遊爺雑記帳

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アフガニスタン駐留米軍最後の輸送機が首都カブールを離れた 米軍協力者と家族が置き去り

2021-09-03 01:23:56 | 中東全般
 8月30日深夜、アフガニスタン駐留米軍最後の輸送機が首都カブールを離れ、米国の「史上最長の戦争」は終わった。
 あとにはタリバンの支配におびえる米軍協力者と家族が残された。米国がなお向き合わねばならない厳しい現実が残されている。
 
米国の行方 同時テロ20年 「上」 アフガン民主化泥沼に 「置き去りか」協力者怒り (9/2 読売朝刊)

 8月30日深夜、アフガニスタン駐留米軍最後の輸送機が首都カブールを離れた。開戦から20年、米国の「史上最長の戦争」は終わった。あとにはイスラム主義勢力タリバンの支配におびえる米軍協力者と家族が残された。米国がなお向き合わねばならない厳しい現実だ。

 「私はまだカブールにいる。何とか脱出したいが」タリバンがカブールを制圧した2日後の8月17日、元米軍通訳のオミド・マームディ(30)は、本紙記者に電子メールで悲痛な思いを伝えてきた。
昨年までの3年間に1000回を超える米軍の任務をこなした。戦闘にも同行し、作戦への貢献で表彰されたこともある。現場の米兵からは「君は我々を助けてくれた。ただの通訳でなく、兄弟だ」と言葉をかけられたという。
           ◇
 
アフガン駐留米軍の通訳や基地スタッフとして働いてきたアフガン人は今、タリバンの迫害を恐れて息を潜めながら日々を過ごす米国は、こうした協力者と家族に対し、米国への移住受け入れを約束してきた
 計画では、カブールの米大使館は米軍撤退後も現地にとどまり、「特別ビザ」の発給を続けるはずだった。しかし、
8月15日、米軍の撤退完了も待たずにカブールは陥落し、大使館は閉鎖された。
昨年から特別ビザの承認を待っていたマームディは裏切られた思いだ。
「2年働けばビザをくれる約束だった。何千人もの協力者を置き去りにするのか」と憤りを隠さなかった。
           ◇
 
米国がアフガニスタンに攻め入ったのは2001年10月。9月11日の米同時テロを計画・実行した国際テロ組織アル・カーイダへの報復が目的だった。
 
当時のタリバン政権は米軍進攻から2か月で壊滅し、タリバンの保護下にあったアル・カーイダは散り散りに敗走した。この時点で米国は所期の目的を達したとの見方もあった
 
しかし、当時のジョージ・ブッシュ(子)政権は駐留継続を選ぶ。新たな目標に掲げたのが、この地に民主国家を作り上げるという遠大な構想だった。
 プッシュは在任当時、演説でこう語っている。「ドイツと日本が民主国家となり、世界の脅威でなくなつたのは、我々が諦めなかったからだ。その救訓を今、この時代に適用しよう」
 戦後の廃墟からよみがえった日独のように、「テロの温床」だったアフガニスタンも豊かな民主国家に生まれ変わる。それを支えることが米国の国益にかなう。そんな大義名分の下、米国はアフガンに最大時9万人の兵力を送り込み、そして抜け出せなくなった。

■「国家建設」水の泡 アフガン側汚職 見逃す

 アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンの攻勢で、米国が20年支え続けたアフガン政府は目立った戦闘もないままあっけなく崩壊した。2014年の民主的選挙で選ばれたアシュラフ・ガニ大統領は国外に逃亡し、公称30万人の政府軍は霧散霧消した。
 
無血開城から半月。カブールの大通りは車が行き交い、多くの商店も営業を再開した。ただし、大きく変わったことがある。表通りから女性の姿が消えたことだ。美容院の窓に貼られた女性モデルの写真も、目や口が黒く塗りつぶされて見る影もない。
 タリバンは、政権の座にあった1996年から5年の間、女性の行動を厳しく制限した。女性1人での外出を許さず、教育を受けることを禁じ、伝統衣装ブルカの着用を強要した。違反すれば、殴打を含む様々な懲罰が科されたという。
 対照的に、米国の後ろ盾で
2002年に成立したアフガン政府の下では女性教育が奨励され、女性の社会進出が進んだ。女性のテレビキャスターや、ラップ歌手も登場した。女性の活躍は、米国主導で進められた国家建設の象徴だった。
 
タリバン支配の下、女性は再び自由を奪われるのか。かつて米軍の通訳を務めたアフマド・ラフマン(28)(仮名)は今、3人の妹の将来が心配でならない。「この20年で得たものが消えてなくなろうとしている。タリバンの支配のもとでは、女性は囚人のようなものだ」と声を絞り出した。
               ◇
 
アフガン民主化の難しさは、米国内でも早い段階から指摘されていたにもかかわらず米国が国家建設にまい進したのは、新保守主義(ネオコン)と称される政治思想の影響が大きかった。世界中に民主主義を植え付けることが米国の国益にかなうとする考え方で、ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官(当時)ら共和党ジョージ・ブッシュ(子)政権の中枢幹部に浸透していた。
 ブッシュ自身も回顧録で「アフガンは究極の国家建設ミッションだった」と振り返つている。
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タリバンがアフガン統治の実権を再び手中に収めたことで、米国による国家建設は水泡に帰した
 
