OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

渡るり子の異常な落差

2011-11-09 15:12:30 | 歌謡曲

二人ぼっちになりたいの / 渡るり子 (日本ビクター)

サイケおやじの青少年期には「文通」なんていうブームがありました。

今なら「メールの交換」っていうことなんですが、それは遠隔地の友人を作る事でもあり、とりあえずは顔の見えない相手と交友する作業ということで、当時の雑誌には「ペンパル募集コーナー」という読者のページが人気を集めていましたですね。

残念ながらサイケおやじは、そういう事はやった経験が無いんですが、中学の頃はクラスの中でちょっとした流行になっていましたし、大人になってからも何かの機会で「文通」の話題が出たりすると、「自分も実は……」なぁ~んていう告白(?)を聞いたことが数回あります。

で、「文通」の一番の利点は、おそらくは最初に「お互いの顔」が見えないという事じゃないでしょうか。

ですから文章力があれば、相手との心の交流も可能なわけですが……。

それが相手との写真の交換をしたりすると、その後から急速に筆が鈍ったりする例も多いそうですから、難しいものですねぇ。

さて、そんな書き出しになったのは、本日ご紹介のシングル曲「二人ぼっちになりたいの」とジャケ写のイメージがあまりにも違い過ぎる事に尽きます!

結論から言えば、「二人ぼっちになりたいの」は昭和43(1968)年に発売された所謂「スベ公系エレキ歌謡」の大傑作なんですが、歌っている渡るり子はジャケ写からも一目瞭然! なにか優しい小学校の先生という感じでしょうか。エグイ歌詞の要所でグッと力んだ歌い方を聞かせてくれるなんて、とても想像も出来ません。

しかし現実は初っ端から激ヤバ!?

 あなたの あなたの あなたの胸に
 わたしは わたしは 抱かれてみたい

 ひとりぼっちが 嫌になって
 ふたりぼっちに なりたいの

なぁ~んていう歌詞を必要以上に気張って歌い回すのですから、楽曲だけ聴いてジャケ写に接したら、絶対別人だと思いますよねぇ~~~!?!?

実はサイケおやじが「二人ぼっちになりたいの」を聴いたのは昭和50年代のラジオの懐メロ番組で、という事はリアルタイムではそれほどヒットしていたとは思えないんですが、いかがなものでしょう。

もちろん渡るり子という歌手についても、未だに何も知りません。

それでも楽曲と彼女の歌い回しの魅力は絶大で、必死で探してゲットしたシングル盤のジャケ写を見た瞬間のイメージの落差は、それこそ死んでも忘れられないと思うばかり!?

う~ん、当然ながら渡るり子という女性がどういう喋り方をするとか、その実際の佇まいは知る由もありませんが、これほどズレまくった商品が出回っていた昭和40年代って、やっぱり「元禄」と称されたのも無理からんですよねぇ~♪

そしてサイケおやじは、その「落差」の強烈さを忘れ難く、他にも彼女のレコードを探索しているのですが、全く良い巡り合わせがありません。

ということで、顔の見えない世界を楽しむ事もレコード鑑賞のひとつの方法論ではありますが、「文通」だって何れは手紙を書いてくれた本人に会いたくなるのと同じく、ジャケ写と溝に刻まれた歌声や歌そのものの魅力が収められたレコード盤という存在!?

その罪作りなものから全く抜け出せないサイケおやじは、「文通」もやってみたかったなぁ~、と思う事がしばしばなのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする