遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

欧州勢 対中警戒に目覚めてきた?

2019-04-10 03:01:28 | 中国 全般
 「一帯一路」の覇権拡大延伸の先欧州では、中国による欧州諸国の分断攻勢と、それに備える欧州主要国との攻防が始まりつつあります。
 貿易輸出市場としては欠かせない大人口マーケットの中国との貿易重視で、対中警戒が薄かった欧州主要国でしたが、目覚めてくれたのであれば歓迎ですね。

 NATOでの米国と欧州勢の分断を謀る中国に対する警戒を呼び掛けているのは産経・主張
 
NATO創設70年 中露の抑止へ結束を図れ (4/9 産経 主張)

 米国とカナダ、欧州諸国の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)が4日、創設から70年の節目を迎える。
 ロシアの脅威に備えることはもちろん、
米国が中国抑止に力を入れるためにもNATOの結束は重要である。最近の不協和音は望ましくない。

 NATOは、集団的自衛権に基づいて守り合う同盟機構である。東西冷戦初期の1949年に自由主義陣営の12カ国で発足した。ソ連崩壊後に東欧・バルト諸国が加わり、年内にも北マケドニアを含む30カ国体制となる。
 
NATOは冷戦時代の遺物などでは決してない

 ロシアは2014年、武力でウクライナ南部クリミア半島を併合し、同国東部に軍事介入した。昨年3月には露軍の情報機関員が英国で兵器級の神経剤を使った。米露の中距離核戦力(INF)全廃条約は今年8月、ロシアの違反行為で失効する見通しだ。

 こうした中で
米欧の溝が深まれば、最も喜ぶのはロシアと中国である。
 トランプ米大統領は加盟諸国に負担の増額を求め、防衛義務の履行に否定的な発言もしてきた。これが欧州諸国の間で米国への疑念を生んでいる。しかし、
加盟国の負担増は過去の米大統領も要請しており、妥当である。

 「
国内総生産(GDP)の2%以上を国防費にあてる」というNATOの目標を達成したのは7カ国にとどまっている。欧州諸国は実現に努力すべきだ。

 
加盟国のトルコが、ロシア製の最新対空ミサイルシステム「S400」を導入しようとしていることも大きな懸念材料である。同盟を弱体化させる動きは断固阻止しなければならない。

 NATOの結束は、中国の覇権主義的な海洋進出を阻む上でも意義がある。
NATOが欧州方面で揺らぎを見せれば、米国の対中戦略に響くからにほかならない。

 
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」で欧州の分断を図ろうとしている。すでに東欧諸国やイタリアなどが同構想に協力する覚書を中国と結んだ。一帯一路は中国の軍事的野望と密接につながっていることを銘記する必要がある。

 NATOは創設70年を機に、
中国もにらんだ安全保障の大局に目を向けてほしい。日本も世界安定の礎であるNATOとの連携をいっそう強めるべきである。

 加盟国の負担増は過去の米大統領も要請しており、今に始まったことではないのです。
 「国内総生産(GDP)の 2%以上を国防費にあてる」というNATOの目標は、1%でさえ喘いでいる日本からすれば、達成の困難さは理解出来なくはない。
 ただ、二度の大戦経験の中から、達成している国も少なくないのは、国を護る認識の高さに敬服。普通の先進国には大切な要件なのですね。
 
 トルコやイタリアの、ロシアや中国への迎合は、ロシアや中国による分断作戦に犯され札束に眼がくらんだ外交。
 産経は、大局観を求めていますが、賛成です。
 
 分断戦術推進で、EUを訪問した習近平。EUとの共同声明の発表が見送られる可能性が出ているのだそうですね。
 警戒感を持ち始めているEUと、覇権拡大を進めようとしている中国との隔たりが顕在化してきています。
 
声明発表見送りか 中国EU首脳会議 (4/9 産経)

 【ブリュッセル=宮下日出男】欧州連合(EU)と中国は9日、首脳会議をブリュッセルで開催する。EU側は、中国の政治・経済的な影響力増大に警戒を強め、不公正な市場アクセスの是正への確約などを迫る構えだ。ただ、中国は抵抗しており、事前調整は難航。共同声明の発表が見送られる可能性も出ている

