Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

007 スカイフォール

2013-02-10 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2012年/イギリス・アメリカ 監督/サム・メンデス
(映画館にて鑑賞)


「お仕事です!」


Mとシルヴァ、Mとボンドの関係性。
両者の関係性が非常に対照的に描かれていることが本作のもっとも大きなモチーフであろうと思われるのだが、
シルヴァがMに対して母性を求めたのに対して、
ボンドとMの関係は「父」と「息子」のようであるとのレビューも読んだ。
なるほど、母の愛に飢えたシルヴァと崖から子を突き落とすライオンのごとき父性を求めるボンド。
Mというひとりの人物の中に「母」と「父」の側面を与えた物語とも言えなくもない。
が、しかし。この展開は何だか深読みすぎな気がするというか、
女性上司が出てくるとどうしてもそこに「母性」という考えを割り込ませてしまうやり方には、
何だかもやもやが残ってしまうのだ。
むしろ、私は、Mを上司、スパイを部下とする仕事論として捉えた方が、個人的にはすっきりする。
ダブルオーの仕事も命もすべて自分の責任として収める「M」という上司をとことん信頼し、
そのオーダーに応えようとするボンド。
逆恨みに転じたシルヴァは上司の命の中に「温情」や自分に対する「えこひいき」のような感情を持ってたのではないか。
Mにしても、ボンドにしても「だって、お仕事ですから!」という割り切りの元で成り立っている信頼関係というのかなあ。
そういうのが非常に清々しく感じましたね。
仕事に命を賭けるって、ちょっと危ない精神構造かも知れんのだけど。私は結構感情移入しちゃいます。

あと、この映画は車好きのためのSM映画でもありますね。
のっけからレンジローバーのドアミラーをわざとつぶし、
新車のワーゲンをユンボでつぶし、
アストンマーチンめった撃ちでフィニッシュ。
車が傷つく度に悶絶しました。