実家に戻っても、今夜はクダラナイ宴会に2つも顔を出さなきゃならない……。また心にも無いことを言って、作り笑いか……。
本音は、ひし美ゆり子様が出演された映画「真・女立喰師列伝」を観に行きたいのですよぉ~~。
ということで、本日は「濃い」ものが聴きたいと――
■Back At The Chicken Shack / Jimmy Smith (Blue Note)
名盤「ミッドナイト・スペシャル」の姉妹盤ですから、悪いわけがなく、それでいて一層のコクと香りがたまらないアルバムです。
と、言っても、所謂「コテコテ」じゃなくて、あくまでも「コクと香り」というのが、私の感じるところなんですねぇ。このあたりは私の稚拙な筆では表現不可能……。額に汗が滲みます。
録音は前述した「ミッドナイト・スペシャル」と同じ、1960年4月25日で、メンバーもジミー・スミス(org)、スタンリー・タレンタイン(ts)、ケニー・バレル(g)、ドナルド・ベイリー(ds) とジャケットには記載されていますが、演奏そのものは曲によって編成が異なります――
A-1 Back At The Chicken Shack
ジミー・スミスが書いたゴスペルファンキーなブルース♪ ドナルド・ベイリーの調子が良いドラムスを土台にゴキゲンなテーマメロディが出てきた瞬間から、気分はジンワリと高揚してしまいます。ケニー・バレルの軽い鼻歌っぽいバッキングも良いですねぇ~♪
それはアドリブパートに入ってからも分かり易いフレーズとグルーヴィなノリを大切したジミー・スミス、何時もよりはずっと軽いフィーリングが逆に黒っぽいケニー・バレル、豊かな音量と魅惑の音色で咽び泣くスタンリー・タレンタインの好演と続きます。
グリグリにグルーヴィなバンド全体のノリも最高ですねぇ~♪ しかも決して力んでいないところに凄みがあると感じます。緩やかなフェードアウトもOKです。
A-2 When I Grow Too Old To Dream / 夢見る頃を過ぎても
まず、ミディアムの4ビートが、たまりません。
思わせぶりにテーマメロディを吹奏するスタンリー・タレンタインも最高です。そしてジワジワと熱くなっていくアドリブパートのドロドロ感覚! グイグイと強くなっていく全体のビート! まさに魂の熱演だと思います。
しかも愕いたことに、ここにはケニー・バレルが参加していませんから、伴奏の要はジミー・スミスの左手&足によるグルーヴィなウォーキング! そこにドナルド・ベイリーが絶妙のアクセントを入れていくという恐ろしさです。
もちろんそれに煽られてソウルフルな歌心を全開させるスタンリー・タレンタインは、テナーサックスの音色の魅力も同時に堪能させてくれます♪ あぁ、これがジャズの醍醐味でしょうねぇ~~♪
さらにジミー・スミスが両手両足を完全稼動させたアドリブパートの物凄さ! 当に間然することのない名演だと思います。
B-1 Minor Chant
スタンリー・タレンタインが自分のリーダー盤でも演奏しているオリジナル曲ですが、演奏はこっちが初演です。あぁ、マイナー調のテーマメロディとグルーヴィなノリが最高の気持ち良さ♪
実はここにもケニー・バレルが参加していないのですが、ジミー・スミスのオルガン伴奏が素晴らし過ぎますねぇ~♪ スタンリー・タレンタインもソウルフルにグイノリして、吹きながら楽しんでいる感じですから、聞いている私も歓喜悶絶!
そしてグビグビ~と入ってグルーヴしまくるジミー・スミスのオルガンアドリブ! ヒェ~~と鳴りまくるところとか、とにかくジャズ&ソウルなオルガンの真髄が最高です。ドナルド・ベイリーのドラミングもセンス抜群!
B-2 Messy Bessie
ジミー・スミスが書いたオトボケファンキーな名曲で、ここでもケニー・バレルの軽い存在感が良い味だと思います。そして力んで豪快なスタンリー・タレンタイン! このコントラストを一層煽っていくのがジミー・スミスとドナルド・ベイリーという、完璧なバンドスタイルが完成されています。
う~ん、それにしてもケニー・バレルの何気なさ! ジミー・スミスの脂っこさ、スタンリー・タレンタインの豪放さ、そしてドナルド・ベイリーの空気の読み方は、絶妙なのでした。
ということで、発売順から言えば、このセッションの約2ヶ月後の吹き込みから作られたスタンリー・タレンタインの「ルックアウト」、そして「ミッドナイト・スペシャル」が続き、このアルバムはそれから3年近くお蔵入りしていた事情があります。
その間にはスタンリー・タレンタインがスタアに成長し、ジミー・スミスは「ミッドナイト・スペシャル」をベストセラーにした実績が残されましたから、この作品は待ってましたの登場だったと思われます。
しかし気になるケニー・バレルの不在曲については、原因不明なんですが、ちょいとギターの鳴りがイマイチなんで、もしかしたら機材のトラブルとかあったのかもしれません。
しかし皮肉なことに、それが結果オーライという雰囲気の名演まで生まれたのですから、如何に当時のメンバーが充実していたかという証が、凄いところでしょう。
とても美味しい珈琲の様な、味わい深く、それでいて安心感もあるアルバムだと思います。