Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

メゾン・ド・ヒミコ

2006-06-01 | 日本映画(ま行)
★★★★★ 2005年/日本 監督/犬童一心

「オダギリ・ジョーの腰のラインに目が釘付け」


映画を観ていて「はっとする瞬間」って、意外と少ないものだ。私はこの映画を観て、2回時が止まった。一度目は、ヒミコの登場シーン。美しいガウンを羽織りターバンを巻いた田中泯が部屋に入ってくる。その圧倒的な存在感。ありきたりな言い回しだけど、それしか思い浮かばない。人が立っているのだけど、人じゃない。神というと言い過ぎなんだけど、とにかく人間離れしたオーラが漂っている。このヒミコの登場シーンで、この映画は当たりだ!と決まった。

二度目はオダギリ・ジョーの半裸の姿。その腰のくびれはただならぬ美しさ。それまでのフリルのブラウスをパンツにイン!したファッションもハンパなく素敵だったが、とうとう上半身を脱いで彼の腰のくびれを手前に部屋を映すカットになった瞬間、とりあえず私の思考は停止してしまった。それにしてもオダギリ・ジョーは、どんな役でもさらりとこなす。役になりきるというよりも、その役の方が彼にフィットしていくようにすら見える。これは天性のものなんだろう。最近のオダギリ・ジョーを見ていると、浅野忠信が出てきた時に、スゴイのが出てきたなあ、と思ったのを思い出す。

さて。おそらくこの物語の主人公のもう一人は柴崎コウであり、彼女のもがきながら生きる姿、そして好きになってはいけない相手を好きになってしまう展開がこの映画の主軸なんだろうけど、ごめんね。柴崎コウに私はちーっとも入り込めなかった。どう見てもブスには見えなかったし、何しろ沙織という女の屈折さを表現する柴崎コウの演技が私には物足りなかった。犬童一心&渡辺あやコンビと言うことでどうしても「ジョゼと虎と魚たち」と比べてしまうんだが、これは完璧に池脇千鶴に軍配!って感じで。ラストの展開も、「えらいうまくまとまってしまったじゃないの」と拍子抜け。

でもやっぱりいい映画ですよ。メゾン・ド・ヒミコのゲイの人たちは、とても生き生きしてるし、美術もとても凝ってて素敵。音楽は御大「細野晴臣」。それにね、脇役なんだけど、西島秀俊がね、彼がめちゃめちゃいい!田中泯にしろ、オダギリ・ジョーにしろ、西島秀俊にしろ、「雰囲気のある男」ってのはどうしてもこうも性的魅力にあふれてるかねぇ。西島秀俊にオダギリ・ジョーが誘いをかけるシーンも、わたしゃ女だがゾクゾクしちゃった。原作ありきの映画があふれる中、オリジナルの脚本でしっかりと良い映画を撮ってる犬童一心監督。次回も期待してます。