中途半端な忙しさほど、始末の悪いものはありませんねっ!
アポ無し、コネ無しで勝手に暴走する者も、若気の至りと決め付けたくはありません。
ということで、本日会心の復刻CDを――
■Rolf Ericson And His All American Stars (Fresh Sound)
ロルフ・エリクソンはハードバップ期に活躍したスウェーデンの名手で、シブイ味わいのレコーディングを残していますが、その中でも特に定評のある名演といえば、地元レーベルの「メトロノーム」から3枚のEPとして発売されたセッションでしょう。
そこには本場アメリカの名手達と繰り広げた一期一会のハードバップが、濃密に記録されています。そして後にはアメリカの「エマーシー」からLPに纏められて発売され、名盤扱いとなりますが、直ぐに幻化……。
それが今回、ついにCD化されたのですから、歓喜悶絶♪ リマスターされた音質も迫力があり、さらにボーナストラックも充実という嬉しさです――
☆1956年5月30日、6月1&4日録音
01 Forecast (1956年5月30日録音)
02 Vacker Ficka (1956年5月30日録音)
03 Visby Groove Alley (1956年6月1日録音)
04 Jordu (1956年6月1日録音)
05 Flight to Jordan (1956年6月4日録音)
06 Medley (1956年6月4日録音)
I Cover The Waterfront - Laura - Everything Happen To Me
07 This Time The Dream's On Me (1956年6月4日録音)
メンバーはロルフ・エリクソン(tp)、セシル・ペイン(bs)、デューク・ジョーダン(p)、ジョン・シモンズ(b)、アート・テイラー(ds) という、真正ハードバップな面々! とにかく全篇が素晴らしすぎる快演ばかりなのは、サイケおやじが断言致します。
まずデューク・ジョーダンが持ち味全開! ちょっと気分はロンリーなアドリブメロディと力強くて、しかも枯れたピアノタッチ、さらには素晴らしいオリジナル曲の提供と、この人無くしてセッションの成功はありえないと思ってしまいます。
それとアート・テイラーのシンバルワーク、ハイハットの録音が素晴らしく、これはCD化のリマスターの良さもあって、最高にグッときますねぇ。
またセシル・ペインのバリトンサックスはソフトでありながら、力むところはフルパワーですから、たまりません。
肝心のロルフ・エリクソンは歌心優先主義者ですが、かなり黒っぽいアタックやファンキーな雰囲気も侮り難いところです。
こういう面々が哀愁の泣きメロが魅力の「Forecast」や黒っぽい「Vacker Ficka」、そして凄い勢いの「Visby Groove Alley」で実力を発揮! そして何度聴いても味わい深い「Flight to Jordan」は、ハードバップ天国への直行便です。
さらにバラードメドレーでは、デューク・ジョーダンとジョン・シモンズの伴奏の上手さ、アレンジの妙、メンバー各人の歌心の素晴らしさに酔い痴れてしまうのです。
ちなみに御馴染みの「Jordu」は、デューク・ジョーダンがメインとなった短い演奏で、これだけは未LP化でしたから、嬉しい復刻となりました。
それと最後の「This Time The Dream's On Me」が、ちょっと西海岸風で、ロルフ・エリクソンの趣味に近いのでしょうが、力強いリズム隊の存在が圧巻! 最後にはグイノリのハートバップに仕上がっています。
☆1956年6月21日録音
08 Forecast
09 You Go To My Head
10 Vacker Ficka
11 A Night In Tunisia
以上4曲の演奏メンバーは前述と同じですが、「You Go To My Head」ではアーネスティン・アンダーソンがボーカルで参加しており、これが最高♪ もちろん他の3曲もリラックスしてグルーヴィなハードバップの快演を披露しています。
ちなみに、この音源は以前にも某レーベルから出ていましたが、リマスターが段違いに良いのは、こっちのCDです。音が生々しいんですねぇ~。
☆1956年6月30日録音
12 Looking For A Boy
13 Lover Man
14 A Foggy Day
15 I Got It Bad
16 Love For Sale
最後のパートはライブ音源で、メンバーはアーネスティン・アンダーソン(vo)、ロルフ・エリクソン(tp)、ラス・ガリン(bs)、フレディ・レッド(p)、トミー・ポッター(b)、ジョー・ハリス(ds) という、これまた魅惑の組合せ♪ 特にフレディ・レッドを中心としたリズム隊が最高です。歌伴が実に上手いんですねぇ。
主役のアーネスティン・アンダーソンは黒人の女性歌手で、過不足の無い黒っぽさと洒落た節回しが素敵な人気者♪ ここでは「Lover Man」や「I Got It Bad」あたりのスローな味わいの深さ、また「Love For Sale」での思い切ったビートに対するノリの良さは絶品だと思います。
気になるロルフ・エリクソンは、ここではイマイチ、存在感が……。
ちなみにこの音源も、既に発表されていたものですが、ここに纏められることによって楽しみが増えたという気分です。
ということで、とにくか最初のセッションを聴かずに死ねるか! という素晴らしさは保証致します。こういう味わい深いもだんジャズこそが、現代に求められるジャズ者のオアシスではないでしょうか?
また以前ご紹介した「トミー・ポッターズ・ハードファンク」という、同系統のアルバムと共に楽しめば、喜びも倍増♪ あぁ、生きていて良かったというのは、大袈裟ではありません。