■魔法 / Lou Christie (Buddah / 日本コロムビア)
一芸に秀でるというか、とにかくキメを持っている芸人は強い!
そうした代表格のひとりが、本日ご紹介の「魔法」を日本で大ヒットさせたルー・クリスティです。
ただし、今となってはオールディズマニア御用達の歌手としてしか評価されていないところもありますが、なかなか強烈なファルセットボイスを駆使する歌い回しは、何時までもルー・クリスティを忘れ難いスタアにしているポイントでしょう。
それはこの「魔法 / She Sold Me Magic」においても、曲アタマっからいきなり炸裂!
メイビィ~、ツァ~~ルウェズ~~、メイビィメイビィメイビィ、アラブュ~~♪
と発作的なファルセットで歌われてしまえば、ツカミは完全に大成功!
続けてアップテンポのメロディが叩きつけるが如き勢いで飛び出せば、後はほとんどノーテンキなポップス天国ですよ♪♪~♪
そして実際、日本では昭和45(1970)年晩秋からラジオを中心に流れまくった事が、サイケおやじには毎年、この季節になると思い出されますねぇ~♪
ですからルー・クリスティについて様々に調べたり、レコードを集めるようになったも自然の理でしたし、ファルセットボイスで歌う男声ボーカリストへの興味も深まり、それまであまり意識していなかったフォーシーズンズのフランキー・ヴァリについても再認識させられた次第です。
さて、そこでルー・クリスティのキャリアなんですが、ポップス史的には1966年の大ヒット曲「恋のひらめき / Lightning Strikes (MGM)」が有名でしょうが、どうにも個人的には、これが日本で流行っていたという印象や記憶がありません。
また実質的なデビューヒットになった1963年の「The Gypsy Cried (Roulette)」にしても同様で、するとリアルタイムでルー・クリスティがブレイクしたのは、この「魔法 / She Sold Me Magic」ということになるんでしょうか?
実は後追いで調べてみると、ルー・クリスティは1950年代末頃からドゥワップ系のコーラスグループで歌い、レコードディングも残していたローカルスタアであり、当時は本名のルージ・サッコを名乗っていたとおり、イタリア系だと思われます。
そしてルー・クリスティとなったのは前述した「The Gypsy Cried」からでしょう。
しかもそれを書いたのはルー・クリスティと後に妻となるトゥワイラ・ハーバードという名コンビであり、以降は「恋のひらめき / Lightning Strikes」も「魔法 / She Sold Me Magic」も含め、ほとんどの持ち歌が自作自演という真相も凄いところ!?!?
告白すればサイケおやじは、それに気がついてから尚更熱を入れてルー・クリスティのレコードを集めていったのです。
ただし結果的にというか、ルー・クリスティには不思議なプランクが何度かあり、それは徴兵された現実にもよりますが、「恋のひらめき / Lightning Strikes」も「魔法 / She Sold Me Magic」も大ヒットした時にはカムバックと必要以上に騒がれ、それがまた一発屋っぽく扱われる要因にもなった感があると思います。
既に述べたように、ルー・クリスティはオールディズ歌手かもしれませんが、その作曲能力は絶対に評価されるべきでしょうし、十八番のファルセットを駆使したボーカルスタイルはポップスでありながら、なかなかロックっぽい真実を含んでいるんじゃないでしょうか。
そのあたりをサイケおやじが知るきっかけになったのが、この「魔法 / She Sold Me Magic」というわけです。
いゃ~、ファルセットボイスのポップスって、本当に良いもんですねぇ~♪
そしてルー・クリスティも、納得出来る復刻を期待したいひとりです。