★★★ 2000年/カナダ 監督/ドゥニ・ヴィルヌーブ
切断されたグロテスクな魚がパクパクと口を開けおしゃべり、そして唐突に中絶手術のシーンへ。実に奇怪な作品である。ヴィルヌーブって、合理的な美しさの映像監督だというイメージがあるので、びっくり。いかにも初期の野心作。厭な感じが全編漂う。
ざらつきのある青みがかったフィルム、全編に漂う息苦しさは、初期のハネケ作品を思わせるし、主人公が嫌な女で中絶というタブーを映像でぶちかましてくる感じは初期オゾンっぽくもある。殺すものは殺されるという魚のメッセージに反して、物語は矛盾をはらみ、観る者は消化不良を起こす。がやけに引きずる作品である。