Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

今度は愛妻家

2010-03-18 | 日本映画(か行)
★★★★ 2009年/日本 監督/行定勲
<高槻ロコシネマにて観賞>

「主演ふたりの演技を堪能する作品」

すいぶん前に見たのに感想を書くのをすっかり忘れていました。

驚きの展開が待っていると聞いていたにも関わらず、すっかり騙されました。気持ちよいくらいに。騙された!という感触の後、悲しい余韻を残したまま終わってくれたら、間違いなくこの作品の評価は上がったんですが、とにかく最後の30分が長すぎる。助手のカメラマンの恋愛話やら、オカマちゃんとのダラダラしたパーティやら。そんなの、いらなかったよなあ。

原案は舞台劇らしく、キャストも少人数。ぶっきらぼうで口も女癖も悪いカメラマンを演じる豊川悦司と、どこか間が抜けているんだけどとってもキュートな薬師丸ひろ子。この2人の演技力がとにかく光ります。私はトヨエツ目当てで行ったのですが、薬師丸ひろ子のかわいらしさに目を奪われて仕方ありませんでした。あの年であのキュートさは、ありえない!豊川悦司もぶっきらぼうな男と言う設定で、適当に流しているようなに見えて、とても丁寧に役作りしているのがよくわかりました。妻に対する態度やしゃべり方などが実に自然で、だらしないけど憎めない複雑なキャラクターを見事に自分のものにしていたと思います。何より前半部の夫婦の姿にリアリティがあればあるほど、あのどんでん返しに観客は驚かされるわけで。「これ、地でやってるんじゃないの?」と思わせるような演技だからこそ、それぞれの役者力をひしひしと感じます

一方、女優志望のモデルを演じる水川あさみとカメラマンの助手を演じる濱田岳。どうも、このふたりは違和感がありました。正直、ミスキャストではないかと。オカマちゃんを演じる石橋連司を加えて、ほぼ5名で本作は構成されているのですが、夫婦ふたりのハーモニーが完璧なのに対して、残りの3人が加入してくるアンサンブルになると、どうも不協和音が生じるのです。まあ、それだけ豊川&薬師丸夫妻が映り込んだシークエンスが完璧過ぎたってことかも知れませんね。全く違う設定で構わないので、このふたり別の作品でもぜひ共演して欲しいです。