なんともポカポカした日でしたが、世間は残忍な事件、呆れた出来事に満ちていますね……。
そこでこんな日には――
■Bossa Noba Bacchanal / Charlie Rouse (Blue Note)
1960年代前半のボサノバブームで作られたアルバムだと思いますが、私にとっては生真面目なチャーリー・ラウズとボサノバのイメージが結びつかず、これを聴いたのは1980年代も終りの頃でした。
というか、某廃盤店のバーゲンで格安放出された時にゲットしたのが真相です。
録音は1962年11月26日、メンバーはチャーリー・ラウズ(ts) 以下、ケニー・バレル(g)、チャンシー・ロード・ウェストブルック(g)、ローレンス・ゲイルス(b)、ウィリー・ボボ(ds)、パタート・バルデス(per)、ガーヴィン・マッソー(per) とクレジットされていますから、必ずしもジャズの専門屋ばかりではないところに本格志向があるようです。
ちなみにチャーリー・ラウズはご存知のとおり、セロニアス・モンクのバンドレギュラーとしてバリバリの頃であり、また同時期には親分が大手のコロムビアと契約して人気絶頂でしたから、チャーリー・ラウズへの注目度も高かったものと推察しております――
A-1 Back To The Tropics
A-2 Aconteceu
A-3 Velhos Tempos
A-4 Sanba De Orfeu / オルフェのサンバ
B-1 Un Dia
B-2 Meci Bon Dieu
B-3 In Martinique
――結論から言えば、陽気なラテンジャズという雰囲気が濃厚です。ボサノバ特有のお洒落なフィーリングとか涼やかな哀愁みたいなものは、あまり感じられません。
しかしボサノバはブラジルのモダンジャズという側面から聴けば、これは立派なジャズ作品であり、真ボサノバと言えなくもありません。
演目もちょっと見には一般的でない曲が多いのですが、聴いてみれば、けっこう耳に馴染んだメロディが心地良く、何よりも共演のリズム隊がシャープで感度良好♪
気になる2人のギタリストはケニー・バレルでさえも、エレキは1曲だけで、あとは生ギターを使っているのも高得点でしょう。特に「Velhos Tempos」でのチャンシー・ロード・ウェストブルックは最高ですねぇ♪
肝心のチャーリー・ラウズは、何時も多用するフレーズが気になるものの、曲想を大切に生真面目な吹奏で好感が持てます。「Sanba De Orfeu / オルフェのサンバ」あたりは快演でしょう。またジャズ色の強い「Un Dia」とか「In Martinique」はソニー・ロリンズっぽいノリが楽しいところですが、そうやって比べられてしまうのは、せつないですね……。
ということで、夏よりは今の季節、春の訪れの頃にはジャストミートの1枚だと思います。ウキウキするようなリズム隊の躍動感が素敵な「Back To The Tropics」から哀愁漂う「Aconteceu」、そして刹那の「Velhos Tempos」の3連発には、ちょっと抜け出せない魅力がありますので、私はA面ばかり聴いているのでした。