ここ2~3日、完全に疲れ気味です。うむむむっ、栄養ドリンクは好きではないが、頼る他ないのか……。
いや、これを聴いて血をたぎらせる方が得策だと――
■Beggars Banquet / The Rolling Stones (Decca)
乞食のパーティ! まず、タイトルが最高ですねっ♪ 如何にもストーズでしょう。
これは1968年の発売ですが、内容は元祖アンプラグドという雰囲気が濃厚ですし、反面、ドロドロしたエレクトリックなエグイ部分もあって、何か1枚っていうストーンズ物ならば、私はこのアルバムが好きです。
実際の製作現場では、頼みのブライアン・ジョーンズがクスリや私生活の諸々でほとんどダウン状態でしたし、プロデューサーのジミー・ミラーと喧嘩した挙句に、せっかく録音されたブライアンのパートが消されたりとか、グッチャグチャだったそうですが、完成されたこのアルバムのディープな雰囲気は、そんなところにポイントがあるんでしょうか?
A-1 Sympathy For The Devil / 悪魔を憐れむ歌
初めて聴いた時はショックでしたねぇ、なんだっ! この土人のダンス音楽はっ? ドンドコドンドコ唸る打楽器とギューンと入ってブッツリ切れるエレキギターは、当時、およそポップスではありませんでした。この頃のリアルタイムでは、ストーンがたんなるポップスバンドだったんですよ。でもこのアルバムを出して、ロックバンドになったんだと、思います。それを象徴するのが、この曲です。
A-2 No Expectations
ブライアン・ジョーンズのスライド生ギターが、こよなく美しい名曲です。いつまでも聴いていたいところですが、意外にも簡単に飽きがきますので、ほどほどに……。
A-3 Deat Doctor
ワルツ・テンポで作られた擬似カントリー・ブルースで、アンプラグドの演奏が心地良い限りです♪ しかしリアルタイムの洋楽界では、ギンギンのエレクリック・ブルースとかニューロックが主流でしたから、最初に聴いたときは完全に???でした。しかし今日では、私の生活に無くてはならない名曲・名演になっています。
A-4 Parachute Woman
これもアコースティックなブルース・ロックです。しかしファズがギンギンのエレキギターが加わっているので、ヘヴィです♪ ストーンズの魅力がたっぷり発揮されています。本当に力が入りますね♪
A-5 Jigsaw Puzzle
ここでもブライアン・ジョーンズのスライドギターが素晴らしいです♪ ビル・ワイマンのベースもドライブしていますし、多分、キース・リチャーズが弾いている生のリズムギターもたまりません。演奏が進むにつれて、その音像がゴッタ煮状態になるところが、ストーンズならではでしょう。ピアノはニッキー・ホプキンス? それともスチュ? これもカッコ良いですね♪
B-1 Street Fighting Man
今やストーンズのライブでは定番曲ですが、やっぱりこのスタジオ・バージョンも最高です。なんとブライアン・ジョーンズはシタールとタンブーラを演奏していますし、ギターにはデイブ・メイソンが参加しています。そしてチャーリー・ワッツのドラムスが異様に重たいので、演奏の重心がドンドン下がっていく、そのあたりが魅力です。つまり、なかなかスワンプな仕上がりなんですね♪ ミック・ジャガーのボーカルもエグミがたっぷりです。
B-2 Prodigal Son / 放蕩むすこ
黒人ブルースマンのロバート・ジェンキンスのオリジナルを、なかなか上手くカバーしています。もちろん、このアルバムのウリであるアンプラクド味満点に、楽しく、悲しく、そしてイナタク演奏されるこの曲は、1970年代前半の日本ではフォークブームと重なって、いろんな人がステージがカバーしていましたが、もちろんそれは、このストーンズ・バージョンが手本にされました。私も一時、演奏したことがあるほど、密かに流行していましたですね。
B-3 Stray Cat Blues
ストーンズ流儀のブルースロックと言えば、この曲です。最初から最後まで、全くエレキでドロドロな演奏で、1970年代のステージではセットの定番でした。歌詞の内容はロリ系の危ないものを含んでいますが……。
B-4 Factory Girl
再びアンプラグドに戻って演奏されますが、生ギター、マンドリン、フィドルあたりが前面に出ており、本当に畦道フレイヴァー全開です♪ 今から思うと、あまりにもワザとらしい部分もありますが、憎めません。
B-5 Salt Of The Earth / 地の塩
これもアコーステックに仕上げていますが、なにしろチャーリー・ワッツのドラムスが強力な存在感ですし、後半はゴスペル・コーラスまでも導入して、ドラマチックに盛上がっていきます。あぁ、魂が高揚しますね♪
ということで、全篇、アコースティックでエレキでドロドロという、まったくゴッタ煮アルバムですが、ブルースやソウルというストーンのルーツに根ざしたスジがきちっと通った名盤だと思います。
つまりこの作品無くしては、続く「レット・イット・ブリード」も「ステッキィ・フィンガーズ」も「メインストリートのならず者」も存在しえないほどの影響力があると、私は独断と偏見で断言致します。
ストーンズを聴くなら、まず、これですっ! でも、わかってもらえるかなぁ、なんて弱気にさせられるのも、このアルバムの特徴なんですよね……。