 首脳会議はEUと中国が年1回開く定例のもの。EU側からはトゥスク大統領やユンケル欧州委員長ら、中国からは李克強首相らが出席。
EUは3月、中国を「パートナー」と同時に「競争相手」と位置づけるなど、対中戦略の見直しに乗り出している

 欧州メディアによると、EU側は首脳会議で中国に対し、自国産業への補助金政策や市場参入への障壁など、欧州企業に不利な慣行の是正を求め、長年交渉が難航してきた投資協定の早期妥結で合意することなどを目指しているが、中国は難色を示している。

 このほか、EUが警戒する中国によるハッキングや新疆ウイグル自治区の少数民族への対応といった人権問題の取り扱いでも、双方は対立しているもようだ。

 李氏は、クロアチアで11、12日に行われる中国と東欧16カ国の首脳会議にも参加する。
EUには、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて東欧や南欧に接近し加盟国の分断を図ることへの懸念も強い

 一方、李氏は独紙への寄稿で、東欧への投資は「EU内の均衡のとれた発展に有益だ」と主張している。


 日本はどう対処するのか。
 政府は、海上自衛隊の艦艇とフランス空母による初の共同訓練を、インド洋で行う方向で仏政府と調整に入ったり、空自と豪空軍の共同訓練を、7月下旬に千歳基地(北海道)周辺で行う計画など、仏、豪との連携で、中露の覇権拡大けん制を進めようとしているのですね。
 
インド洋で日仏訓練へ 海自艦、仏空母と来月にも 中国けん制 空自は豪と計画 (4/9 読売朝刊)

 政府は、海上自衛隊の艦艇とフランス空母による初の共同訓練を、5月下旬から6月上旬にインド洋で行う方向で仏政府と調整に入った航空自衛隊とオーストラリア空軍の戦闘機訓練も、7月下旬に北海道で行う方針だ。中国を念頭に、価値観を共有する民主主義国との安全保障面での連携を強化する。

 複数の政府関係者が明らかにした。日仏の共同訓練に参加するのは、
仏空母「シャルル・ドゴール」で、日本からは護衛艦「いずも」を派遣する方向で調整している。
 
フランスは南太平洋のニューカレドニアやポリネシアに領土や基地を持っており、中国が軍事活動を活発化させているインド太平洋地域の安定に高い関心を持つ。近年は、日本との安全保障協力に前向きな姿勢を見せており、今年1月にフランスで開かれた日仏の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で、海自とシャルル・ドゴールの共同訓練の実施で合意していた。
 
空自と豪空軍の共同訓練は、7月下旬に千歳基地(北海道)周辺で行われる予定だ。空自の戦闘機が米軍以外と国内で訓練を行うのは、2016年の英軍に続いて2例目となる。空自のF15と豪軍のFA18戦闘機などが迎撃戦闘や戦術攻撃を訓練する方向だ。
 共同訓練は昨年9月に実施を予定していたが、北海道地震の影響で中止された経緯がある。
 豪州は、
中国が太平洋島嶼(とうしょ)国に接近し、豪州にとっても重要なシーレーン(海上交通路)にあたる南シナ海で軍事拠点化を進めていることに警戒感を強めている。中国軍の遠洋での作戦能力も向上していることから、自衛隊と豪軍で連携を強め、中国をけん制する思惑があるとみられる。

 「CPTPP(TPP11)」、「自由で開かれたインド太平洋戦略」といった、有志国との連携に加え、仏、豪との具体的な防衛活動も開始しているのですね。
 
 札束外交と、軍事力拡大で覇権拡大を進めている中国に、抑止力をどう示すか。
 自由主義諸国の連携強化が求められています。



 # 冒頭の画像は、EUのトゥスク大統領と中国の李克強首相




  シロヤマブキの果実


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国際社会で味方がいなくなっ... | トップ | 陸自 新設の宮古島駐屯地に3... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事