Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

パラダイス・ナウ

2020-05-27 | 外国映画(は行)
★★★★ 2005年/フランス・ドイツ・オランダ・パレスチナ 監督/ハニ・アブ・アサド

自爆テロに向かうまでの48時間を濃密に描いた力作。道中、2人の青年がはぐれてしまう設定がうまい。体に爆弾を巻きつけたまま、瓦礫の街を彷徨う様子にこちらの心拍数もどんどん上がる。果たして彼はどうなるのか。息を呑んでラストを迎えた。

死を眼の前にした若者の戸惑いや心の揺れにフォーカスしているのでパレスチナ問題に詳しくなくても深く感情移入できる。自爆犯に選ばれて光栄だと言うサイード。目に見えず、体感できずとも、彼の頭の中には彼が思い描くパラダイスがある。周囲の愛情も友情も彼には何の効果ももたらさないのが悲しい。

ジョジョ・ラビット

2020-05-27 | 外国映画(さ行)
★★★ 2019年/アメリカ 監督/タイカ・ワイティティ

ヌルい。敢えてポップな演出にしているという意図はわかった上でヌルい。序盤はポップな突き抜け感がブラックジョークとして成立していたが少年の恋心が芽生えるあたりからどんどん減速。あまりに悲惨なホロコーストの事実と目の前のおとぎ話が自分の中で全く融合しなかった。

中盤に起きる最大の悲劇もジョジョの成長を見せるパーツのように感じられる。イマジナリーフレンドとの決別も凡庸。冒頭ビートルズを例にアイドルとして信奉されたヒトラーを出しておいてその偶像を彼がどう打ち破るのか見せないと回収したことにならないのでは。この設定必要だった?とすら思えた。