ジョー・バイデン米大統領の今年に入ってからの行動は、政策課題を政治的大惨事に変えるやり方を示す典型的な例だと、カール・ローブ氏。
バイデン氏の中間選挙戦略を、6段階の道筋で解説しておられます。
最初は、昨年8月のアフガニスタン首都カブールからの米軍の混沌(こんとん)とした撤退。
アフガニスタンを事実上タリバンに引き渡したことを「正しい決定」と擁護し、その後に生じた混乱について「われわれは準備ができていた」と説得力のない主張を行ったと、カール・ローブ氏。
バイデン氏は2月、雇用統計について「歴史がつくられた」と得意げに話したが、米就業者数は新型コロナウイルスの感染拡大前より290万人少なく、インフレ率は前年同月比7.9%の上昇だった。その数週間後にギャラップ社が公表した世論調査によると、同氏の経済運営に対する支持率は37%で、支持しないとの回答は62%に上った。
ホワイトハウス西棟にいる政治の天才たちは、否定がうまくいっていないことにようやく気づいたようで、第2段階に進んだ。
それは、他人に責任を押し付けることだと、カール・ローブ氏。
バイデン氏は4月、エネルギー価格の高騰を「プーチンによる値上げ」と呼び始めた。そして6月までには、食料価格上昇の責任もロシアのウラジーミル・プーチン大統領に転嫁した。
しかし、FOXニュースの世論調査では、経済に関する大統領の支持率は29%で、不支持は67%だったと。
余談ですが、岸田首相も全く同様の表現で、自己責任から逃避していますね。しかし、岸田内閣の支持率は最近まで高止まりの不思議がつづきました。
バイデン氏のチームは、話題を変えるという第3段階の策に転じた。
有権者に対し、インフレや成長鈍化、あるいはパンデミック(感染症の世界的大流行)に伴うあらゆる問題を無視し、出産直前までの人工妊娠中絶の合法化を優先・集中する戦術。
バイデン氏の支持基盤にとって大きな優先課題の1つだが、無党派の有権者にはそうではないと、カール・ローブ氏。
そして、第4段階。それは、ドナルド・トランプ前大統領のせいにするというもの。
米国を「大恐慌の瀬戸際」に置いた状態で大統領執務室から去った(トランプ氏自らの決断で去ってはいない)として、トランプ氏を批判し始めた。これはあまりに荒唐無稽だったため、バイデン氏は、経営者にはガソリンとディーゼル燃料の供給増を求め、ガソリンスタンドのオーナーには「価格を引き下げる」よう求めた。
どちらのアプローチもうまくいかなかったのは当然。
次の第5段階は、何でも良いから何かやっているように見せるというものだったと。
大統領は3カ月間の連邦ガソリン税停止を提案し、学生ローンの救済を検討していると述べたほか、海上輸送費について調査する法案に署名。
これを受けて第6段階が始まったと、カール・ローブ氏。
バイデン氏がもがき苦しむにつれ、厳しい戦いにある民主党候補者は同氏と一緒に沈むリスクに気付き、距離を置き始めるだろうと。
しかし大半が生き残るには、他のプレーヤーの積極的な協力が必要となる。共和党の対立候補が選挙にふさわしくない暴言や狂気じみた発言を行えば、民主党候補にとって助けになる。トランプ氏の存在も、民主党候補の助け船となり得ると、カール・ローブ氏。
一方、共和党はバイデン氏にスポットライトを当て続ける方がいい。バイデン氏は毎日、失敗を重ねているからだとも。(笑)
共和党が民主党を助けるという過ちを犯さない限り、民主党は、事実の否定から始まり、決別へと至る中間選挙戦略に頼り続けるほかないと、カール・ローブ氏。
さて、トランプ氏はどう動くのでしょう。
# 冒頭の画像は、バイデン大統領
この花の名前は、ルドベキアタカオ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
バイデン氏の中間選挙戦略を、6段階の道筋で解説しておられます。
【寄稿】バイデン氏の中間選挙戦略6つの過ち - WSJ" target="_blank">【寄稿】バイデン氏の中間選挙戦略6つの過ち - WSJ By Karl Rove 2022 年 7 月 7 日
――筆者のカール・ローブ氏は、政治活動委員会「アメリカン・クロスロード」の設立に関わった。著書に「The Triumph of William McKinley(ウィリアム・マッキンリーの勝利)」(サイモン・アンド・シュスターから2015年刊行)がある
***
ジョー・バイデン米大統領の今年に入ってからの行動は、政策課題を政治的大惨事に変えるやり方を示す典型的な例だ。
