いざと言うときには、フランス等近隣国から電力を購入できるというバッファがその推進の安全性を支えているのですが、価格の高騰により、国民の不満は強まっていることも衆知のことですね。
メルケル首相は、選挙戦を通じ再生可能エネルギー買い取り制度の改革に取り組むと強調していました。選挙で大勝した今後、具体的にどのように取り組むのか、注目されますね。
【ベルリン=工藤武人】「脱原発」を進めるドイツで、来年から家庭の電気代が一段と上昇する見通しとなった。再生可能エネルギー普及のため、消費者が負担する賦課金が約2割引き上げられるためだ。DPA通信によると、3人世帯の年間電気代が今年より約70ユーロ(約9000円)増え、約1050ユーロ(約13万7000円)になる見込みという。
電気が「高級品」(シュピーゲル誌)になっていく状況に、国民の不満は強まっている。先の総選挙での与党大勝で続投が確実なメルケル首相にとって、電気代高騰に歯止めをかけられるかどうかが喫緊の課題だ。
ドイツでは2000年から、太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電気を、事業者に市価より高い価格で買い取るよう義務づける制度を導入している。市価への上乗せ分は、賦課金の形で消費者が負担する仕組みだ。
同通信など独主要メディアによると、送電大手4社が15日に発表する来年の賦課金額は、1キロ・ワット時あたり6.3セント(約8円)。今年の5.28セント(約7円)から約1セント引き上げられる。年間電力消費量が3500キロ・ワット時の3人世帯の場合、来年の賦課金負担額は今年の185ユーロ(約2万4300円)から220ユーロ(約2万8900円)に増える。
賦課金高騰の要因として、再生可能エネルギーの発電量の急増で電力の市場価格が低迷したことで、買い取り価格との差額が拡大し、賦課金への転嫁額が増えていることが挙げられる。
好天時などには電力が供給過剰状態に陥り、市場価格がマイナスになる事態も発生している。6月には、再生可能エネルギーの発電量が、一時的に国内の必要電力の6割を初めて超えた。
独世論調査機関が今月、新政権に期待する政策分野を尋ねた世論調査では、エネルギー政策の改革を求める回答が最も多かった。
メルケル首相は選挙戦を通じ、「電気代を支払い可能な範囲にとどめる」と訴え、再生可能エネルギー買い取り制度の改革に取り組むと強調しているものの、具体策は示していない。
22年までに全廃
ドイツの脱原発政策はどういうものか。
ドイツでは2011年7月に、国内に17基ある原発のうち古い8基の稼働を停止し、残り9基も22年までに廃止することを盛り込んだ改正原子力法を施行した。さらに、電力消費量に占める再生可能工ネルギーの割合を30年までに50%、50年までに80%にするとの目標を打ち出した。
もともとドイツの脱原発政策は、社会民主党(SPD)のシュレーダー前首相時代の2002年に決まっていた。
メルケル首相は09年のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)による中道右派政権発足後、産業界の意向に配慮して原発稼働を決めたが、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、脱原発に方針転換した。
20年間にわたって再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度が太陽光や風力などの普及に拍車をかけている。再生可能エネルギーの比率は10年の16.6%から12年には22.6%に増え、原子力(15.8%)を上回った。
風力、太陽光発電などは天候に左右されるが、ドイツは日本と異なり、送電網で結ばれた近隣諸国から非常時に電力を融通できる。 (ベルリン 工藤武人)
ドイツが脱原発を進めているのだから日本も脱原発をと唱える声が、いまだに聞こえることがあります。
ドイツと日本の状況は、全く異なることの認識が必要ですし、脱原発を推進している国は、ドイツとスイス、オーストリア、イタリア等の少数であることの認識も必要です。
ドイツの場合は、17基あった原発のうち、止めたのは旧い8基で、9基は22年まで動かすのです。更に、近隣国からの購入も可能という供給量の安全の備えがあります。
日本は、計画した意図はなく、全基の停止に追い込まれています。もちろん、近隣国からの購入と言う供給の量的備えはなく、ひたすら輸入の化石燃料による火力発電に頼るしか道はありません。
両国とも、再生可能エネルギーの比率向上を掲げていますが、先進国のドイツが実証実験の役割を果たしてくれているので、日本との違いを踏まえたうえで、そこから学ぶことが必要です。
ドイツでは、再生可能エネルギーの比率は10年の16.6%から12年には22.6%に増え、原子力(15.8%)を上回ったのだそうです。
ところが、3人世帯の場合、来年の賦課金負担額は今年の185ユーロ(約2万4300円)から220ユーロ(約2万8900円)へ約20%増えるのだそうです。
太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電気を、事業者が市価より高い価格で買い取る制度で、再生エネルギーの比率が、目標の途上の22.6%に達したところで、国民から不満が出る価格の上昇がおきているのですね。
日本でも、再生可能エネルギーの買い取り制度が進められていますが、買い取り価格かエネルギーによりまちまちで、太陽光エネルギーの異常な高さ(見直しされても未だ高い)が目立ちます。
遊爺は、原発を廃止することには賛成ですが、代替えのエネルギーの供給量の安定と価格の適正化を同時に検討推進し、移行計画をたてて進めるべきとの立場です。
当然、不安定で高コストの太陽エネルギーが主力にはならず、現行の販売価格に近いコストの地熱や、海に囲まれた日本の特性が活かせる海洋エネルギーを活かすべきと考えます。
ドイツがどのようにして、再生可能エネルギーの普及とコストとのバランスを進めるのか。他国に供給量を依存することなく再生可能エネルギーの率を高めるには、どんなエネルギーを主力に選らんでいくのか。中国製の太陽光パネル依存度を高めるのか。注目されます。
太陽光発電固定価格買い取り価格 13年度は引き下げ - 遊爺雑記帳
# 冒頭の画像は、海ほたる脇を通過する浮体式風車
この花は、ショウブ
↓よろしかったら、お願いします。