バカなリーダー、ダメな脚本、ヘタな芝居に気持ちの入っていない出演者という我国政界のテイタラク!
自分の不始末を恥じて自ら命を絶った某大臣さえ、潔く見えてくるから、困ったもんです。
同じ「無責任」でも、クレージーキャッツの映画は最高でしたよ。永田町の勉強会には上映してもらいたいと、熱望しています。
ということで、本日は痛快過ぎて、当たり前のアルバムを――
■Whistle Stop / Kenny Dorham (Blue Note)
モダンジャズ創成期から活躍している黒人トランペッターのケニー・ドーハムは、所謂「イブシ銀」とか「ベテラン」とか称されていますが、実は何時だって攻めの姿勢を崩さなかった! と私は思っています。
しかし一番本領を発揮出来るのは、やっぱりハードバップのフォーマットでしょうねぇ。もちろん決して保守的という意味ではありません。
ガンガンに突っ込んだハードバップ!
それがこのアルバムです。
録音は1961年1月15日、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、正統派の強力バンド――
A-1‘Philly’Twist
ビバップ系のテーマながらフィリー・ジョーのドラミングを抜群のスパイスにした合奏、そしてスバリと斬り込んでいくケニー・ドーハムが鮮やかなブルースです。
もちろんハンク・モブレーも絶好調で、独特のタメを活かしながら聞かせる流麗なフレーズ展開には、モブレーマニアが感涙の一時! 当然、全てのジャズファンを満足させるものです。
さらにケニー・ドリューが飛んで弾ける大好演ですからねぇ~~♪ 続くポール・チェンバースのアドリブパートでも全く手を緩めないフィリー・ジョーが、流石のシンバル&ハイハットを聞かせてくれます。あぁ、クライマックスのドラムソロが短いなぁ……!
当にタイトルに偽りなしのハードバップ大会! 聴いているうちに音量をドンドン上げてしまうのでした。
A-2 Buffalo
抜群のイントロを作り出すリズム隊が、まず素晴らしすぎます♪ そして始るファンキーでグルーヴィなブルースのテーマメロディ♪ もうここだけで、気分は完全にハードバップなんですが、アドリブ先発のハンク・モブレーが必殺のフレーズとノリを存分に聞かせてくれますから、歓喜悶絶します!
続くケニー・ドーハムも琴線に触れまくりの熱演で、トランペットの音色そのものに独特の魅力がありますし、キマり過ぎというアドリブフレーズが最高です。
そしてケニー・ドリューが強引とも思えるゴスペル節! バックで煽りまくるフィリー・ジョー、グイノリのポール・チェンバースが恐いほどイカシているんですねぇ~~♪
当たり前といえばそれまでなんですが、こんな演奏は、ちょっと再現不能だと思います。
A-3 Sunset
一転してモード手法に拘ったミディアムテンポの名曲・名演です。テーマ部分はちょっと勿体ぶった雰囲気なんですが、アドリブパートに入ると直ぐに、グイノリのポール・チェンバースがバンドをリードしていくんですから、たまりません。
ミュートで迫るケニー・ドーハムは、十八番の細かいフレーズの積み重ねが味わい深く、続くハンク・モブレーは相等に烈しく流麗なフレーズを吹きまくって、もう最高です♪ ちなみに時期的にはマイルス・デイビスのバンドに加入した頃ですから、こんな演奏を残していたら、さもありなんです。
そしてケニー・ドリューの飛跳ね節も、たまりません。フレーズにもアウト気味のファンキー感覚がたっぷり♪ ポール・チェンバースとの呼吸もバッチリですねぇ~。
B-1 Whistle Stop
ちょっと不穏な空気が漂うイントロから豪快なハードバップのテーマが始ります。テンションの高いリズム隊が、抜群に良いですねぇ~~♪
そしてアドリブ先発のハンク・モブレーが唯我独尊の大熱演! フィリー・ジョーも必死の煽りなんですが、もはや、どうにもとまらない状態です。
するとケニー・ドーハムまでもが全力疾走! トランペットの音色は、あの「イブシ銀」なんですが、フレーズが若々しいです。もちろんフィリー・ジョーは、ここでも独特のクッションを使って大暴れ♪
さらにケニー・ドリューの登場を経て、演奏はフィリー・ジョーがキメまくるクライマックスへ突入し、抜群にカッコ良いラストテーマまで、完全に熱くさせられる名演だと思います。
B-2 Sunrise In Mexico
ラテンビートを使ったモード系の演奏なんですが、テーマメロディに独特の哀愁が滲んでいますから、執拗にアグレッシブなリズム隊の独走にも納得の名曲です。
もちろんそれはアドリブパートなると、グイノリの4ビートに変化しますので、ケニー・ドーハムにとっては、薬籠中の展開! ハンク・モブレーもタメとモタレのモブレー節を全開させます。う~ん、このあたりは同じ事をやっていながら、明らかにマイルス・デイビスのバンドに居る時よりも、イキイキとしています。
気になるリズム隊ではポール・チェンバースが抜群の存在感を示し、フィリー・ジョーも小技に意気地を感じさせてくれるのでした。
B-3 Windmill
これまた最高にカッコ良いハードバップです。アップテンポで炸裂するフィリー・ジョーの4ビートが痛快ですねぇ~~♪
ケニー・ドーハムの淀みないアドリブには良い意味での必死さがありますし、ハンク・モブレーは、これぞっ! という真髄を聞かせてくれます。
そしてケニー・ドリュー! 弾けまくったファンキーピアノは、当に絶頂期の証でしょうねぇ~♪ ポール・チェンバースのアルコ弾きも、この雰囲気の中では、これしか無い! おまけにフィリー・ジョーが本領発揮のドラムソロ!
こう、来てしまったら、後はハードバッブ天国に直行するしかありませんですねっ♪
B-4 Dorham's Epitaph
オーラスは、なんとも意味深なタイトルの曲ですが、烈しいハードバップが続いた後ですから、ジンワリと心が温まる演奏になっています。
ほとんどテーマメロディだけの短さが、逆に良いですねぇ~♪
全体をリードするケニー・ドーハムは泣いていますし、バンドのアンサンブルも素晴らしいと思います。
ということで、これもあんまり有名ではないアルバムですが、内容はハードバップの超一級品! とにかく全員が絶好調なんですねぇ~~~♪
ただし、それが当たり前に聞こえてしまうのが、欠点でしょうか……。若干、分離が良くない録音も気になります。尤もそれは、私有しているモノラルバージョンでの話で、このあたりはステレオバージョンでは解消されているかもしれません。もちろんCDでも、ですね。持っていませんが……。
と、まあ、無責任の事も書いてしまいましたが、真実、これは聴かずに死ねるかの1枚だと思います。