■ヘイ・モンロー c/w 二つのコーヒー / 島津ゆう子 (日本ビクター)
既に横綱が4敗し、久々に日本人力士が優勝か!?
という開催中の大相撲五月場所とはもちろん関係ないんでしょうが、それにしてもドスコイなポーズでジャケットに登場している島津ゆう子は、如何にも昭和40年代的な美人歌手でしょう。
なによりも、この大きな襟と袖口にパンタロン、さらには踵が特徴的な靴!
これぞっ、ご紹介のシングル盤が発売された昭和44(1969)年がど真ん中のファッションであり、それをきっちり着こなしてこその「昭和元禄」がありましたですねぇ~♪
また同時に、これもまたリアルタイムのヒットレコードになっていなかったところに、もうひとつの魅力というか、後の「廃盤アワー」ブームによる再発見によって、あぁ~、こういうジャケットにして、こういう歌があったのかぁ~~♪ という喜びを与えてくれるのですから、中古屋巡りの悦楽はやめられないというわけです。
そこで肝心の島津ゆう子については、サイケおやじは何も知ってはいません。
しかし、このシングル盤収録の両面共が彼女の作詞である事からして、本来はその道の人だとしたら、実は立派なシンガーソングライターであるのかもしれません。
ちなみに作曲は、これまた両面共に藤本卓也という、昭和歌謡曲の世界では裏人気最高のひとりで、歌手としてもロカビリー時代に袖木公一の芸名で活躍していた事を知っている皆様が大勢いらっしゃるんじゃないでしょうか。
代表作として、矢吹健の「あなたのブルース」は決定的ですが、五木ひろしの「待っている女」等々、かなりロックなフィーリングとディープな作風が個性的だと言われていますから、このシングル盤でもA面「ヘイ・モンロー」はオールディズ調の泣きが滲んだパラード曲で、メロディだけならば弘田三枝子や九重佑三子あたりにもジャストミートすると思います。
ところが島津ゆう子の綴った歌詞が曲者で、サブタイトルの「モンローに捧げる歌」というのはちょいと???なんですが、とにかく男に貢いだあげく、あっさり死を選んでしまった(?)かのようなオチをアッケラカンと歌ってしまうのは、まさに作者の強みなんでしょう。
率直に言わせでいただければ、決して歌が上手いとは言い難いんですが、それでも妙に技巧的な発声とか、所謂「味の世界」は確実にあるんですねぇ~♪
それがB面の「二つのコーヒー」では、もう、全開♪♪~♪
ポップス演歌の真髄という曲メロは言わずもがな、シャラララのハミングを交えて歌う島津ゆう子の男を待つ気分の高揚が、これほどジンワリと歌われてしまうんですから、後は自ずと彼女の勝負下着が気になったりもするんですが、実は戻ってこない男への失恋ソングという真相も!?
う~ん、個人的には、こっちのB面「二つのコーヒー」が好きでたまりません♪♪~♪
ということで、最後になりましたが、ジャケ写ポーズについて言及しておけば、これは所謂「スケバン仁義」のスタイルに近いものさえありまして、何か当時はジワジワとそうした流行りも広がっていたんですが、一般的には未だ明確では無かったと思います。
ですから、このジャケットデザインの真偽真相もひとつの謎であり、それもまた「昭和元禄」の証なのかもしれませんねぇ~♪