Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ハッピー・フライト

2010-03-07 | 日本映画(は行)
★★★ 2008年/日本 監督/矢口史靖

「当確線上の映画作り」

矢口監督って、いい意味でも悪い意味でも「ウォーターボーイズ」の成功でいろんなものをしょわされているような気がしてならない。軽いテンポで楽しい作品が作れるという周りの期待だとか、群像劇風に面白いものが作れて当然という認識だとか。でも、本作を見ての正直な感想は(大成功だったと言われている)「スウィングガールズ」とほぼ同じ。個々の人物の掘り下げが甘くて、波乱が起きるわりにはエンディングにかけてのカタルシスが乏しい。

映画館を出て「つまらない」という感想になる類の作品ではないと思う。エンタメとして、何とか及第点がつく(例えば、ぴあの出口調査とかさ)ラインを維持するための映画作り。そんな風に思えてしまうのは私だけだろうか。その印象を持ってしまうのは、脚本の練りが今ひとつ、ふたつということ。

飛行機が落ちるかも知れないという事柄のハラハラ感はさておき、パイロット、キャビンアテンダント、グランドホステス、管制塔員など、飛行機を取りまく人物達の悲喜こもごもは、その役職の中で完結している。彼らが交錯することで意外な展開が生まれるわけではない。飛行場にはいろんな人が勤めていて、それぞれが任務を果たすことで飛行機は無事に飛んでいるんですよ、はいおしまい。その無難な展開が何とも物足りないのだった。