★★★★ 2005年/フランス・ドイツ・オランダ・パレスチナ 監督/ハニ・アブ・アサド
自爆テロに向かうまでの48時間を濃密に描いた力作。道中、2人の青年がはぐれてしまう設定がうまい。体に爆弾を巻きつけたまま、瓦礫の街を彷徨う様子にこちらの心拍数もどんどん上がる。果たして彼はどうなるのか。息を呑んでラストを迎えた。
死を眼の前にした若者の戸惑いや心の揺れにフォーカスしているのでパレスチナ問題に詳しくなくても深く感情移入できる。自爆犯に選ばれて光栄だと言うサイード。目に見えず、体感できずとも、彼の頭の中には彼が思い描くパラダイスがある。周囲の愛情も友情も彼には何の効果ももたらさないのが悲しい。