Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ステップフォード・ワイフ

2020-05-04 | 外国映画(さ行)
キャリアウーマンのジョアンナが移り住んだステップフォードの妻たちは美しく着飾り、家事は完璧、夫には従順。はびこる女性のモノ化と人権無視。何かがおかしい…その裏には驚愕の事実が。ミソジニー・ブラックコメディの怪作。1975年版も見たくなった。

貞淑な妻たちを取り仕切る主婦クレアをミソジニー映画の代表とも言われる「危険な関係」のグレンクローズが演じているのは偶然ではあるまい。彼女が従順な専業主婦を演じることで本作は二重三重の含みを持っている。そんな彼女が実は…のオチも含めて。見事なキャスティング。

男と女がバトルするTV番組や専業主婦のいかにもな生活ぶりなど、ジェンダー批評としては陳腐な表現の連続だが、これらが2020年の今も大して変わっていないことが実に悲しい。こういう表現が皮肉として笑えた時代もあったよね、という感想にならねばならないはずなんだ。

タリーと私の秘密の時間

2020-05-04 | 外国映画(た行)
★★★★☆ 2018年/アメリカ 監督/ジェイソン・ライトマン

まさにジェーンスー氏の名言「自分で選んだ道を正解にするしかない」である。子育てで疲弊し空っぽになった自分に一筋の希望を見出すある女性の物語。物哀しくもじわんと心に残る秀作。出産直後の主婦を演じるため激太りしたシャーリーズセロンの女優魂も凄い。

原題は「Tully(タリー)」。超シンプルなこのタイトルが実はとても深い意味を持っている(それに気づいた時の驚きと喜びといったら!)ゆえに、なぜ秘密の時間とか甘ったるい邦題にしたのか。マーロの苛立ちが子育てだけではないことが少しずつ明かされる脚本も秀逸。ヤングアダルトトリオ最高。やっぱ、ジェイソンライトマン好きだな。