米紙ワシントン・ポストが2019年に報じた米政府の内部文書「得られた教訓」によれば、アフガン政府幹部らが開発援助などを着服し、米側もそれを知りながら目を背け続けたことが最大の問題だった。治安部隊の育成、統治機構の整備、民生の向上に使われるべき資金は闇に消えた
 
アフガン民主化の目標達成が遠のくにつれ、米軍が駐留を続ける大義はかすんだ。前政権から戦争を引き継いだバラク・オバマ大統領(民主党)とドナルド・トランプ大統領(共和党)は共にネオコン思想に基づく国家建設に否定的な考えを公言していた。
 ただ、
どちらも急激な兵力削減には慎重だった。アフガニスタンが「テロの温床」に逆戻りする懸念があり、撤退はタイミングの見極めが容易ではなかった
               ◇
 
現地で作戦に携わった米軍人の心境は複雑だ。米陸軍退役少将のジェフリー・シュレッサー(66)は「テロリストが再び米国攻撃の準備を始めるかもしれない」と危惧する。
 精鋭で知られる第101空挺(くうてい)師団の司令官として2008年から15か月間、前線で国家建設の一端を担った。任期申に180人の部下や同僚を失った。戦死した兵七の家族に手紙を書くのが司令官の重要な務めだったという。「米軍はアフガンで多くの犠牲を払った」と無念さをにじませた。
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ジョー・バイデン大統領(民主党)は、米国のアフガン戦争終結を宣言した8月31日の演説で「対テロ作戦が国家建設にすり替わった」と米国の戦略目標の変容を批判し、これからは中国やロシアの「新たな脅威」に資源を振り向けるべきだと熱弁を振るった
 闇題は、米国の国家建設失敗を世界がどう受け止めるかだ。イスラム過激派が歓喜に沸き、同盟国が不安を募らせる中、米軍は追い立てられるようにしてアフガンを去った。米国が新たな脅威と向き合う上で、その残像が足かせとなる懸念は拭えない。(敬称略)


 アフガン駐留米軍の通訳や基地スタッフとして働いてきたアフガン人は今、タリバンの迫害を恐れて息を潜めながら日々を過ごす。米国は、こうした協力者と家族に対し、米国への移住受け入れを約束してきた。
 8月15日、米軍の撤退完了も待たずにカブールは陥落し、大使館は閉鎖。
 昨年から特別ビザの承認を待っていたマームディは裏切られた思いだ。「2年働けばビザをくれる約束だった。何千人もの協力者を置き去りにするのか」と憤りを隠さなかった。

 米国がアフガニスタンに攻め入ったのは2001年10月。9月11日の米同時テロを計画・実行した国際テロ組織アル・カーイダへの報復が目的だった。
 当時のタリバン政権は米軍進攻から2か月で壊滅し、タリバンの保護下にあったアル・カーイダは散り散りに敗走。この時点で米国は所期の目的を達したとの見方もあった。

 しかし、当時のジョージ・ブッシュ(子)政権は駐留継続を選んだ。そして、この地に民主国家を作り上げるという遠大な構想を掲げた。
 ところが、タリバンがアフガン統治の実権を再び手中に収めたことで、米国による国家建設は水泡に帰した。

 バラク・オバマ大統領(民主党)とドナルド・トランプ大統領(共和党)は、共にネオコン思想に基づく国家建設に否定的な考えを公言していた。
 ただ、どちらも急激な兵力削減には慎重だった。アフガニスタンが「テロの温床」に逆戻りする懸念があり、撤退はタイミングの見極めが容易ではなかった。
 現地で作戦に携わった米軍人の心境は複雑だ。米陸軍退役少将のジェフリー・シュレッサー(66)は「テロリストが再び米国攻撃の準備を始めるかもしれない」と危惧する。

 バイデン大統領(民主党)は、米国のアフガン戦争終結を宣言した8月31日の演説で、「対テロ作戦が国家建設にすり替わった」と米国の戦略目標の変容を批判。
 これからは中国やロシアの「新たな脅威」に資源を振り向けるべきだと熱弁を振るったのだそうです。
 イスラム過激派が歓喜に沸き、同盟国が不安を募らせる中、米軍は追い立てられるようにしてアフガンを去った。米国が新たな脅威と向き合う上で、その残像が足かせとなる懸念は拭えない。

 日本も、邦人も含む約500人の脱出作戦に失敗し、その人々を現地に残したまま。
 欧米諸国や、韓国は脱出に成功。
 まずは、その人々の安全確保と救出に外交力を注ぐべき。
 なのに、何故か救出への努力が報じられない現状の報道。交渉が地下で行われていて、表に出ないのか、交渉の糸口が見つからないままなのか。

 現地の協力者の脱出に失敗した日本は、世界から批判され始めていますね。


 
 # 冒頭の画像は、9.11 米同時テロで 2機目の航空機が突っ込み、炎を上げる世界貿易センタービル




  この花の名前は、スズムシバナ


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写真素材のピクスタ


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