OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

真説・エレキの若大将!?

2007-11-16 16:58:08 | Weblog

おやじバンドをやるようになってから、毎日、少しずつですがギターに触っています。それをやらないと、指が動かないというよりも、ギターに対する感覚がダメになってしまう気が……。

そんな私の憧れのギタリストのひとりが、このアルバムの主役――

Charlie Christian - Jazz Immortal (Esoteric)

エレキギターを最も有効に使った最初のギタリストは、チャーリー・クリスチャンだと言われています。

1937年頃から愛用していたギブソンのギターが、「チャーリー・クリスチャンのギター」として宣伝されたほどです。

そして地元のオクラホマで活動していたところを興行師のジョン・ハモンドに発見され、1939年にベニー・グッドマンのバンドに入団し、全国区になったのですが、そのギタースタイルは単音弾きのアドリブフレーズとビートに対する新しいノリの革新性でした。

実際、チャーリー・クリスチャンのギターソロは、現代でさえも全く古びておらず、聴くたびにゾクゾクさせられます。

さて、このアルバムはそうしたチャーリー・クリスチャンのギタープレイを存分に楽しめる1枚で、モダンジャズが創成されていく過程が残された歴史的な価値云々を抜きにしても、ジャズが最高! という瞬間がたっぷりと収められています。

それは1941年5月のニューヨーク、ハーレムにあったという「ミントンズ・プレイハウス」で行われたジャムセッションの記録です。参加メンバーは、店の専属リズムセクションだったセロニアス・モンク(p)、ニック・フェントン(b)、ケニー・クラーク(ds) を中心に、チャーリー・クリスチャン(g)、ジョー・ガイ(tp)、ケニー・カーシィ(p)、ドン・バイアス(ts)、タップス・ミラー(ds) ……等々が参加したとされていますが、本当のところは詳らかではありません。

というのも、もちろん正規のレコーディングではなかったのが真相で、実はジェリー・ニューマンという大学生が、改造したディスクレコーダーで録音したものです。つまりテープレコーダーが実用化されていなかった時期の録音なんですねぇ。したがって、コンプリートに残された演奏はありません。

が、これが実に迫力があって、極上の内容です。

当然、最初はSPで発売され、1954年頃にLPとして纏められ、その時に同じジャムセッション録音から、ディジー・ガレスピーを中心とした演奏も収められたようです――

A-1 Swing To Bop (Topsy)
A-2 Stompin' At The Savoy
A-3 Up On Teddy's Hill (Haneysuckle Rose)
B-1 Stardust
B-2 Kerouac
B-3 Stardust
B-4 Guy's Got To Go (I Got Rhythm)
B-5 Lip's Flips

――なんと言っても、A面の3曲が驚異的な素晴らしさ♪ 曲タイトルはレコード発売した時に後付けしたものでしょうが、有名スタンダードを素材にしたジャムセッションの中で、チャーリー・クリスチャンのギターが歌いまくりです! ひとり別世界のドライブ感も強烈! それはレスター・ヤング(ts) のアドリブフレーズをギターに移し変えたという真相があるとはいえ、ビートに対するノリは、明らかにスイングジャズの範疇から逸脱しています。

例えば「Swing To Bop」は、曲テーマは録音されておらず、ほとんどチャーリー・クリスチャンのギターソロが最初から炸裂した演奏ですが、その中には後のモダンジャズギターの原型のみならず、ベンチャーズやチャック・ベリーといったロックギターの雛形フレーズまでも聴かれるのです!

またオフビート感覚のドラミングを披露するケニー・クラークとの息の合い方も最高! あぁ、何度聴いても、興奮させられます。

そして「Stompin' At The Savoy」でのギターソロでは、いきなりレスター・ヤンズの「Lester Leaps In」が出たりしてのネタバラシが潔く、力強いピッキングやコード弾きのアウト感覚も痛快です。

さらに「Up On Teddy's Hill」では、黙々と奥深いフレーズの積み重ねと歪んだギターの音色が、エレキギターの魅力をダイレクトに伝えています。

う~ん、それにしてもネタがあるとはいえ、こんな演奏を即興でやっていたなんてっ!!! 「Guy's Got To Go」でのグイノリには、他のメンバーのグルーヴまでも変わっていく瞬間が記録されています。

ということで、レコード化された演奏には、強引な拍手もダビングされているようですが、基本的に音の悪さと別に、最高のジャズ的な音の強さが、見事に作り出されていると思います。

チャーリー・クリスチャンは残念ながら早世していますが、この録音の他にも、残された演奏は全て聴く価値があるものばかりですから、私は心底、尊敬しています。もちろんコピーしようと目論んだことは何度もありますが、結局は挫折しているのでした。

ちなみに私有盤はジャケットが外盤なのに、中身は日本コロムビアでプレスされた日本盤という、???のブツです。もろちん銀座にあった某中古レコード店でゲットしたんですが……。

コメント (4)
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