Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ルルドの泉で

2013-02-11 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2008年/フランス 監督/ジェシカ・ハウスナー


「ねたみ、そねみのチラリズム」



(ネタバレ)
あんまりいい評を聞かなかったんだけど、いやあ、これ好きだわあ。私の好み。
監督のジェシカ・ハウスナーはミヒャエル・ハネケに師事していると後でわかり、
思わずなるほど!と膝を打ってしまった。

奇跡を起こすと言われるルルドの泉ツアーに参加するのは、誰しも大きな不幸を背負った人たちばかり。
そんなメンバーの中であまり信心深いとも思えないクリスティーヌに奇跡が起きる。

なぜ、彼女なの!?私の方がもっと信心深いのに。
なぜ、彼女なの!?私の方がもっと辛い人生を送っているのに。

共に参加している人々のねたみ根性がチラッ、チラッと浮かび上がってくる。
最初は奇跡を起こすルルドツアーに参加する人たちの信仰心を描こうとしているのかなと思わせておいて、
この映画が言いたいことはそっちなのか?というこの意外性。
演出的にはそうした周囲の人々の反応をことさら際立たせては描いていない。
こういう人間の醜い感情が私たちの心に刺さってくるのは、前半部から続く非常に美しい映像の積み重ねがあるからだ。
映画の冒頭、整然と並ぶ大食堂の食卓の上に少しずつ食事がサーブされ、
真っ赤な服装の看護婦たちがテーブルに付く映像なんかとてもキレイ。
その後も鮮やかなブルーが差し色になっているインテリアなどのホテルの描写など、
コントラストの効いた美しい映像が続く。
だからこそ、人間の心の醜さがどす黒く浮かび上がる。

そのやり方はあざといと言われるものかも知れないんだけど、私はこういうの好き。
この映画が好き、って言っちゃうと、性格悪いって言ってるような気がしなくもないんだけど。。。