★★★★★ 1999年/80分
監督/フランシス・ヴェベール 主演/ジャック・ヴィユレ
「フランス映画嫌いの方にも大プッシュ」
出版社の社長ピエールは仲間のエリートたちと共に、毎週水曜日に“バカな奴”を呼んで行う晩餐会を楽しんでいた。誰もが認めるおバカさんを連れてきた者が勝者となるため、今週はどんなバカを呼ぼうかと物色していたところ、マッチ棒で建築物のミニチュアを作っている「ピニョン」という人物を見つけた。「こいつは今まで招いた中でもとびきりのアホウだ」と自信満々のピエール。ところが、当日ぎっくり腰になってしまい、ピニョンが自宅にやってきてしまう…
これぞフレンチコメディの王道。あー、おもしろかった。で気持ちよく終われます。まずもって、エリートたちがバカな奴を呼んで、そいつを種にメシを食うってのが、すごい悪趣味でしょ。こんな設定を考え付くなんて、さすがフランス人(笑)。もちろん、招待されたバカな奴はなぜ自分が呼ばれたのか知らない。そして、いよいよ真打ち「ピニョン」の登場。ピニョンって、名前がもうバカっぽい。ピニョンを演ずるのはフランスの有名な喜劇役者ジャック・ヴィユレ。この人のために脚本を書いたらしく、当たり前ですがはまり役です。
最初の展開からして、「バカを笑う奴が、いつのまにか立場が逆転して…」というストーリーは誰でも思いつくでしょう。そういうこちらの予想を見事に叶えつつも、しっかり笑わせてくれます。ドカンドカンと大笑いではなく、クスクス笑い。映画の前半、観ている私たちは、ピエールの視点でピニョンを見ています。つまり我々もピニョンのことを「なんてバカなヤツだ」と思って観ているわけです。ところがどっこい、後半になると我々の視点はピエールからピニョンへと変わっていきます。「ピエールってなんていけすかない奴なんだろう」、と腹立たしくさえなってくる。この視点の移動が非常にスムーズ。
それも、ピニョンを演ずるジャック・ヴィユレが非常に巧いからなんですね。おバカなピニョンがふと発言する人生の真実、そして彼のもつ純粋な人間性を観ているうちに、「バカと笑う奴こそ、本当のバカなんだ」と気づいてくる。人間に優劣をつけることの愚かさや、他人を笑いものにする人間の傲慢さに気づく。(ま、それでもピニョンは徹底的におバカに描かれているのですが)。
でもね、決して説教くさくないんですよ。あくまでもコメディだから。こういう風味の映画すごい好きですね~。80分ですからさらっと見られるんだけど、見終わった後きちんと余韻が残る。中島らも氏はよく言ってましたよ。小説書くのは長編より、短編の方が難しいって。しかも「笑い」が一番難しいって。だから短い時間で、笑わせて、考えさせてくれる映画ってのは、とてもレベルが高いのかも知れないですね。
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監督/フランシス・ヴェベール 主演/ジャック・ヴィユレ
「フランス映画嫌いの方にも大プッシュ」
出版社の社長ピエールは仲間のエリートたちと共に、毎週水曜日に“バカな奴”を呼んで行う晩餐会を楽しんでいた。誰もが認めるおバカさんを連れてきた者が勝者となるため、今週はどんなバカを呼ぼうかと物色していたところ、マッチ棒で建築物のミニチュアを作っている「ピニョン」という人物を見つけた。「こいつは今まで招いた中でもとびきりのアホウだ」と自信満々のピエール。ところが、当日ぎっくり腰になってしまい、ピニョンが自宅にやってきてしまう…
これぞフレンチコメディの王道。あー、おもしろかった。で気持ちよく終われます。まずもって、エリートたちがバカな奴を呼んで、そいつを種にメシを食うってのが、すごい悪趣味でしょ。こんな設定を考え付くなんて、さすがフランス人(笑)。もちろん、招待されたバカな奴はなぜ自分が呼ばれたのか知らない。そして、いよいよ真打ち「ピニョン」の登場。ピニョンって、名前がもうバカっぽい。ピニョンを演ずるのはフランスの有名な喜劇役者ジャック・ヴィユレ。この人のために脚本を書いたらしく、当たり前ですがはまり役です。
最初の展開からして、「バカを笑う奴が、いつのまにか立場が逆転して…」というストーリーは誰でも思いつくでしょう。そういうこちらの予想を見事に叶えつつも、しっかり笑わせてくれます。ドカンドカンと大笑いではなく、クスクス笑い。映画の前半、観ている私たちは、ピエールの視点でピニョンを見ています。つまり我々もピニョンのことを「なんてバカなヤツだ」と思って観ているわけです。ところがどっこい、後半になると我々の視点はピエールからピニョンへと変わっていきます。「ピエールってなんていけすかない奴なんだろう」、と腹立たしくさえなってくる。この視点の移動が非常にスムーズ。
それも、ピニョンを演ずるジャック・ヴィユレが非常に巧いからなんですね。おバカなピニョンがふと発言する人生の真実、そして彼のもつ純粋な人間性を観ているうちに、「バカと笑う奴こそ、本当のバカなんだ」と気づいてくる。人間に優劣をつけることの愚かさや、他人を笑いものにする人間の傲慢さに気づく。(ま、それでもピニョンは徹底的におバカに描かれているのですが)。
でもね、決して説教くさくないんですよ。あくまでもコメディだから。こういう風味の映画すごい好きですね~。80分ですからさらっと見られるんだけど、見終わった後きちんと余韻が残る。中島らも氏はよく言ってましたよ。小説書くのは長編より、短編の方が難しいって。しかも「笑い」が一番難しいって。だから短い時間で、笑わせて、考えさせてくれる映画ってのは、とてもレベルが高いのかも知れないですね。
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