Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

エリザベス ゴールデン・エイジ

2008-11-27 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2007年/イギリス、フランス 監督/シェカール・カブール 
「絵になる女」


主演のケイト・ブランシェット。登場したその瞬間から女王の佇まい。射抜くような鋭い目をして、誰も寄せ付けぬオーラを身にまとっている。やはり、歴史上の人物を描くのですから、主人公にはこれくらい存在感がないと。徹頭徹尾ケイト・ブランシェットの映画。それでいいんです。前作「エリザベス」より好きですね。「スペインとの一騎打ち」と「好きな男を女官にかっさらわれる苦悩」。前作よりも物語の進行がシンプルゆえに力強いです。また、よりじっくりと女王の心理描写に迫っています。

宮殿内、苦悩するエリザベスをとらえるロングショットが効果的です。また、王座に座る場面はどしんと正面から捉えたり、大勢の家臣をたずさえ廊下を歩く際にはクレーンで追いかけたり、様々なカメラワークも楽しい。360度回るシーンもアリですね。「これでもか、これでもか」って言う過剰ぶりを私は楽しみました。次々とお披露目されるエリザベスのドレスとヘアスタイルにも釘付け。あのカツラは現代の感性で見れば、奇妙な造形なんですが、あれをかぶっていても威厳があるケイトがすごい。

海賊ローリーとのラブストーリーという側面から見れば、甘い部分も多々あるんですけれども、当時の女王がいかに絶大なる権力を持っていたか。そして、その権力の行使にいかに魂を削られていたのかという面においては、すごく感情移入してしまった。全ての人々の生き死にが自分の決断ひとつにかかっている。決断の美学ってんですかね。やはり、自分が全責任をかぶって、何事かを決めるって、女性としてはすごくしんどい。虚勢を張って、デキる女に見せて、男どもに突っかかるように生きてる姿は、まるで「働きマン」みたいなんだもん。せっかく、そんな自分を包み込んでくれる器のでかそうな男が現れたと思ったら、あれでしょ。ラストに至っては、その孤独を背中で語ってましたね。ケイト、あっぱれ。