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サイケおやじの生活と音楽

クリス・モンテスのちょいヤバの魅力

2012-05-12 15:49:21 | Pops

愛の聖書 / Chris Montez (A&M / キングレコード)

音声による情報の伝達がラジオの特性ですから、そこから生まれる流行歌の依存度は、持ちつ持たれつでしょう。

ですから、歌っている本人がリスナーにとっては、てっきり女性?

と思ってしまうほど、オカマチックなヒット曲が流行っても、それはそれで楽しいものがありました。

例えば昭和44(1969)年にバカ当たりした本日ご紹介の「愛の聖書 / Nothing To Hide」は、クリス・モンテスという、ジャケ写を見れば、なんとなくボテ腹疑惑も濃厚な男性歌手がフワフワと歌った、所謂ソフトロックなんですが、当時のAM放送から流れる声質には大袈裟なほどの中性志向、いや、中性指向と書くべきかもしれないほどの曖昧さが良い感じ♪♪~♪

しかもバックの演奏が、その頃の典型的なA&Mサウンドで、柔らかなオーケストラアレンジに打楽器のスパイスが微妙に効いたボサロック調という事は、特有の浮遊感が本来のキャッチーな美メロを彩る魔法になっているんですねぇ~♪

ところが、この「愛の聖書 / Nothing To Hide」がヒットしたのは日本だけという真相も意味深で、実はクリス・モンテスは1961年頃からハリウッド芸能界で地道に活動しながら、それ相応なヒット曲を出しており、つまりは正統派のロックシンガーだったというのですから、これまたちょいと吃驚でしょう。

特に1962年に放った楽しいオルガンロックの「Let's Dance」は、本物!?! とても「愛の聖書 / Nothing To Hide」を歌った同一人物とは思えないほどです。

それがどういう経緯か、1960年代中頃には所謂中道路線のMOR歌手として再デビューし、ボサロックやフレンチポップスの焼き直しみたいな、お洒落ソングの数々を出すことになったというのですが……。

とにかく「愛の聖書 / Nothing To Hide」は、そうした路線で作られたクリス・モンテスの4枚目(?)のアルバム「ウォッチ・ホワット・ハプンズ 」に収録されていた本人自作の名曲であり、これを独自にシングルカットした我国のキングレコードは大正解だったと思います。

何故ならば、今では「クリス・モンテス=愛の聖書」という公式が成立しているのは言わずもがな、辺見マリが翌年に放ったメガヒットの「経験」は、これのモロパクリなんですからねぇ~~♪

いゃ~、何度聴いても、このふたつの類似的陶酔感はたまらんですよ♪♪~♪

もちろん「経験」を書いた村井邦彦の、ネタ元よりも良い曲を作ってしまう才能は流石であり、同時にA&Mサウンドに敬意を表した川口真のアレンジの功績も侮れませんが、それがまたクリス・モンテスの人気を不滅にしている要素でもあるんじゃないでしょうか。

ということで、本来的にはクリス・モンテスのアルバムやヒット曲は、夏の日の午後にでも聴くのがジャストミートかもしれませんが、この「愛の聖書 / Nothing To Hide」に限っては夜に聴いても、妖しいムードが増長されて、なかなかイケますよ♪♪~♪

まさに深夜放送と洋楽ヒットの関連性を証明する名曲かもしれません。

最後になりましたが、掲載した私有盤はリアルタイムではなく、昭和50年代に後追いの中古でゲットしたので、おそらくは再発盤かもしれませんが、実はその前にアルバムをメインに集めていたほど、クリス・モンテスの歌や音楽は素敵なものばかりです。

気に入ったら、ちょいと抜け出せないほど、アブナイ魅力に満ちていることを付け加えさせていただきます。

コメント (2)
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