精神科医キューブラー・ロスの悲しみの5段階のように、バイデン氏の中間選挙戦略の6段階は否定から始まる。大統領は自らの過ちと暗い経済環境について、状況は実態より良いと主張して対処している。
昨年8月のアフガニスタン首都カブールからの米軍の混沌(こんとん)とした撤退を覚えているだろうか。バイデン氏は「この任務の類いまれな成功」を称賛した。同氏は、アフガニスタンを事実上タリバンに引き渡したことを「正しい決定」と擁護し、その後に生じた混乱について「われわれは準備ができていた」と説得力のない主張を行った。
バイデン大統領の明らかな自己欺瞞(ぎまん)は、インフレと経済への懸念が高まるにつれてさらにひどくなった。バイデン氏は2月、雇用統計について「歴史がつくられた」と得意げに話したが、米就業者数は新型コロナウイルスの感染拡大前より290万人少なく、インフレ率は前年同月比7.9%の上昇だった。その数週間後にギャラップ社が公表した世論調査によると、同氏の経済運営に対する支持率は37%で、支持しないとの回答は62%に上った。バイデン氏は、ボトムアップとミドルアウトから経済を成長させるという自身の戦略によって米経済が成し遂げた「歴史的な進歩」をアピールした。
ホワイトハウス西棟にいる政治の天才たちは、否定がうまくいっていないことにようやく気づいたようで、第2段階に進んだ。それは、他人に責任を押し付けることだ。バイデン氏は4月、エネルギー価格の高騰を「プーチンによる値上げ」と呼び始めた。そして6月までには、食料価格上昇の責任もロシアのウラジーミル・プーチン大統領に転嫁していた。昨年既にインフレが進行していたにもかかわらずだ。こうした発言の5日後に行われたFOXニュースの世論調査では、経済に関する大統領の支持率は29%で、不支持は67%だった。
5月初めに「ロー対ウェイド判決」を覆す内容の最高裁意見書の草稿が流出すると、バイデン氏のチームは戦略の第3段階、話題を変えるという策に出た。ホワイトハウスと民主党指導部は有権者に対し、インフレや成長鈍化、あるいはパンデミック(感染症の世界的大流行)に伴うあらゆる問題を無視し、出産直前までの人工妊娠中絶の合法化に集中するよう促した。人工中絶は、バイデン氏の支持基盤にとって大きな優先課題の1つだが、無党派の有権者にはそうではない。政治サイトのポリティコと調査会社モーニング・コンサルトが5月下旬に実施した世論調査によると、41%の有権者は経済問題が1番の関心事だと答えた。「女性の問題」を挙げた有権者は11%にとどまった。
そして、第4段階へと進む。それは、ドナルド・トランプ前大統領のせいにするというものだ。バイデン氏は5月半ばから、米国を「大恐慌の瀬戸際」に置いた状態で大統領執務室から去ったとして、トランプ氏を批判し始めた。これはあまりに荒唐無稽だったため、バイデン氏は石油会社への攻撃に舞い戻り、経営者にはガソリンとディーゼル燃料の供給増のために「早急に行動する」よう求め、(1ガロン当たり数セントしかもうけていない)ガソリンスタンドのオーナーには「価格を引き下げる」よう求めた。大統領は「今やれ」と命じた。
どちらのアプローチもうまくいかなかった。ハーバード大学米国政治研究センター(CAPS)と調査会社ハリス・ポールが6月29日に発表した世論調査によると、経済面でのバイデン氏の不支持率は68%に上った。
次は第5段階で、何でも良いから何かやっているように見せるというものだった。大統領は3カ月間の連邦ガソリン税停止を提案し、学生ローンの救済を検討していると述べたほか、海上輸送費について調査する法案に署名した。
これを受けて第6段階が始まる。それは船を捨てることだ。バイデン氏がもがき苦しむにつれ、厳しい戦いにある民主党候補者は同氏と一緒に沈むリスクに気付き、距離を置き始めるだろう。最初のうちは小さな意見の違いを表明する程度だろうが、中間選挙のある11月が近づくにつれ、より多くの民主党候補者がバイデン氏との決別に動くと予想される。一部候補者は、同氏の政策やリーダーシップを厳しく批判するだろう。
何人かはそれで救われるかもしれない。しかし大半が生き残るには、他のプレーヤーの積極的な協力が必要となる。共和党の対立候補が選挙にふさわしくない暴言や狂気じみた発言を行えば、民主党候補にとって助けになる。トランプ氏の存在も、民主党候補の助け船となり得る。今回の中間選挙は本来なら、バイデン氏の政策の失敗と指導力不足に対する国民投票になるはずだが、トランプ氏がうわさ通りに中間選挙前に2024年大統領選への出馬を宣言すれば、中間選挙はトランプ氏に対する国民投票となる。
