Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ルドandクルシ

2010-03-27 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2008年/メキシコ 監督/カルロス・キュアロン
<梅田シネ・リーブルにて観賞>

「右に蹴るか、左に蹴るか。運次第の人生でもなるようになるさ」

メキシコの片田舎のバナナ園で働くベト(ディエゴ・ルナ)とタト(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、草サッカーに明け暮れていた。そんなある日、スカウトのバトゥータ(ギレルモ・フランチェラ)が彼らにPK対決をさせ、勝ったタトをメキシコシティに連れていくが…。

ガエルもディエゴも好きな私は、ふたりがかわいかったらいいやくらいの気持ちで見に行ったのですが、すごく面白かったです。サッカー選手を発掘してはチームと契約を行うスカウトのバトゥータが作品の語り部。ダイヤモンドの原石を見つけると言うと聞こえはいいけど、結局チームや監督に賄賂を渡しては選手を出場させ、時には八百長まがいのプレイでスターにのしあげる。こうしたメキシコのサッカー業界の裏事情にしても、ふたりが暮らすバナナ農園の仕事ぶりにしても、メキシコと言う国が抱える貧困や社会問題がちらほらと顔をのぞかせる。

人生の機微をサッカーのプレイになぞらえるナレーションや、PK戦でメキシコシティーに行く方を決めるという逸話がラストの絶妙な仕掛けにつながっているなど、脚本もすごく良かった。

何より期待通りガエルもディエゴも母国メキシコでのびのびと演技していて、ふたりがとてもキュートなんですよねえ。ようやく歌手デビューしたクルシのプロモーションビデオ。テンガロンハットをかぶってド派手なジャケットで、陽気に歌うガエルくんは見物です。

思わず声を出して笑ってしまうシーンもあれば、ペーソスたっぷりじんわりくるシーンもあり。一見陽気なコメディ映画を装いながらも、懐の深い映画に仕上がっている。これは掘り出し物でした。