Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ジャーマン+雨

2010-03-23 | 日本映画(さ行)
★★★★★ 2006年/日本 監督/横浜聡子

「松本人志は見ただろうか」


ゴリラーマンと名付けられた少女、よし子。ヘンな日本語をしゃべるドイツ人。よし子にまとわりつく小学生。まるでコントのごとき人物構成。周りとうまくいかずに傍若無人な言動を繰り返すよし子がおかしくて溜まらず、ふふふと笑っては、時折爆笑。こりゃあ、私のツボにドンピシャ。初期の山下敦弘作品の雰囲気に通じるものがある。

ところが、後半部。この調子でいくのかと思いきや、だんだんとよし子の孤独と不遇をとことんブラックに描ききり、俄然シュールな展開に。地獄の憂き目を笑っていいのか、と罪悪感さえ感じつつ、独特の世界に引き込まれる。そして「ジャーマン+雨」。なんつー不可解なタイトル?の意味もそうきたか、のオチ。こりゃあ、完全にやられました。

ゴリラーマンというネーミング。つまはじきの悲哀。異形人と子供の交流。そして、オフビート。これはもう、松本人志の名作「トカゲのおっさん」を思い出して仕方がないのですよ。彼が映画制作において目指す世界観って、これじゃあないのか、なんて余計なお世話なんだが。まあ、そんなことはさておき、久しぶりに個性の炸裂する邦画を観たなあという満足感でいっぱい。若い女性監督ってことの衝撃も含めて五つ星。こりゃ、「ウルトラミラクルラブストーリー」も見ないと。