共和党はバイデン氏にスポットライトを当て続ける方がいい。バイデン氏は毎日、失敗を重ねているからだ。共和党が民主党を助けるという過ちを犯さない限り、民主党は、事実の否定から始まり、決別へと至る中間選挙戦略に頼り続けるほかない。
――筆者のカール・ローブ氏は、政治活動委員会「アメリカン・クロスロード」の設立に関わった。著書に「The Triumph of William McKinley(ウィリアム・マッキンリーの勝利)」(サイモン・アンド・シュスターから2015年刊行)がある
***
ジョー・バイデン米大統領の今年に入ってからの行動は、政策課題を政治的大惨事に変えるやり方を示す典型的な例だ。
精神科医キューブラー・ロスの悲しみの5段階のように、バイデン氏の中間選挙戦略の6段階は否定から始まる。大統領は自らの過ちと暗い経済環境について、状況は実態より良いと主張して対処している。
昨年8月のアフガニスタン首都カブールからの米軍の混沌(こんとん)とした撤退を覚えているだろうか。バイデン氏は「この任務の類いまれな成功」を称賛した。同氏は、アフガニスタンを事実上タリバンに引き渡したことを「正しい決定」と擁護し、その後に生じた混乱について「われわれは準備ができていた」と説得力のない主張を行った。
バイデン大統領の明らかな自己欺瞞(ぎまん)は、インフレと経済への懸念が高まるにつれてさらにひどくなった。バイデン氏は2月、雇用統計について「歴史がつくられた」と得意げに話したが、米就業者数は新型コロナウイルスの感染拡大前より290万人少なく、インフレ率は前年同月比7.9%の上昇だった。その数週間後にギャラップ社が公表した世論調査によると、同氏の経済運営に対する支持率は37%で、支持しないとの回答は62%に上った。バイデン氏は、ボトムアップとミドルアウトから経済を成長させるという自身の戦略によって米経済が成し遂げた「歴史的な進歩」をアピールした。
ホワイトハウス西棟にいる政治の天才たちは、否定がうまくいっていないことにようやく気づいたようで、第2段階に進んだ。それは、他人に責任を押し付けることだ。バイデン氏は4月、エネルギー価格の高騰を「プーチンによる値上げ」と呼び始めた。そして6月までには、食料価格上昇の責任もロシアのウラジーミル・プーチン大統領に転嫁していた。昨年既にインフレが進行していたにもかかわらずだ。こうした発言の5日後に行われたFOXニュースの世論調査では、経済に関する大統領の支持率は29%で、不支持は67%だった。
5月初めに「ロー対ウェイド判決」を覆す内容の最高裁意見書の草稿が流出すると、バイデン氏のチームは戦略の第3段階、話題を変えるという策に出た。ホワイトハウスと民主党指導部は有権者に対し、インフレや成長鈍化、あるいはパンデミック(感染症の世界的大流行)に伴うあらゆる問題を無視し、出産直前までの人工妊娠中絶の合法化に集中するよう促した。人工中絶は、バイデン氏の支持基盤にとって大きな優先課題の1つだが、無党派の有権者にはそうではない。政治サイトのポリティコと調査会社モーニング・コンサルトが5月下旬に実施した世論調査によると、41%の有権者は経済問題が1番の関心事だと答えた。「女性の問題」を挙げた有権者は11%にとどまった。
そして、第4段階へと進む。それは、ドナルド・トランプ前大統領のせいにするというものだ。バイデン氏は5月半ばから、米国を「大恐慌の瀬戸際」に置いた状態で大統領執務室から去ったとして、トランプ氏を批判し始めた。これはあまりに荒唐無稽だったため、バイデン氏は石油会社への攻撃に舞い戻り、経営者にはガソリンとディーゼル燃料の供給増のために「早急に行動する」よう求め、(1ガロン当たり数セントしかもうけていない)ガソリンスタンドのオーナーには「価格を引き下げる」よう求めた。大統領は「今やれ」と命じた。
どちらのアプローチもうまくいかなかった。ハーバード大学米国政治研究センター(CAPS)と調査会社ハリス・ポールが6月29日に発表した世論調査によると、経済面でのバイデン氏の不支持率は68%に上った。
次は第5段階で、何でも良いから何かやっているように見せるというものだった。大統領は3カ月間の連邦ガソリン税停止を提案し、学生ローンの救済を検討していると述べたほか、海上輸送費について調査する法案に署名した。
これを受けて第6段階が始まる。それは船を捨てることだ。バイデン氏がもがき苦しむにつれ、厳しい戦いにある民主党候補者は同氏と一緒に沈むリスクに気付き、距離を置き始めるだろう。最初のうちは小さな意見の違いを表明する程度だろうが、中間選挙のある11月が近づくにつれ、より多くの民主党候補者がバイデン氏との決別に動くと予想される。一部候補者は、同氏の政策やリーダーシップを厳しく批判するだろう。
