4月から自賠責が値下がりするらしいけれど、ちょうどタイミング悪く、更新しなければならないとは……。
ついてない時って、こんな感じですね。
ということで、本日は――
■Donald Byrd At The Half Note Cafe Vol.2 (Blue Note)
ブルーノートのライブ盤はワンセッションでLP2枚を作るのが通例らしく、もちろん後には発掘という企画で未発表作品集も出るには出ますが、リアルタイムの傑作集として、ジャケットデザインも似せた双子盤はやっぱり魅力です。
それはどっちの出来が良いか? あるいは好きか? なんていう結論の出ない論争を引起こしたりするジャズ者の楽しみでもあり、当然ながら全部を聴き通して感動するのも、また良いものです。
さて、このアルバムはドナルド・バードが当時の盟友だったペッパー・アダムスと組んでいたレギュラーバンドによるライブ盤の第2集です。
録音は1960年11月11日、ジャズでは様々な名演が残されている名店ハーフノートにおけるセッションで、メンバーはドナルド・バード(tp)、ペッパー・アダムス(bs)、デューク・ピアソン(p)、レイモン・ジャクソン(b)、レックス・ハンフリーズ(ds) という滋味豊かな面々です――
A-1 Jeannine
デューク・ピアソンが書いた代表的なオリジナル曲で、モードを使っていながら調子の良いリズムパターンを活かしたテーマの楽しさは格別です。それは既にキャノボール・アダレイがスタジオレコーディングとして名盤「ゼム・ダーティ・ブルース(Riverside)」に入れているほどの人気♪ そしてここでの演奏は作者自らが加わっていることもあって、実に爽快でコアな雰囲気が表出しています。
まず指パッチンからグルーヴィな4ビートのリズム隊が心地良く、トランペットとバリトンサックスで思わせぶりなアンサンブル、そして快調なテーマ提示と、ここまでで歓喜悶絶♪
さらにアドリブパートに入ると、深遠に快楽主義を貫き通すドナルド・バードの歌心が潔く、またブリブリと放埓にうねるペッパー・アダムスという黄金コンビのノリの良さが存分に楽しめます。
またリズム隊の軽やかなノリが実に素晴らしく、デューク・ピアソンが中心となったトリオのパートなんか、新感覚も感じられるほど♪ 本当に何時までも聴いていたいですね。
A-2 Pure D. Funk
第1集ではバンドテーマに使われていた曲で、タイトルどおりピュアハートなファンキーフィーリングがたまりません。3連ビートの熱い使いも上手く、アドリブパートでの粘っこいグルーヴなんか、わかっちゃいるけどやめられない♪
特にペッパー・アダムスの鬱陶しいアドリブに対し、真っ黒な中にも洗練された“粋”を感じさせるデューク・ピアソンが素敵ですよ。
B-1 Kimyas
重厚なベースとピアノ、それに対して逆に軽やかなラテンピートを敲きまくるレックス・ハンフリーズのドラミングで、ツカミは完璧♪ 続く楽しいノリのテーマメロディは、作者のドナルド・バードが十八番のフレーズから抽出してものでしょう。
アドリブパートではグイノリでお約束のフレーズを連発するペッパー・アダムスが最高! デューク・ピアソンの合の手ピアノも調子が良すぎて止まりません。自然に体が揺れてくるほどなんですよっ♪
続くドナルド・バードも快調至極で、覚え易いフレーズ中心のアドリブは、ハードバップのひとつの真髄が潜んでいるようです。
そして軽快なデューク・ピアソンの背後ではレックス・ハンフリーズのブラシが実にシブイ♪ もちろん途中からスティックに持ち帰るお約束も痛快ですから、このトリオのパートが聞きたくて、このアルバムを取り出すのが私の本音なのでした。
B-2 When Sunny Gets Blue
比較的新しいスタンダード曲ですが、些か落ち着きのないアレンジが勿体無い……。サーカスの音楽のようなワルツのパートが、ねぇ……。
しかしアドリブパートではデューク・ピアソンが本領発揮のネクラ節♪ というか、ジェントルな雰囲気と内向的な真情吐露が実に上手くミックスされた名演だと思います。ちょっと歌伴っぽいフィーリングにグッときますねぇ~~♪
ということで、デューク・ピアソン目当てで入手したアルバムというわけです。
気になる第1集との比較では、甲乙つけがたいのは当然ながら、デューク・ピアソンの活躍内容から、私は第2集、つまりこちらを愛聴しています。私の偏愛曲「Jeannine」が入っているだけで高得点!
もちろんペッパー・アダムス、そしてドナルド・バードも熱演ですから、後は目的意識の問題でしょうか。ちなみに私のレコード棚では、デューク・ピアソンの場所に入っているほどです。