うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

ある依頼--カタクリ栽培の件。

2010年09月23日 05時09分45秒 | ボランティア活動など・・・
先日、地元の市教育委員会からカタクリについてメールで相談事があり、色々資料などを調べて、直接打ち合わせさせていただいた。
 そこで早速、近所にあるカタクリ群生地の現地を確認する。写真のアングルでは深紅の彼岸花がまっ盛り、案内板まわりである。当然のことながら、今の季節にはカタクリの姿は全く見えない。
     ≪撮影: 9月22日午後 2時30分≫
     
     
 ほかの作業として、ほぼ半日の時間をを費やし、Webサイトや書庫の図鑑にあたりまとめた内容を以下のように伝えた。
 あらためて感じたことは、カタクリの増殖は難しくて、その育成や栽培のポイントが不明なことが多いことだ。カタクリは種子繁殖がベストで、結実し熟した時におこなう採り播き方法がいいとされる。発芽促進処理、保管方法や冷蔵保存は難しい、鱗片挿しや分球や株分けは不可能である。その後の育て方も日照をはじめとして生育環境に神経を使う野生植物だ。
 その場合、上手く育てても7、8年の年月をたたないと開花しないスローモーな多年生草花である。

 そしてわたしが不思議に思うことは、ことカタクリについて、現代の最先端の栽培技術であるバイオや、遺伝子レベルの研究がなさそうに見受けることだ。わたしが寡聞にして知らないのかもしれぬ。園芸や生物の学会では学問的な興味がわかないだろうが、県の農業試験場レベルではどうか。いや、どうも、カタクリという貴重な植物について、林業や野菜、園芸の分野ではこの当たり前のことが試されていないようなのである。

⇒ 
うざね博士様
 さて、今年度、教育委員会では、市指定天然記念物「カタクリ」の増殖を図
るため、人工栽培を試験的に行っております。
 6月上旬に播種してから現在まで、庁舎軒下の日陰にて水やりを続けてまい
りましたが、9月に入り、肥培した方が良いのではと考えております。
 しかし、インターネット等で肥培の時期、肥料、肥料の量を調べてみたので
すが、ホームページによって違いがあり、どれが良いのか判断がつきません。
アドバイスをいただ きたく存じます。
 **播種~現在まで**
 6月1日
 深鉢に培養土に対し2割の腐葉土を混合させ種子を播き、深さ1㎝程度に覆土
 播種後~現在
 庁舎軒下(日陰)にて水やり

⇒⇒
 教育委員会 担当者様
 ご無沙汰しております。カタクリの件。
 肥倍については播種したばかりですから、今年は地中の種子自体の発根もないので必要ないかと思われます。来春の地上部の発芽(一般的には・・・発根もほぼ同時になります)を待って、本格的に施肥などをつづけておこなうべきです。
 現時点では播種基盤を乾燥させないようにたまに水やりや、簡易的なマルチング(落ち葉敷きなど)が必要でしょう。(種子自体の枯死状態のチェックも試したらどうか)

 カタクリはやはり、繁殖が難しい種類ですので、むしろ、現状の群生地の管理を見直されたらいかがでしょうか。カタクリは深根性で土壌は水はけと保水性が適切な生育条件であればいいようです。
 今までも、ここは付近の住民による下刈りがおこなわれてきたようですが、落葉高木はそのままに林床の状態は、主に灌木(低木)の伐採・抜根をおこない草本主体にすると自然にカタクリは増殖していくものと思われます。その理由は、発根や根系深度をダブらせずそれぞれの根同士を争わさせないためです。
 その場合、併せて現地での新たな種まき、余分な常緑樹の除去や除草や施肥などともに、カタクリ群生地のメンテナスの年間スケジュールをつくり、カタクリの一年の変化などのインフォメーションを一般に公開していくと良いと思われます。

 手元に図鑑がありますので、明日の午後でもお持ちします。
 なお、カタクリにかかわる話題と栽培技術について、参考になる厳選サイトは以下のものでしょうか。

・長谷むらづくり検討委員会(長谷かたくりプロジェクト)
・かたくり群生の里・秋田県仙北市
・NHK趣味の園芸
・フラボンの山野草と高山植物の世界
・薬用植物一覧表
                                  以上

 これから今後も、カタクリ群生地の下刈りや試験栽培について、無償のボランティアとしてかかわっていくことになるだろう。わたしにとって、地元だから当然なことだ。
 関心のある方は、わたしなり、当市の関係部署にご連絡ください。

 プランニング、植物のご質問、ご相談に際しての連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお問い合わせください。
                  
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