何人かはそれで救われるかもしれない。しかし大半が生き残るには、他のプレーヤーの積極的な協力が必要となる。共和党の対立候補が選挙にふさわしくない暴言や狂気じみた発言を行えば、民主党候補にとって助けになる。トランプ氏の存在も、民主党候補の助け船となり得る。今回の中間選挙は本来なら、バイデン氏の政策の失敗と指導力不足に対する国民投票になるはずだが、トランプ氏がうわさ通りに中間選挙前に2024年大統領選への出馬を宣言すれば、中間選挙はトランプ氏に対する国民投票となる。
共和党はバイデン氏にスポットライトを当て続ける方がいい。バイデン氏は毎日、失敗を重ねているからだ。共和党が民主党を助けるという過ちを犯さない限り、民主党は、事実の否定から始まり、決別へと至る中間選挙戦略に頼り続けるほかない。
最初は、昨年8月のアフガニスタン首都カブールからの米軍の混沌(こんとん)とした撤退。
アフガニスタンを事実上タリバンに引き渡したことを「正しい決定」と擁護し、その後に生じた混乱について「われわれは準備ができていた」と説得力のない主張を行ったと、カール・ローブ氏。
バイデン氏は2月、雇用統計について「歴史がつくられた」と得意げに話したが、米就業者数は新型コロナウイルスの感染拡大前より290万人少なく、インフレ率は前年同月比7.9%の上昇だった。その数週間後にギャラップ社が公表した世論調査によると、同氏の経済運営に対する支持率は37%で、支持しないとの回答は62%に上った。
ホワイトハウス西棟にいる政治の天才たちは、否定がうまくいっていないことにようやく気づいたようで、第2段階に進んだ。
それは、他人に責任を押し付けることだと、カール・ローブ氏。
バイデン氏は4月、エネルギー価格の高騰を「プーチンによる値上げ」と呼び始めた。そして6月までには、食料価格上昇の責任もロシアのウラジーミル・プーチン大統領に転嫁した。
しかし、FOXニュースの世論調査では、経済に関する大統領の支持率は29%で、不支持は67%だったと。
余談ですが、岸田首相も全く同様の表現で、自己責任から逃避していますね。しかし、岸田内閣の支持率は最近まで高止まりの不思議がつづきました。
バイデン氏のチームは、話題を変えるという第3段階の策に転じた。
有権者に対し、インフレや成長鈍化、あるいはパンデミック(感染症の世界的大流行)に伴うあらゆる問題を無視し、出産直前までの人工妊娠中絶の合法化を優先・集中する戦術。
バイデン氏の支持基盤にとって大きな優先課題の1つだが、無党派の有権者にはそうではないと、カール・ローブ氏。
そして、第4段階。それは、ドナルド・トランプ前大統領のせいにするというもの。
米国を「大恐慌の瀬戸際」に置いた状態で大統領執務室から去った(トランプ氏自らの決断で去ってはいない)として、トランプ氏を批判し始めた。これはあまりに荒唐無稽だったため、バイデン氏は、経営者にはガソリンとディーゼル燃料の供給増を求め、ガソリンスタンドのオーナーには「価格を引き下げる」よう求めた。
どちらのアプローチもうまくいかなかったのは当然。
次の第5段階は、何でも良いから何かやっているように見せるというものだったと。
大統領は3カ月間の連邦ガソリン税停止を提案し、学生ローンの救済を検討していると述べたほか、海上輸送費について調査する法案に署名。
これを受けて第6段階が始まったと、カール・ローブ氏。
バイデン氏がもがき苦しむにつれ、厳しい戦いにある民主党候補者は同氏と一緒に沈むリスクに気付き、距離を置き始めるだろうと。
しかし大半が生き残るには、他のプレーヤーの積極的な協力が必要となる。共和党の対立候補が選挙にふさわしくない暴言や狂気じみた発言を行えば、民主党候補にとって助けになる。トランプ氏の存在も、民主党候補の助け船となり得ると、カール・ローブ氏。
一方、共和党はバイデン氏にスポットライトを当て続ける方がいい。バイデン氏は毎日、失敗を重ねているからだとも。(笑)
共和党が民主党を助けるという過ちを犯さない限り、民主党は、事実の否定から始まり、決別へと至る中間選挙戦略に頼り続けるほかないと、カール・ローブ氏。
さて、トランプ氏はどう動くのでしょう。
# 冒頭の画像は、バイデン大統領
この花の名前は、ルドベキアタカオ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA