昨夜は久々にブート屋を急襲して、いろいろなブツを仕入れてきました。特にストーンズ物が充実♪
その中には――
■Altamont Speedway Free Festival / The Rolling Stones (TARKL)
ストーンズの、というよりも、ロック史上最も混乱と悲劇に満ちたコンサートが、1969年12月6日、サンフランシスコ郊外のオルタモントで行われた無料コンサートです。
これは同年、ライブの現場に復帰したストーンズが北米巡業を成功させた勢いで行ったイベントで、サンタナやジェフースンエアプレイン、フライング・ブリトーズやCSN&Y等々の有名バンドも同時に出演した野外フェスでした。
もちろんこれは同年に行われた「ウッドストック」を意識していたはずですし、ストーンズに限って言えば、ハイドパークでのコンサートもありましたから、決して自信過剰でもなかったはずですが……。
結論から言えば、夜中には氷点下の砂地で水もトレイも充分ではなく、医療設備や飲食施設もロクに用意されていない場所へ、なんと50万人もの若者が集り、道路は大渋滞、会場は演奏が始る前から混乱の極みだったようです。
しかし1日限りのコンサートでしたから、会場警備にはバイク集団のヘルスエンジェルズが雇われ、ヒッピー文化の愛と平和、共存意識に頼りきった運営が裏目となるのです。
そしてついにストーンズの演奏中に黒人青年が殺害され……!
しかもその一部始終がフイルムに収められて、映画「ギミーシェルター」として公開されのは鮮烈という以上に、狂気の沙汰でした。
で、問題のストーンズの演奏は、その映画でも観ることが出来ますが、全曲を聴くためにはブートしかありません。このブツは、その最新盤というわけです――
Disc 1
01 Jumping Jack Flash
02 Carol
03 Sympathy For The Devil #1
04 Sympathy For The Devil #2
05 The Sun Is Shining
06 Stray Cat Blues
07 Love In Vain
08 Under My Thumb #1
09 Under My Thumb #2
10 Brown Sugar
Disc 2
01 Midnight Rambler
02 Live With Me
03 Gimme Shelter
04 Little Queenie
05 (I Can’t Get No) Satisfaction
06 Honky Tonk Women
07 Street Fighting Man
――という演目のソースは、これまで出ていた様々な音源、例えば会場での隠密録音やラジオ中継放送等々を上手くミックスしてあります。
そして実際に聴いてみると、ドラムスの重低音が物足りませんが、演奏そのものはしっかりと録音されています。ただし、とてもブート初心者にはオススメ出来ません。なにしろ初っ端の「Jumping Jack Flash」なんか凄くピッチが遅くて、どうなることか……、と眼の前が真っ暗になります。
しかし慣れてしまえば、後はピッチもなんとか正常値に近くなり、音質もこれまで以上にクリアになっていますから、後は臨場感に酔い痴れるのがストーンズフリークの宿命でしょう。
今まで切れていた「Midnight Rambler」の始まりの部分や「Brown Sugar」のエンディングもカバーされているのは高得点♪
注目されるのは、この日だけの特別演奏であるブルースカバーの「The Sun Is Shining」でしょうか。まるでブライアン・ジョーンズの魂が降臨したかのような名演だと思います。あと、後年の大ヒット曲「Brown Sugar」は、これがライブ初演奏♪ もちろんレコード化される前の出来事です。
気になる会場の混乱と悲劇は、まず「Sympathy For The Devil」が分断されているように、途中で演奏を止めて観客に冷静になるように呼びかけるメンバー、関係者のゴタゴタが印象的です。
そしてついに「Under My Thumb」の演奏途中で、黒人青年が警備のヘルズエンジェルズによって刺殺されるのです。この場面は映画でもミック・ジャガーが真っ青になり、観客も大混乱という、夢も希望も地獄に堕ちた瞬間です。
ストーンズの演奏は、そんなこんなで、やはりテンションが高く、「Sympathy For The Devil」終盤でのミック・テイラーのギターとか、「Midnight Rambler」でのゴッタ煮グルーヴ、そして後半のクライマックスには、申し訳なくも、かなり熱くさせられます。
録音そのものも観客の歓声や合唱・手拍子を適度に拾っていて、臨場感満点! 間違いなく歴史的一夜にタイムトリップさせられるでしょう。ただし、けっこう高音域が強いので、PCやウォークマンでは鑑賞がシンドイかもしれません。それでも既発のブツに比べればマイルドになっているんですが……。
今後の望みとしては、記録映像フィルムの全貌が観たいものです。