの改革を中国紙が暴露したことで、報道統制が強められているのだそうです。

   農村改革の第一声 中国改革開放30周年記念_人民中国
 「中国改革開放第一村」小崗村の30年(上)
 「中国改革開放第一村」小崗村の30年(下)


中国「改革の村」を監視 「農民無視」証言報道きっかけ (11/5 読売朝刊)

<前略>
 同村では1978年、飢餓を招いた集団農業に背き、18人の農民が土地を農家毎に分配する生産請負制を断行。目覚ましい生産性向上が小平氏の支持を得て、全国に広まる先駆けとなった。2005年には18人の写真・肖像画を並べた記念館が完成。30周年の今年は無料開放され、連日、各地からの視察団を迎えている。
 だが、稲の刈り入れが一段落した10月末、同村を訪れると、たちまち宣伝部門の担当者が取り囲み、外国メディアと知るやピタリと"随行"を始めた。取材対象には、不用意な発言をしないよう監視がはり付いた。村人の一人は「政府の目が厳しくなった。記者に伝えたいことは沢山あるのに.....」と打ち明けた。
 当局の緊張は、中国紙「21世紀経済報道」が10月22日に報じた記事が大きな反響を呼んだためだ。同紙は、地元政府による農民の意思を無視した養豚場への無償土地譲渡や、村の不透明な財政、補助金目当ての非効率な商品作物栽培を告発する農民の証言を掲載。この記事を読んだ人々からインターネット上で「農民の発言権を擁護すべきだ」との声が相次いだ。年間 1人当たりの純収入は6,000元(約 8万4000円)で全国平均を上回るモデル地区とはいえ、他の農村と同様、農業だけでは食べ行けず、出稼ぎ収入に頼らざるを得ないのが実情なのだ

 
<中略>
 市場経済から取り残された農村に適用できる画一的な振興策はない。10月28日の「中国青年報」は、「モデルのためのモデル作りはやめるべきだ」と警鐘を鳴らし、官僚主導ではない、農民の自発的な発展を後押しするよう訴える論評を掲載した。
 国土資源省によると、2006年、農地の違法収用など土地関連の違法行為は前年比17.3%増の約13万件にものぼった。3中総会の決議は、農民の権利保護を打ち出したが、腐敗構造がはびこり、民主と法治が不十分な農村で実効を上げるのは極めて困難だ



 この話には、二つの注目点があります。
 一つは、本体の農村改革。改革開放は、小平以来の中国発展の基礎をなした方策で、「投獄も死刑もいとわない」と集団農業の人民公社制度を打ち破ることになった「耕地を戸別に分けて請負制を取る生産請負制」をはじめ、生産性向上を成し遂げた村が記念館を建てるほど称賛された。しかし、モデル=象徴を管理しようとする手がはいることで、農民の意思が無視され、出稼ぎが必要な状況からは脱け切れていない。
 地方の農村改革は中国のみならず、日本でも同様の悩みを抱えていて、自給率向上には欠かせない課題です。
 自由主義の日本が、なにかと規制や保護でお上が手を出しているのに、中国では開放改革を進める民意を称賛しています。それでもお上が手を出してしまい、折角の開放が中半端になり成果も進んでいない...。
 日本の農業も、ももっと開放され企業などの参画をやりやすくし、流通もさらに自由化すべきかと考えます。

 もう一つは、報道。「21世紀経済報道」(経済専門誌)や「中国青年報」(胡錦濤主席が影響力を持つ)が、以前の中国では考えられない自由な(?)報道をしていることです。
 改革開放を進める政府の意向に添った内容だからなのでしょうが、汚点は完全に蓋をするという姿勢が、明らかに変化して更に改革を進める方向に変わってきている様に見えます。

 100年に一度と言われる、世界同時金融&経済破綻。世界一の外貨保有量を誇る中国も、その目減りは大きいのですが、それでもその中国の外貨の投資に期待が集まっています。
 IMFへの投資が世界を救うものとして期待されていますが、中国は世界に貢献するどころではなく、国内の格差是正策にやっきで、新幹線など国内投資を優先させています。それはそれで、中国の内需が伸びれば、中国向け輸出(衰退した米国分は中国、インドなどに期待)が増える可能性はあるのですが。 

金融危機さらに打撃 「バブル崩壊の中国」 (11/8 読売朝刊)

 株式市場の暴落や不動産市場の低迷で、中国の富豪の資産が大幅に減少し、投機の標的となっていた漢方薬の材料「冬虫夏草」や現代アート作品などの取引も急速に冷え込み、"バブル崩壊"の象徴となっている。米国初の金融危機がこうした状況に追い打ちをかけそうだ。

 米経済誌フォーブスが10月末に発表した2008年中国富豪番付に名を連ねた富豪400人の資産総額は、昨年に比べて45%も減少した。昨年、資産総額が1211億5000万元(1元は約14円)でトップに立った不動産開発業の女性実業家は 3位に落ち、資産は約8分の1の151億元にしぼんだ。
 中国紙「新京報」は、富豪の資産の減少は昨年来の金融引き締め政策による不動産市場の低迷に加え、今年に入り、中国、香港の株式市場がそれぞれ60、50%下落したことが原因と指摘している。この女性実業家は昨年、会社を香港市場に上場させたことで、資産額をわずか 1年で100倍に膨らませていた。

<後略>

  オリンピック後は何処の国でも経済が低迷するのですが、金融危機とのダブルパンチは、中国といえども痛手でしょうし、中国経済の低迷はまた、中国への輸出を増やしていた企業や国にとっても痛手で、金融に留まらず、実態経済の低迷に繋がってきます。

 自由・放任で破綻した米国流金融。中国の改革開放で農村改革のモデルとなった村の要らぬ管理で低迷している現状は、その逆。
 これまでの既存概念がチェンジするというのはわかるとしても、どうチェンジすれば良いかは、全く見えていません。わくわくする日々が続きそうです。


 

↓ よろしかったら、お願いします。


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本が独自に「テロ支援国家... | トップ | 続・対馬が危ないっ! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事