Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

アメリカン・ギャングスター

2008-11-24 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2007年/アメリカ 監督/リドリー・スコット
「男臭そうに見えて、サラッと終わっちまったよ」

犯罪者と警官対決と言うジャンルはとてもたくさんあって、かつ男と男のガチンコ勝負となると、何せリドリー・スコットだし、期待ばかりが膨らんでしまうわけですが、「ほう、アメリカのドラッグ社会ってのは、そういう成り立ちですかい」ってことだけで、イマイチさらりと終わってしまうのでした。

ラッセル・クロウ演じる刑事のリッチーは、正義感が強いばかりに署内でははみ出し者、しかも嫁さんにも見放されてやさぐれてます。が。こんなキャラいくらでもあるだろうって感じなのよね。ところが、部下との確執や離婚調停中の妻とのやり取りの中でこのありきたりなキャラクターが徐々に魅力を増していく。逆に物足りないのは、デンゼル・ワシントン演じるギャングのフランク。なるほどクールでクレバーな成り上がりぶりはデンゼルの存在感を感じるけれども、割とカッコイイばかりでその胸中、心情の描き方が浅く感じられるのです。

フランクの麻薬取引のスタイルはとっても律儀で、彼は筋を通す男。でも、根本的にてめえのまいたクスリで同胞がバタバタと死んでるわけだから、「俺はまじめにやってるんだ」というポリシーなんて、ちゃんちゃらおかしいワケ。でも、それにフランクが悩んだり、誰かに暴かれたりすることもなく物語は進む。結局、黒人に蔓延するドラッグという軸のこちら側と向こう側を描いている、そんな印象でした。

また、テンポはいいし、映像はスタイリッシュだし、例えば大勢の裸のねえちゃんが部屋でせっせとコカインをつめてるシーンなんかがカッコ良くて、ほんとはそういうどうでもいいシーンを凌ぐ2人の対決シーンがあれば良かったんですけどね。決してつまらないってことはないです。ぐいぐい引き込む魅力はあります。でも、やっぱり男と男の対決は、見終わって「しびれたぁ~」ってくらいの鷲づかみな感触が欲しいです。