キャリアウーマンのジョアンナが移り住んだステップフォードの妻たちは美しく着飾り、家事は完璧、夫には従順。はびこる女性のモノ化と人権無視。何かがおかしい…その裏には驚愕の事実が。ミソジニー・ブラックコメディの怪作。1975年版も見たくなった。
貞淑な妻たちを取り仕切る主婦クレアをミソジニー映画の代表とも言われる「危険な関係」のグレンクローズが演じているのは偶然ではあるまい。彼女が従順な専業主婦を演じることで本作は二重三重の含みを持っている。そんな彼女が実は…のオチも含めて。見事なキャスティング。
男と女がバトルするTV番組や専業主婦のいかにもな生活ぶりなど、ジェンダー批評としては陳腐な表現の連続だが、これらが2020年の今も大して変わっていないことが実に悲しい。こういう表現が皮肉として笑えた時代もあったよね、という感想にならねばならないはずなんだ。