Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

フリークス

2013-02-07 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 1932年/アメリカ 監督/トッド・ブラウニング


「美しい者と醜い者」


ずいぶん昔に映画館で見た記憶があるのですが、DVDで見られるようになりました。
奇形・異形のサーカス団の彼らをほとんど好奇心で見たいと思ってしまう自分自身に嫌悪感を抱いてしまう。
そういう装置としての映画。その存在には大いなる意味があると思います。

奇形の彼らを見てみたいという好奇心は、
サーカスの花形クレオパトラが小人を見下し、騙し、殺して金を奪ってやろうという感情にいつ転じるとも限らない。
私たちはすべてクレオが持つ醜さの芽を心のうちに持っている。
そして、クレオの態度が何より一変するのは、結婚式の宴で「これで君も僕たちの仲間だ」と言われるシーン。

見下し、騙すということ以上に彼らと同じだと言われて激高する。
健常な人々が持つフリークスたちへの差別心を見事に描き出します。

一方、本作に登場する奇形の俳優達の演技力にも感嘆してしまう。
特に、小人の婚約者を演じる女性。
「彼は騙されているの」と嘆き、悲しむ金髪の彼女からは品性が漂い、また美しく、
まるでグレタ・ガルボを彷彿とさせるのです。

見世物としての出演ではなく、見下される者を演じる純粋な役者として彼らの存在がある。
それが非常に感動的な映画でもあります。