文句なし★★★★★ 1968年/アメリカ-イギリス/148分
監督/スタンリー・キューブリック 主演/ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド
「モノリスが何だって、いい」
私が一番最初にこの映画を観たのは高校生の時です。その時の感想は「何が何だかさっぱりわからない」というものでした。しかし、あれから何度見たことでしょう。さっぱりわからないものを、人間何度も見ようとするものでしょうか?私にとっては、謎だからこそ何度も見たくなる、ドラッグのような映画です。
私はこの映画のストーリーについて「自分なりの」結論を持っています。でも、それが正しいかどうかはわかりません。もしかして、再び見たら違う結論が出てくるかもしれない。この映画をキューブリックと共に制作したアーサー・C・クラーク博士が書いた原作では、映画の中の謎に対してより具体的な答が提示されているようです。でも、私はなぜか原作を読む気には、なれない。そこで何かしら一つの結論に達してしまえば、もうドラッグの効果が薄れてしまいそうで嫌なんです(笑)。
とはいっても、です。
この映画の最大の議論点は「登場する3枚の謎の黒石板(=モノリス)はいったい何物か」ということでしょう。これが、「神の形」をしていたり、「美しい光」や「宇宙人」だったらば、イメージしやすいものを、ただのでかい石なもんだから、その唐突さにわけがわからなくなる。しかし、映画でモノリスの存在が明らかになっていない以上、モノリスについて観客は推測するしかありません。科学者が推測するモノリスと宗教家が推測するモノリスは違うだろうし、高校生が推測するモノリスと老人が推測するモノリスは違う。その違いを生むことこそが、この映画の一番の面白さではないでしょうか。わからないなりにも、「自分なりの結論」を出せばいいし、そこを楽しむのだ、と。まさに「ただのでかい石」であることがそれを物語っているんではないでしょうか。
映像美に優れた映画というものは、えてして「感じる」映画などと称されたりします。でも、私はこの映画は「感じる」映画ではなく「考える」映画だと捉えています。セリフも非常に少なく、説明的な描写も極力廃している。そういう極めてシンプルな構造だからこそ、「考え、推測する」ことこそが、唯一の楽しみになるのです。
宇宙の大星雲を頭に思い浮かべつつ、一体モノリスはどこからやってきて、何をしようとしているのか想像していると、脳内にドーパミンが放出されていくような感じさえします。考えることが快感になる。私の場合、そんな映画は後にも先にも、この映画しかありません。ヒトザルが放り投げた骨が宇宙船に取って代わるあのシーンは、多くの方が語っているように映画史上に輝く名シーン。ただ骨が宇宙船になった、それだけのことでここまでイマジネーションをかき立てられるんですから。次にもう一度見たら、きっとまた違うレビューが書けるでしょう。何度見ても、いろんな見方ができる、すごい映画です。
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監督/スタンリー・キューブリック 主演/ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド
「モノリスが何だって、いい」
私が一番最初にこの映画を観たのは高校生の時です。その時の感想は「何が何だかさっぱりわからない」というものでした。しかし、あれから何度見たことでしょう。さっぱりわからないものを、人間何度も見ようとするものでしょうか?私にとっては、謎だからこそ何度も見たくなる、ドラッグのような映画です。
私はこの映画のストーリーについて「自分なりの」結論を持っています。でも、それが正しいかどうかはわかりません。もしかして、再び見たら違う結論が出てくるかもしれない。この映画をキューブリックと共に制作したアーサー・C・クラーク博士が書いた原作では、映画の中の謎に対してより具体的な答が提示されているようです。でも、私はなぜか原作を読む気には、なれない。そこで何かしら一つの結論に達してしまえば、もうドラッグの効果が薄れてしまいそうで嫌なんです(笑)。
とはいっても、です。
この映画の最大の議論点は「登場する3枚の謎の黒石板(=モノリス)はいったい何物か」ということでしょう。これが、「神の形」をしていたり、「美しい光」や「宇宙人」だったらば、イメージしやすいものを、ただのでかい石なもんだから、その唐突さにわけがわからなくなる。しかし、映画でモノリスの存在が明らかになっていない以上、モノリスについて観客は推測するしかありません。科学者が推測するモノリスと宗教家が推測するモノリスは違うだろうし、高校生が推測するモノリスと老人が推測するモノリスは違う。その違いを生むことこそが、この映画の一番の面白さではないでしょうか。わからないなりにも、「自分なりの結論」を出せばいいし、そこを楽しむのだ、と。まさに「ただのでかい石」であることがそれを物語っているんではないでしょうか。
映像美に優れた映画というものは、えてして「感じる」映画などと称されたりします。でも、私はこの映画は「感じる」映画ではなく「考える」映画だと捉えています。セリフも非常に少なく、説明的な描写も極力廃している。そういう極めてシンプルな構造だからこそ、「考え、推測する」ことこそが、唯一の楽しみになるのです。
宇宙の大星雲を頭に思い浮かべつつ、一体モノリスはどこからやってきて、何をしようとしているのか想像していると、脳内にドーパミンが放出されていくような感じさえします。考えることが快感になる。私の場合、そんな映画は後にも先にも、この映画しかありません。ヒトザルが放り投げた骨が宇宙船に取って代わるあのシーンは、多くの方が語っているように映画史上に輝く名シーン。ただ骨が宇宙船になった、それだけのことでここまでイマジネーションをかき立てられるんですから。次にもう一度見たら、きっとまた違うレビューが書けるでしょう。何度見ても、いろんな見方ができる、すごい映画です。
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